全日本ミドルボート選手権を振り返る(1)
3日間の熱戦が繰り広げられた全日本ミドルボート選手権。大会の結果は、既報の通り〈ワイレア〉が二連覇を飾りました。最終日は海面からは読みにくい不安定な風でしたが、上位に入るのはやはり見慣れたチーム。全9レースを消化し、文句のつけようのない選手権ができたと思います。選手のみなさん、運営のみなさん、おつかれさまでした。(BHM編集部)
三河湾・蒲郡沖で開催された全日本ミドルボート選手権。復活2回目の全日本は大成功に終わりました。photo by Junichi Hirai
全日本ミドルボートに向いたロケーションとは?
バルクヘッドマガジンが3日間を取材して感じたのは、東海ミドルボートクラブの親しみやすいホスピタリティと、選手たちのミドルボート熱です。閉会式で中村孝・大会実行委員長があいさつをすると選手から「また、来年もやってくれよ!」のかけ声。それに呼応する選手たちからの大きな拍手が、この大会を物語っていたように思います。
「活動が停止していた東海ミドルボートクラブで実行委員会を立ち上げたのは昨年ことです。最初は慣れない企画や運営でどうなることかと思いましたが、無事に大会を終えることができました。実行委員会の予想を超える28艇が集まったことで、全国のミドルボートチームの熱い気持ちを感じています。これからも利便性の良い三河湾のメリットを生かして、ミドルボートの活動をしていければと思います」(中村実行委員長)
来年の開催は決まっていませんが、三河湾・蒲郡という場所は、国内選手権をおこなうのに好都合といえます。これは、クルーザーでもディンギーでも同じことで、ボートの運搬、回航、クルマ・電車の交通事情、宿泊施設の有無、ハーバー周辺の買い物、食事事情などを考えた場合、関東と関西の中間にある蒲郡は非常に優れている。この全日本ミドルでは、遠来艇奨励金(距離により1〜5万円の援助)を設けて、参加チームを募りました。こうしたアイデアも28艇を集める後押しとなったことでしょう。
また、蒲郡沖のレース海面は水深8メートル程度で、マークブイも打ち直しやすい。運営艇をひとり、2人で担当しても十分にこなせる作業でしょう。水深のある相模湾のレースのように、運営艇に学生を何人も呼び集めて、交代で作業をする必要はありません。ちなみに、6月バルセロナでおこなわれた470世界選手権のマークボートはたった1人。フランスやオーストラリアのヨットレースでも、もちろんマークブイを打ちやすいことが条件ですが、運営艇に乗る人数は驚くほど少ないものです。こうしたコスト、人員を最小限にしたレース作りをできる環境が三河湾にあります。
一方、イタリア・ガルダ湖のようなドン深(200〜300メートル以上ある)のレースエリアでは、タコツボやロブスターブイのようにヨットレース用のブイが点々と恒久的にアンカリングしてあって、風向によってブイにマークを付け替えるというスタイルをとっています。レース期間中毎日アンカーを下ろして上げる、という作業はおこなわれていないようです。
さて、話は少々脱線しましたが、バルクヘッドマガジンでは、今年の全日本ミドルボート選手権を振り返りながら、この大会のポイントや日本のキールボートレースについて感じたことなどを、数回に分けて書いていきたいと思います。
碧南高校ヨット部OBたちが乗り込み、総合4位、Cクラス優勝を果たした〈アケア〉(J/V9.6CR)。普段はJ/24〈Fer de Fonte〉でも活動しています。「総合でホライゾンに負けたのが悔しい!」と話していましたが、ヨットレースを笑顔で存分に楽しんだようです。photo by Junichi Hirai
◎2012全日本ミドルボート選手権(成績、航跡が公開されています)
http://www.tosc.jp/mb/
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