Loading

博多湾J/24全日本。シエスタ、大きくリード

 10月19日、博多湾で開催されているJ/24全日本選手権。大会3日目は、前日まで5レース終わったことで優勝の行方を占う重要な1日となりました。福岡小戸ヨットハーバーは、朝から風弱く陸上待機ではじまりました。ポールに掲げられたAPは風になびくことなく、時間ばかりが過ぎていきます。選手たちは、それぞれの思いで沖を眺め、風が吹きだすのを待ちました。(BHM編集部)

 本大会に出場するチームは、国内で有数のJ/24チームといえます。32回出場の〈オリーブ〉を筆頭に、卒業生と新入生でメンバーが入れ替わる東大ヨット部〈仰秀〉まで、普段からレース熱を燃やすキールボートチームばかり。また、今回出場する最年少は高校生、最年長は前回に紹介した78歳〈マンタ〉の谷オーナーです。年齢や経験にわけへだてなく、風待ちの時間にJ/24という共通の話題で話ができるのもこのクラスの特長といえます。

 レースを望む選手たちの思いが通じたのか、昼を過ぎた頃から風が入りだしました。第6レースのスタートは13時35分。海面はまばらながらも4メートル前後の北東風が吹いています。

 前日と同じようにブローにムラがあり、シフトする軽風海面です。J/24はパフとラルでボートアングルが大きく変化するため、端から見ていると、どちらのボートが先行しているのか、なかなかつかみにくいもの。ワンプッシュのブローに入ると角度も大きく変化するので、一気に前にでることも可能です。本日のレースは「いかにパフをつかみ続けられるコースを選択するか」がポイントとなるタクティシャン泣かせの神経戦となりました。


スタートから果敢に攻めた〈リップル〉。辻寛基がヘルムスマン、ノースセールジャパンの藤井洋暢がトリマーをつとめます。写真後ろの赤スピンは〈シエスタ〉。スピネーカーのフット位置からもセールデザインのコンセプトの違いがよくわかります。photo by Junichi Hirai

 2レースおこなわれた大会3日目で気を吐いたのは、辻寛基がヘルムを務める〈リップル〉です。風下側からスタートするとうまくパフとシフトをとらえ、2レースとも上マークをトップ回航する最高の走りをみせました。

 しかし、さらにうまく風を見ていたのは〈シエスタ〉。安全なスタートからボートスピードと巧みなコース引きで1上マークを上位回航。さらに落ち着いたダウンウインドのコースでジワジワと〈リップル〉に追いつき、2レースとも逆転トップを飾りました。

「スタートはフルスピードで出ることだけを考えています。クローズは(パフに入るか、入らないかで)船の向きがバラバラになるので、自分のコースが正しいと信じて走りました。右、左の有利海面というよりも、パフをつかむことを心がけていました」(シエスタ・宮川タクティシャン)

 ライバル艇の〈フォックス〉〈月光〉は、〈シエスタ〉とは逆に風に翻弄される内容に。最終日を前にして得点差を広げられる結果となりました。

「自分の練習はあまりできていないけれど、クルーたちはいろいろセーリング経験を積んでいます。今回のクルーワークは完璧ですね。安心してドライブできています」(シエスタ・岩出スキッパー)

 明日の最終日を前に残りは3レースとなりました。しかし、最終日は13時以降のスタートがないことから最大2レースができるか、どうかといったところでしょう。〈シエスタ〉有利で迎える最終日にどんなドラマが待っているでしょうか。博多湾J/24最終決戦に注目です。

◎J/24全日本選手権 3日目上位成績
1. SIESTA(岩出 彰)5-1-2-2-(6)-1-1 12p
2. FOX(近藤慶治)2-2-(9)-4-1-6-3 18p
3. 月光(尾崎惇人)1-3-3-6-3-3-(9) 19p
4. マンタ(吉岡岳史)(OCS)-7-1-3-9-5-4 29p
5. リップル(辻寛基)4-6-6-(10)-7-2-5 30P
6. PINK KISS(前田康子)7-(10)-4-9-2-8-7 36p
※カッコはヘルムスマン氏名です。
※成績詳細は下記写真をごらんください。


運命の3日目。接戦で迎えたトップ3。右から〈フォックス〉〈シエスタ〉〈月光〉。photo by Junichi Hirai


風は吹かないのかと思われた矢先、午後から吹き出した軽風で2レースを消化しました。最終日も軽風の予報です。photo by Junichi Hirai


2レースとも逆転トップフィニッシュを決めた〈シエスタ〉。フィニッシュライン間際で競り勝った〈シエスタ〉でガッツポーズするのは、この大会ではじめてタクティシャンを担当するという宮川英之。大きくバンザイするのは、本日ほとんどダウンビローだった和田大地。phot by Junichi Hirai


大会3日目成績表

======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
丸玉運送
ネオネットマリン
ノースセールジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
SWING
コスモマリン
葉山セーリングカレッジ
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
VELOCITEK
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
エイ・シー・ティー
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ
CATEGORY:  INSHORENEWS
TAG: