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第77回全日本学生ヨット選手権・総括470編

 開催が決まってから予想されていた微・軽風主体のコンディションとは異なり、初日から3日目の午前中までは良い風が吹く、びわ湖開催にしては風に恵まれたシリーズではあった。3日目後半から最終日にかけて、具体的には、第6・第9レースで「びわ湖の魔物」が牙を剥いた場面もあったが、すでに勝敗が決した後の事であり、少なくとも両クラスと総合の「優勝争い」には直接の影響がなかった。(文/外道無量院)

 それでは、クラス別に総括し、上位・主要チームについては所感を加えさせていただく。


強風から無風まで。琵琶湖の風に翻弄された全日本インカレ。photo by Junichi Hirai

470
 大本命の日本経済大が、初日の1本目から、1-4-6位の11点と「格の違い」を見せつけた。2日目以降も、2度のパーフェクト(1-2-3)を達成したほか、21艇しかフィニッシュできなかった問題の第6レースも1-10-16位の27点と凌ぎ、「課題」も克服。同じく7艇しかフィニッシュできなかった更なる問題の第9レースでの3艇DNFは、勝負が決まり、一部メンバーを変更した第7レース以降の話で、これは「ご愛嬌」か?

 クラスルールでは、8ノット以上吹けば揚がるハズの「O旗」が、初日から何故か揚がらずに(途中で一部揚がる場面もあるにはあったが、明らかに8ノット以上吹いている場面でも揚がらない場面がほとんどであった)持てる力を一部封じられたとはいえ、やはり「格」が違ったのは明らかだった。ただし、その3艇DNFも影響し、スコア的にはスナイプを上回る平均48点/レース。それでも「クラス優勝」としてハイスコアの成績だった。

 地元の雄・同志社も、第1レースでは3-5-7位の15点と日経大に差がなく続いて、「総合優勝」への足場をガッチリと固めた。プレッシャーの掛かる地元開催で、「先行逃げ切り」への順調な第一歩は大きかった。

 一方、「総合」を争うとみられた関西学院は、スタートから最初のレグでのコース選択に失敗し、1上が3艇ともケツシングル近辺。フィニッシュまでには何とか中位付近まで上げたものの、26-28-43の97点を叩いて大きく出遅れた。一方、慶應義塾は、第1レースこそ8-10-61の79点とエース艇の大失敗が響いて出遅れたものの、勝負に出た第7レース以降に取り戻すという「試合巧者」ぶりを見せた。今回も慶應470は、第6・第9レースの微風にはまった3番艇の2回のDNFを除けば「英語なし」の立派な戦い振りであった。

 DNFが大量発生した問題の第6・第9レースを除く同志社、関西学院、慶應義塾の3チームの470の第2レース以降の得点を比較すると、

同志社:31-38-104-34-80-61=314点
関西学院:30-57-34-66-65-68=328点
慶應義塾:44-53-95-63-24-52=337点

 と、この3チームはほぼ互角の点数であることから、特に同志社をにらんで「総合」を狙う関西学院と慶應義塾にとっては、なんとも痛いオープニングレースの失敗であった。しかし、慶應義塾は、7艇しかフィニッシュ出来なかった第9レースで唯一の2艇フィニッシュが効いてクラス2位、総合3位までジャンプアップ。フィニッシュ手前10m前後で、「幻の8着」を失ってクラス4位・総合2位に終った関西学院とは明暗を分けた。

 以下は、第4レースまでは全く冴えなかった関大が、第5レースで62点と兆しを見せると、続く問題の第6レースで3-4-12の19点と突然の大爆発。このレースでは日経大を除く上位チームにDNFが続出したことから、ここで一挙にジャンプアップした。第9レースでもフィニッシュは1艇のみだったが、3着艇を出すなど、微・軽風で見所を作ってクラス5位に入賞。

 オール1・2年生で固めた日大は、エース中村艇が第6レースまでほぼシングルでまとめたのをはじめ、第5レースまでは57-58-55-46-69・285点平均57点/レース。4年生・2名が舵を握るスナイプのがんばり次第では、「総合」への可能性を残すスコアで踏みとどまってはいたものの、他の2艇が問題の第6レースでDNF。続く第7レースでは「勝負」に出て37点と盛り返したものの、第8レースでは逆にそれが裏目に出て、OCSを含む135点を叩いて完全に撃沈。クラス6位入賞にとどまった。

 九州大は、第5・第7レースで2艇が揃ってシングルを取るなどの「見せ場」を作り、「旧帝大」としては久々の入賞にも期待させた7位と健闘した。早稲田は、第8レースの33点以外、全く良いところなく、とどめは、第6・第9レースの2レースで3艇揃ってDNFと玉砕してクラス8位。それ以下は、「4桁」となるので省略する。


470級成績

(スナイプ、総合へつづく)

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