冒険者20名がスタート!ヴェンディグローブ
たったひとりで世界一周を走る「ヴェンディグローブ」が、フランスをスタートしました。現地でスタートを取材した岩名地正さんから、写真とレポートが届きましたので掲載します。日本では考えられないこの熱狂ぶり。シングルハンド・オフショア人気がうかがわれます。(BHM編集部)
ヴェンディグローブのスタート。ルサブルドローヌのハーバーに観衆が集まります
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4年に一度開催されるヴェンディグローブ。この大会は世界一周2万5千マイルを走る単独無寄港世界一周レースです。今回で私は4回目の観戦になります。(レポート・写真/岩名地正)
はじめて、スタート地点のルサブルドローヌにきた時は、殺風景な工業地帯の港町でした。また、一般の人たちはヴェンディグローブには見向きもせず、単なるヨット好きが海に出て行くぐらいの見方だったと思います。
大会を重ねるごとに、リゾートマンション、ホテルが増え始め、今ではひとつの有名観光地になっています。たとえると、ツールド フランスやルマンと同じように、フランス国民に人気のイベントになった感じです。連日の観戦客の数、ギリシア、スペインの財政破綻ユーロ危機が嘘のような盛り上がり方をしています。
今回の参加は20艇で、その内新艇を造船したのが4艇です(一艇2億円)。新艇の中の1艇は、銀行がスポンサーをしています。ユーロ通貨危機で銀行がヨットレースにスポンサーをすることに驚きました。
12年前の主流のヨットデザイナーはグループフィノでした。その後〈パーバックパピュラック〉のスキッパーがブルースファー設計のIMOCA60を造船して、流れがブルースファーに変わりました。
そして今回は、3年前のトランサット・ジャックヴァーブで優勝した〈サフラン〉のデザイナーの船が新艇の主流になっています。〈PRB〉〈パーバックパピュラック〉〈バンクポピュラー〉〈MACIF〉 がvplp-vendierの設計です。
同じ設計でも、選手それぞれの考えがあり、〈PRB〉はアウトリガーのマスト、〈パーバックパピュラック〉はスプレッダー式のマストにラダーが上下可動式、〈バンクポピュラー〉はアウトリガーにラダーが可動式です。
2004年の5回目の大会で優勝した、〈PRB〉(ビンセント・ロー選手)にもドラマがあります。2000年の大会で優勝した〈PRB〉のミッシェル・デジョーが100日を切る93日の記録で優勝しました。
2004年の大会ではミッシェル・デジョーは参加せずに、2000年の船フィノ設計の〈PRB〉のスキッパーは、ビンセント・ローが参加、上位選手と接戦の末、90日を切る87日でゴールしてコースレコードを更新しました。
2008年大会では〈PRB〉(塗料会社)のビンセントロー選手が、ブルースファーの新艇で参戦。2004年に優勝した、ミッシェル・デジョー選手も〈フォンシア〉(不動産会社)をスポンサーにつけて、ブルース・ファーの新艇で参戦。他にもこの大会は景気が良く、30艇の選手が参加して新艇も多く作られました。そして結果は、見事ミッシェル・デジョーがコースレコードを更新して84日で優勝しました。
注目の3艇はvplp-vendier設計の3艇が注目を集めています。最近の温暖化、異常気象、世界一周にひとりの人間が挑戦するので、船の性能だけでは予想できないと思います。気象を読む力、気力、精神力、体力を維持し続ける方法等が記録につながるでしょう。
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