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リタイア艇続出、ボルボオーシャンレース

※サンケイビジネスアイ紙で連載していたコラムを紹介します。


マストが折れ、応急リグでかろうじてセーリングする〈プーマ・オーシャンレーシング〉。撮影 Amory Ross/PUMA Ocean Racing/Volvo Ocean Race

コラム(69)
リタイア続出、ボルボオーシャン世界一周レース

 いま世界のセーリングファンの注目を集めているのは、今秋にはじまった世界一周ボルボオーシャンレース。11月5日にスタートした第1レグは、スペインの地中海に面したアリカンテから南アフリカ・ケープタウンまで約1カ月間、6500マイル(1万2038キロ)を走破する。出場艇は、地中海からジブラルタル海峡を抜けて大西洋へ。さらにブラジル沖にあるチェックポイント、フェルナンド・デ・ノローニャ島をまわってケープタウンへ向かう。

 この大会は4年に一度開催されるが、今年は第1レグから荒れた展開となっている。スタート後、サウジアラビアから初出場となる〈アブダビ・オーシャンレーシング〉が、強風のなかでディスマストした。ディスマストとは、ヨットの帆を揚げるための支柱が、何らかの原因で折れてしまうことで、マストがなければセーリングは不可能だ。さらに、中国の〈チーム・サンヤ〉は、荒れた海域で船首の一部分が大きく割れてしまい、大量の浸水を余儀なくされた。沈没も心配されるほどのダメージだが、船首部分が密閉構造だったため大事故につながらなかった。

 残された4艇の参加チームは大西洋へ向かい、赤道の無風帯を抜けて、風の強い偏西風を求めて南下している。しかし、ここで再び事故が起こった。スタートから17日目、アメリカの〈プーマ・オーシャンレーシング〉が、風速23ノットの強風のなか、ケープタウンまであと2100マイルを残してディスマストしてしまったのだ。

 この事故は、今回は先にリタイアした2艇と違って近くに寄港できる陸地はない。〈プーマ〉は、まず折れたマストを回収し、残った部品で緊急用の短いマストを立てた。その緊急マストに小さなセールを取り付けて、セーリングできるように改造した。現在〈プーマ〉は、もっとも近いトリスタン・ダ・クーナ島へ向っている。最寄りの島といえ700マイル(1300キロ)あり、きびしい航海が続いている。(2011.11 文/平井淳一)

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