1998年生まれのOPセーラーとオリンピック
4月29日、和歌山でおこなわれていたOP級ナショナルチーム合宿を取材してきました。このイベントは、OP級ナショナルチーム(ワールド、北米、ヨーロッパ、アジアの各選手権へ出場するメンバー)による強化合宿です。参加したのは、上記大会へ出場する合計20名。そのうち7名が女子選手でした。(BHM編集部)
和歌山で3日間開催されたOP級ナショナルチーム合宿。photo by Junichi Hirai
合宿日程は27〜29日までの3日間。朝6時に起床して、宿泊場所の紀三井寺からハーバーまでランニング、陸上講習やセーリング練習。また、海外レース遠征時の食事方法や英会話の講習、海上ではOP級の国際大会でおこなわれるチームレースの特訓もおこなわれ、朝から晩まで密度の濃い合宿がおこなわれました。
3日目の講習で指導を担当している鈴木國央コーチが、興味深いことを話していました。2013年度OP級ナショナルチームは中学2、3年生が多く、年齢は1998年〜2002年生まれまでさまざま。彼らとそのサポート役の保護者は、いまOP級という舞台でトレーニングを重ねています。しかし、OP級は15歳までという年齢制限があるため、この熱中期はいずれ去り、別のセーリングの道へ進むことになります。
このナショナルチームに選抜された選手は、昨年の葉山・全日本選手権、今年3月の和歌山・ナショナルチーム選考レースを勝ち抜きました。OP級でセーリングを止めてしまう選手もいますが、これからずっと続けていく選手も必ずいます。そして、続けていく選手の中からオリンピックメダリストが誕生するかもしれません。
強化合宿の3日間は、陸上講習、海上練習をみっちりおこないました。photo by Junichi Hirai
◎1998年生まれ選手の成長とオリンピックの関係
2013年 15歳 OP最後の年
2016年 リオ五輪 18歳 高校3年
2020年 五輪 22歳 大学4年
2024年 五輪 26歳 社会人4年目
2028年 五輪 30歳 社会人8年目
2032年 五輪 34歳 社会人12年目
現役期間は決まっていませんが、五輪活動している選手がベテランと呼ばれる34歳という年齢で区切りました。そして、いまISAFが考える五輪種目(艇種)は、2020年まで一部が発表されています。
◎2016年リオ五輪 セーリング競技10種目
470級(男・女)、RS:X級(男・女)、49er級(男)、49er級FX(女)、レーザー級(男)、レーザーラジアル級(女)、ナクラ17級(男女混合)、フィン級(男)
◎2020年五輪 セーリング競技4種目
※種目数、採用艇種は未定ですが、ISAFは下記4艇種をコア種目として採用することを昨年のISAF総会で発表しました。
49er級(男)、49er級FX(女)、レーザー級(男)、レーザーラジアル級(女)
2020年まで確実に決まっているのは、レーザー級姉妹(スタンダードひとり乗り)と49er級姉妹(ふたり乗り高速スキフボート)です。1998年生まれの選手に、わかりやすく、断定的に説明するとすれば…。
『きみたちは、これから5回オリンピックに出られるチャンスがある。そして、レーザー級、ラジアル級、49er級、49erFX級に乗ることが、オリンピックに出る近道だ』
2020年のオリンピックで上記4種目以外どんな艇種が採用されるのか分からないし(2016年に決定します)、そのことを予想するのは不可能に近い。それより、種目に左右されない「セーリング力」をつけていかなければ対応できないでしょう。
いま日本では、高校生を中心としたユース種目の変更が進んでいます。ふたり乗り種目を420級に(420級はISAFの国際大会、ISAFユースセーリングワールドの種目で、2人乗りセーリングの基礎を学ぶのに適していると言われています)、ひとり乗り種目をレーザーラジアル級に統一していこうという動きがあります。
参考:2013年ISAFユースセーリングワールド種目 8種目
420級(男・女)、RS:X級(男・女)、レーザーラジアル(男・女)、29er級、SL16級。2013年のISAFユースワールドは、7月キプロスで開催されます。
ナショナルチームのメンバーが自身の出場する国際大会のチームフラッグを制作。選手だけで力を合わせて作りました。photo by J.Itoh
今年のナショナルチームの中から未来のオリンピック選手が登場するかもしれません。photo by Junichi Hirai
オリンピックに出てメダルを取りたいと考えているのなら、世界の動きを知っていなければなりません。これは、国内で人気のユースセーリング、高校ヨット(インターハイではFJ級、国体ではSS級、シーホッパー級SRなど。現在種目変更時期)、大学ヨット(主に470級、スナイプ級。種目変更の予定なし)とは別の流れになります。
バルクヘッドマガジン編集部は、OP級の選手にセーリングを続けて欲しいと考えています。目的は五輪である必要はまったくなく、ファンセーリングでいいし、クルージングでも、キールボートレースでもなんでもいい。
ただ、OP級を卒業した選手が、もっと上を目指したい、その先にオリンピックに出たいと考えるのなら、世界の流れに乗るべきだし、大人はその流れに乗せてあげるべきだ、と考えています。
◎バルクヘッドマガジン・OP級ナショナルチーム合宿写真集
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