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新体制発足、オリンピック強化委員会・中編

 オリンピック強化委員会・西岡一正委員長のインタビューの続きです。前回は日本セーリング連盟(JSAF)が考える長期的計画、ジュニア・ユースの育成について紹介しました。第2回目は、今回の新体制で注目される三水域制、JSAFナショナルコーチの役割について尋ねます。(BHM編集部)

『三水域制によるオリンピック強化委員会の取り組み』

BHM編集部:オリンピック強化委員会の組織編成は、どのようになるのでしょうか。

西岡委員長:スタッフは4月1日に発表され、このメンバーで新体制がスタートしています。

◎JSAFオリンピック強化委員会の紹介
委員長:西岡一正
JSAFナショナルコーチ:(順不同)
 西日本担当:中村健一
 中日本担当:鈴木國央
 東日本担当:飯島洋一
 470担当:中村健次
 420担当:重 由美子
 ウインドサーフィン担当:宮野幹弘
マネジメントグループ:斎藤 渉、中村和哉、斎藤愛子(情報戦略、ロジスティック)
トレーナーグループ: 江口典秀

BHM:日本を三分割する『三水域制』はあたらしい試みですが、どんなシステムなのでしょうか?

西岡:東日本、中日本、西日本の三区域にわけて、それぞれの担当者が、ジュニアからユース、五輪選手までの選手育成、強化を担当します。ひとりが担当する範囲は広いものになりますが、水域の現場(選手、学校の先生、保護者、コーチの方々)と関係を密にすることで、長期にわたって選手を育成できる、と考えています。

現時点でリオに向けた五輪活動がおこなわれている種目、470級、ウインドサーフィン(RS:X級)、そしてユース種目の420級には担当者を置いて、彼らはその種目だけを専門にみることになります。上記以外の種目は、水域担当者が担当することになります。この6名がJSAFナショナルコーチという名称で、全員が同等の立場で活動してもらいます。

ただ、この組織編成は毎年見直していくことを考えています。たとえば、選手にナショナルコーチを評価してもらい、問題があるようなら変更する。『選手もコーチを選ぶ権利がある』ということです。

この試みは初めてのチャレンジで、これからシステムを作り上げていきます。三水域を担当する3人は、しっかりした考え方を持っているし、行動力もある。彼らの活躍に期待しています。

BHM:これまで五輪日本代表になる選手は企業に所属して、専属のコーチ(プライベートコーチ)とともに活動してきた選手も多い。JSAFナショナルコーチとプライベートコーチの関係はどうなるのでしょう。コーチが複数いると問題が起こるのでは?

西岡:まず、オリンピック強化委員会は『企業とJSAFとの垣根を低くしたい』とう希望があります。その具体的な動きとして多くの『合宿練習』を国内外で計画しています。

選手を育てるには1人のコーチの指導だけでいいのか? と考えた場合、そうではない。テクニカル、フィジカル、ルール、それに科学的なアプローチなどもある。

合宿ではそれぞれの分野のエキスパートを集め、みなで技術や知識、情報を共有して成長していきたい。お互いが高め合う現場で、JSAFナショナルコーチとプライベートコーチの信頼関係を築けるようにしたいと考えています。

BHM:そうなるのは理想ですが、五輪選考が目の前に迫った時、立場の違いからなにかしらの衝突もありえるのでは?

西岡:五輪までにナショナルコーチとプライベートコーチがお互い信頼関係を築くのはもちろんですが、それともうひとつ、『日本代表選手を早い段階で決めたい』と考えています。

 確定ではありませんが、おおよその考え方だと2015年の秋までには決定したい(編注:ロンドン五輪の470級代表決定は8月本番の約3カ月前、北京は約6カ月前、アテネは約3カ月前でした)。早い段階で代表を決め『JSAFオリンピックチーム』としてサポートしていこうと考えています。

BHM:西岡委員長はチームアビームで2回のキャンペーンを経験し、日本代表チームを送り出しました。これはみなが感じていることだと思いますが、委員長という立場とアビームコンサルティング社の関係はどうなるのでしょうか?

西岡:わたしは、この4月1日から完全にアビームコンサルティング社から退きました。4月からのチームアビームは、わたしが口を出したり、意見するものではなくなり、わたしの肩書きはオリンピック特別委員会委員長だけになります。ここに会社や個別チームとの利害関係は全くないことをお伝えします。

※次回はメダル獲得のためにするべきこと、そして昨年問題になったJSAFの不適切受給問題にも触れます。

新体制発足、オリンピック強化委員会・前編

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