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五輪ラジアル代表は土居愛実18歳に!

 レーザーラジアル級世界選手権最終日。今日のボルテンハーゲンは鏡のような海面で朝を迎えました。しかし、勝負の神様は、4年間の努力にエールを送る風を運んで来てくれました。(レポート/JSAFオリ特:飯島洋一)


第1レースを10番台で上マークを回航する原田小夜子。このレースで一時土居を逆転しますが…。photo by Nils Bergmann

 11時AP降下。各選手最後の勝負を向かえます。風は弱く6〜7ノット、マークセットは30度。1回のゼネリコの後、2回目のシークエンスでスタートは切られました。土居、原田はお互いを意識するかのように本部船寄りから並んでスタート。最初のいいタイミングで原田は、右海面に展開します。

 一方、土居は最初のタックのタイミングを原田奪われ、右に出て行くのが遅れ、他国の選手の間に入ってしまい2度、3度と逃げのタック。スタート時、左から入っていた風は右にシフトし、上マークは原田10番台後半、土居は集団の中に埋もれ下位での回航となりました。

 ここから原田は2回目のクローズホールドで順位を上げ、15位でフィニッシュをしました。土居は2回目のクローズではるか彼方を行く原田が目に入るのか、いつものようなコース取りに冴えがなく順位を下げてしまいます。

 土居のフィニッシュは46位。原田は最終レースを残し、ついに土居を逆転しました。フィニッシュ後、コーチボートを見るなりガッツポーズの原田。片や、涙を流す土居。この光景と点差を見る限り、最終レースの結果は目に見えているようでした。

 しかし、続いて行われた第2レース。スタートライン風下寄りから素晴らしいスタートを切った原田。本部船付近の混戦より逃げのタックを打つ土居。上マークは20番台で土居が先行。続いて7〜8艇、後ろに原田。コーチボートから見ている私たちも「ハラハラ、ドキドキ」公平の立場からどちらを応援する訳にもいかず、胃の痛い思いをするレース観戦となりました。最終選考会のしかも最終レースでデットヒートを繰り広げる2人を見て、目頭が熱くなりレースを冷静には見ていられません。

 土居は原田に先行したことから落ち着きを取り戻したのか、本来の風の読みを取り戻し、17位でフィニッシュ。総合52位・313点。原田はダウンウインドで順位をキープすることができず順位を下げて35位でフィニッシュ。総合53位・318点。この瞬間、五輪代表は土居愛実選手に内定しました。

 今日ほど気持ちだとか気合で戦うというといったことを感じたことはありませんでした。それほど今日の彼女達のセーリングは「オリンピックに出る!」という気持ちが前に出ていました。また、11レース終了後の土居の姿からは想像もできないほどの気持ちの切り替え、精神力の強さを感じたレースでした。

 破れはしたものの原田選手は、3度目の正直で初のゴールドフリート。最終レース最後の最後まで代表を目指し戦った事を誇りに思い、胸を張って帰国して欲しいと思います。


レーザーラジアル級日本代表候補に決まった土居愛実(慶應大1年)。photo by Junichi Hirai


自己ベスト・ゴールドフリート11位でフィニッシュした長谷川。photo by Nils Bergmann

◎レーザーラジアル級世界選手権 最終成績 133艇53カ国
52位 土居愛実 20-39-14-26-[40]-24 -34-45-48-[52] -46-17
53位 原田小夜子 [49]-26-22-39-38-22-44-[46]-37-40-15-35
62位 長谷川哲子 13-[48]-33-27-44-41-61-[61]-52-50-11-60
64位 多田桃子 28-[39]-31-27-22-31-58-35-59-60-[61]-61
70位 冨部柚三子 28-[46]-[36]-35-35-35-14-27-11-23-13-2
85位 松苗幸希 48-34-44-50-[51]-39-[BFD]-47-4-8-14-17

◎Audi Laser Radial World Championship 2012
http://www.laserworldchampionship.com/

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