全日本学生ヨット選手権・総括 スナイプ総合
スナイプ
第1レースで2-6-10の18点と順当にトップにたった同志社が、2日目に入った第2レース以降も28-26-26-42-83-52-54-41と、第6レースでのDNF1艇を除いてほとんど隙を見せずに合計370点・平均41.1点/レースで逃げ切って優勝。(文/外道無量院)
大会3日目。スタート直後、ポートで全艇の前を横切る立命館スナイプ。photo by Junichi Hirai
特に第3レースの14を除く8レースをオールシングル、うちトップホーン4回と言う抜群の「エース」振りを見せた主将・西村艇の活躍が目立った。しかしながら、残念だったのは、公式掲示板に張り出された「69条違反の警告」である。後味の悪さは残した。
クラス2位の関西学院は、第6レースまで58-31-20-44-58-44・225点・平均42.5/レースと、ここまで223点・平均37.2/レースで快調に逃げる同志社に何とか喰らい付いて善戦していたが、第7レースで痛恨のOCSが出て92点を叩き万事休す。
さらには、3日目のレースが終了して上陸後、前夜持ち越しとなっていた2番艇の第4レースのケースに敗れて、2位→DSQのプラス69点。加えて3番艇の「計測不備」のペナルティーまで加算されて一挙に113点が加わり、一時的にはクラス3位まで脱落した。
4日目の第8・第9レースは、53-41と同志社と互角以上に渡り合って2位は回復したものの、スナイプで180点もの大差を付けられては「総合」も難しくなったのは仕方あるまい。
せっかく23艇しかフィニッシュできなかった第6レースで全3艇がフィニッシュし、1艇がDNFとなった同志社とはこの時点で31点差と「射程圏」に捕らえたかにみえたのに、「避けられる英語と凡ミス」を毎年繰り返して得点の加算を強いられたのでは、どんなに速く走れようが、クラス優勝はおろか、総合優勝も絶対に無理な話だ。
思い起こせば、似たようなDSQが2009年の牛窓でもあったし、OCSに至っては、2010年蒲郡、2011年江の島でもあった。「KGスナイプは英語のホームラン王」か?
対照的に関大スナイプは、「英語なし」の44-92-75-96-92-25-41-55-40の560点で3位。特に、微・軽風戦となってDNFが多発した第6レースと第9レースでの好成績(25点と40点)が目立った。終ってみればアレだけ良く走った同志社と「走り」ではほぼ互角だった関西学院と僅かに10点差しかないのだ。いかに「英語」が重たいか、これではっきりするだろう?
前評判の低さを見返し、地元の意地を見せてクラス4位に食い込んだ立命館。第1レースの103点を除けば、27-81-38-43-90-62-75-66と善戦した。本部船有利のスタートラインが引かれていたときでも、アウター付近から第1レグの前半は左海面を使ったコース引きに拘っていたのが印象的だった。
以上、ここまでのベスト4を「関関同立」の関西・近北水域の強豪4チームで独占した。大会前「今年の関東勢スナイプは力不足か?」の懸念が正しかったことを証明した結果ではあった。
関東勢では実力No.1では? と評価した日大が5位。第1レースでいきなり2番艇のBFDで始まったのも関東インカレと同じ入り方。また、これも関東インカレと同じ印象に写ったのは、「トップも取るがケツも引く」というリスキーなコース引き。96-25-83-109-21-94-88-34-55というありえないようなレース毎の「バラツキ」が、その戦い振りを表してはいないだろうか?
クラス6位は、まだまだ手薄な選手層で健闘した慶應義塾。55-81-112-101というジリ貧成績に焦ったか、第5レースで慶應
としては珍しいOCSが2艇で発生した。しかし、逆にここから持ち直して波乱の第6レースでは43点と爆発し、第7〜第9レースを69-59-56と上位チームに準ずる得点に抑えてクラス6位に入賞した。
クラス7位の明治はエース艇のOCSなど、いまいち全体的に走らず7位。同8位の鹿屋体は、第1レースをシングル2艇で始まったが、残る1艇がBFDとチグハグで7位に終る。9位に関東の新鋭・明海、10位に金沢大となり、2年前までこのクラスを連覇していた関東王者の早稲田は、エース艇がポツポツと健闘したくらいで、全く良いところなく11位に終った。
総合
「総合」も一見、同志社が独走していたように思っていたが、実は最終レース(第9レース)があんな状態(同志社470が3艇DNF)のレースだったので、思いのほか点差は縮まった。
仮に、470の第9レースで、フィニッシュライン手前10m内外に数分間あって無風のために止まってDNFとなった関西学院の2番艇が順番通りに「8」でフィニッシュでき、「英語王」のKGスナイプでDSQやDPIがなかったら、少なくとも「総合」の結果はひっくり返ったのではないかと思うと、今更ながらに、「びわ湖開催」の恐ろしさを思うのである。
最後に、生ちゃんにならって(リンク先:「全日本学連への提言」)、学連への「提言」のさわりだけ。初日のレース中止や打ち切りの「元」を正すには、僅かに2〜3チームの参加で1〜2チームの代表を選ぶような、寂しい水域大会をなくすことだ。「全国9水域」にこだわっても、いまさら意味のないことではないのか?
非難を承知で言えば、ヨットなど、たかがマイナースポーツの1つに過ぎないのである。満足な運営ができないなら、全国からめぼしい人材を集めて運営すれば良いではないか。また、真に「学生全日本選手権」なら、その予選にあたる水域大会は、東西の2大会くらいで充分なのではないか?
されどヨット、されどインカレ。
現役選手・部員だけでなく、数多くのOB諸兄、選手父兄や縁者、さらには学校関係者が注目し、現場に来られないまでもネットを通して関心が深い事は、バルクヘッドマガジンにアクセスが集中して閲覧不能になったり、開設間もない生ちゃんのセーリングマガジンがマリンスポーツブログ部門でアクセス数No.1になる事で証明されているのだ。
日本国内では、間違いなく4年に1度のオリンピック以上に注目される大会ではないのか? 全国の学連関係者は、狭い了見(セクショナリズム)になどにとらわれず、全国から衆知と人材を結集してよりよい大会にしようではないか。
※なお、恒例の「特別版」を希望者にのみ配信する。特に「我がチームについてのコメントを」と希望する場合は、その旨を記載の事。募集期間は、今から11月9日18:00まで。締め切り後、順次、返信にて送付する。希望者は、QZT00265*nifty.ne.jpまでメールにて応募のこと。*を@に変えて。
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