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今週開催!大島レースに22艇エントリー

 国内で最も歴史がある島まわりヨットレース「第63回大島レース」が、5月25日にスタートします。葉山沖をスタートし伊豆半島熱海沖の初島を回航して伊豆大島へ。大島をぐるっとまわって葉山へ戻る85マイルのオーバーナイトレースです。(BHM編集部)


第63回大島レースエントリーリスト。5月21日時点

 第1回の大島レースが開催されたのは1951年のこと。1951年というと、わたくしを含め、バルクヘッドマガジン読者のほとんどは生まれていない時代、ですね。第1回大島レース前後は、まさに日本外洋ヨットの草創期といえます。

 ずいぶん前になりますが、編集部は、日本ヨットの歴史を調べていて外洋ヨットの生き字引こと、福永昭さん〈古鷹〉を取材したことがあります。福永さんは当時のできごとを鮮明に覚えていて、開拓者的な情熱を持った若者たちが集まり、日本に滞在する外国人セーラーの協力を得て、日本の外洋ヨットレースのカタチができあがっていったことを知りました。

 ここに『日本外洋帆走協会(NORC)記念誌』に掲載された福永さんの記事を引用させていただきます。これは記事中にある第2回大島レースのレポート部分で、当時の最新艇は、JOG(ジュニア・オフショア・グループ)に基づく小型ヨット(全長20フィート前後)でした。

 コースは同じながらも、30〜40フィートのヨットが出場する今の大島レースとは大きく違います。でも、一度、このヨットレースに出たことのある人なら、登場してくる地名と風景をまざまざと思い浮かべることでしょう。セーラーの気持ちを含めて、変わらないものは60年以上経っても色褪せませんね。

 当時のファーストホーム艇は約38時間かかってフィニッシュ。ここ数年の大島レースは、多くの艇が20時間程度でフィニッシュしています。

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第2回 大島レースレポート

 1952年5月23日(金)21時に葉山をスタート。参加艇12艇で第2回大島レースははじまった。

 北東の風、曇後晴、翌24日初島を回り、熱海・伊東の沖にかかったころ、伊東の稜線に“のろし”が上がった。なんだろうかといぶかるうちに、漁船が、大西が来るぞと叫びながら続々と港へ帰っていく。

 〈さくら〉、〈インデペンデンス〉、〈アルバトロス〉と、横山氏設計の3艇が共に大島を目指す。元村沖(編注:元村は今の元町)でとうとう大西につかまってしまった。ただちにストーム・ジブに取り替え、波浮沖へ向かう。潮は上げ潮、伊豆列島沿いでは東から西へ流れる。

 横山艇長(編注:横山晃。シーホース級などを作ったヨット設計者)は潮を避け、岸べったりの竜王崎を回るコースをとる。〈アルバトロス〉は沖を回っていく。あとは追手で一気に葉山に着けると初陣の勝利を夢見たが、自然はそんなに甘くなかった。

 大島の東では三原山からの猛烈な吹き下ろしのど真ん中を走るハメになってしまった。やっとの思いで走り抜け、岡田の沖あたりにさしかかるころ、あやしく風向きが変わったと見る間に北東のブローが来た。ローラーリーフをする。

 ブームエンドが下がって、仲々メインセールがタイトにはれない。ますます強くなる真冬のように冷たい北北東の強風の中、タッキングを繰り返すが思ったほど上れなかったようだ。

 当時は今日のようによいオイルスキンがなく、着いていた海軍のレインコートなどほとんど防水の役に立たず、体の芯まで冷えてしまった。この夜がんばっていたのは他に〈アルバトロス〉、〈仰秀〉と〈さくら〉の4艇だけだった。

 ようやく透き通るような冷たい朝を迎え、佐島の沖にさしかかるころ、西から〈アルバトロス〉が姿を見せクロスするが、あまり冴えた走りではなかった。

 10時45分、〈インデペンデンス〉が葉山にフィニッシュ、やがて〈アルバトロス〉フィニッシュ、〈仰秀〉は夕刻近く、葉山にたどりつく。〈さくら〉はしばらく行方不明だった。この時の〈インデペンデンス〉の所要時間は、37時間45分39秒である。

 第2回大島レースの賞品授与のセレモニーは、米軍が未だ接収中の三井クラブで行われた。オーナーの山口氏(編注:山口四郎。NORC初代会長)、横山艇長とクルー一同起立し、グレーン中佐寄贈のシルバーカップが渡され、CCJ(編注:クルージング・クラブ・オブ・ジャパン。NORCの前身となる組織)のメンバーのアメリカ人たちや、イギリス人のマッケンジー氏(編注:Angus・A・MACKENZIE。日本の外洋ヨット普及に影響を与えたRORCメンバー)に紹介された。

引用:NORC記念誌 外洋クルーザーレースのはじまり──1950年〜1958年

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