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大歓喜、同志社大!全日本インカレ最終日

 11月4日、大学セーリングの集大成となる全日本学生ヨット選手権。大会最終日は、おだやかな琵琶湖が選手たちを迎えます。朝から晴れ間が広がる柳が崎ヨットハーバー周辺は気温が上がり、午前中こそそよそよ吹いていた風も徐々に落ちていく傾向です。(BHM編集部)


全日本インカレ最終日。落ち傾向の風のなかで2レースがおこなわれました。photo by Junichi Hirai

 大会3日目の第7レースを終えた時点で、首位に立つのは470級が日本経済大、スナイプ級は同志社大。2位以下に100〜200点以上の差をつける横綱相撲を見せています。この結果から、両校は乗員をサブメンバーに交代して最終日に挑みました。余裕があります。

 第8レースのはじめはトラピーズに出るほどだった風も、時間とともに落ちてきて第9レースの最中には極端に風がなくなってきました。ここで「ヨットレースの事故」としかいいようのない事件がおこります。第9レースの470級で7艇がフィニッシュするとそこで20分の時間制限となり、後続65艇(!)がDNFとなってしまったのです。前日の約50艇DNFに続いて、65艇の大量DNF。選手にとっては、悲しすぎる結末です。

 しかし、ここで躍進したのは慶應大です。スタート前から3艇が集結し、一発逆転にかけるように見えた同校の470陣は1位、4位という好成績を獲得。3艇すべてDNFとなり216点を失ったほとんどの大学に比べて、このサバイバル・セーリングで77点に抑えた慶應大は、前日470級2位の同志社大を一気に追い抜いてしまいました。

 その後、鏡のような湖上に風は吹き出すことはなく、最終スタート予告時間の1時半が近づいてきました。1時15分を過ぎて、本部船はスタートシークエンスを試みますが、残念ながらスタートさせることはできず。レース終了を知らせるホーンが鳴り、470級の日本経済大、スナイプ級の同志社大。そして同志社大の総合優勝が決まりました。

「二連敗を止められたのがうれしい。レースがはじまるまでは、どんなレースになるのか、どんな風が吹くのか心配だったけれど、初日の強風を走ってチーム全員がふっきれたように思います。琵琶湖の風は他大学ほど調査できていません。ただ、その部分を考えないことにして、マークに対してプラスを走ることを心がけて走る、ヨットレースの基本を守ることが大事だと考えていました。今回は、だれかが失敗しても、だれかがカバーしてくれているという安心感があったし、それは日経大の強みだと思っています」(外薗潤平主将)

 クラス優勝を果たした日経大は、2年ぶり7回目の優勝です。鬼門といわれた琵琶湖を圧倒的なセーリング力で制しました。また、スナイプ級優勝の同志社大は、2004年蒲郡大会以来8年ぶりとなる総合優勝を獲得。帰着後のハーバーでは、選手や応援に掛けつけた卒業生が一緒になって念願の「総合優勝」に歓喜しました。

「今年は、みなが自分の意見を持っている、個性的なチームだったと思います。今年のスローガンは王座奪還。大会前から優勝候補と言われ、さらに地元開催。OBからも期待され、インカレ2カ月前ぐらいから、眠れなくなるほどのプレッシャーを感じていました。一週間前にあるOBから「インカレはプレッシャーを含めて楽しめ」と言われ、それからすっと気が楽になりました。今回は英語もあったけれど、チーム全員が楽しいレースをできたと思います。4年生はこれで部活動を引退してしまいますが、ほかの大学の選手たちも社会人になってもセーリングを続けてほしい。インカレで戦った選手たちとまた戦いたいです」(西村秀樹主将)

 終わってみれば、前評判通り、日本経済大、同志社大の実力が圧倒した第77回全日本学生ヨット選手権。来年の全日本インカレは、西宮で開催されます。来年はどんなドラマが待っているのか。戦いはすでにはじまっています。


470級成績
1. 日本経済大 432点
2. 慶應大 596点
3. 同志社大 663点
4. 関西学院大 669点
5. 関西大 767点
6. 日本大 831点


スナイプ級成績
1. 同志社大 370点
2. 関西学院大 550点
3. 関西大 560点
4. 立命館大 585点
5. 日本大 605点
6. 慶應大 728点

総合成績
1. 同志社大 1033点
2. 関西学院大 1219点
3. 慶應大 1324点


微風の第9レースでポイントを獲得し大躍進した慶應大。470級は2位へジャンプアップ。総合3位を獲得しました。photo by Junichi Hirai


帰着後、チームメンバーに胴上げされる蔵道孝文監督の目からは、よろこびの涙が。監督に就任して6年。毎週のように和歌山から通い、指導してきました。photo by Junichi Hirai


風の不安定な琵琶湖でも圧倒的な力を見せつけた470級優勝の日本経済大。外薗潤平、今村 亮、波多江慶の4年がチームをひっぱってきました。photo by Junichi Hirai


個人成績もさることながら西村秀樹のリーダーシップが際立っていた同志社大。地元開催のプレッシャーをはねのけてスナイプ、総合優勝を飾りました。photo by Junichi Hirai

◎全日本インカレ特設サイト
http://alljapancollegesailing.com

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