軽風ボルテンハーゲン、レーザーワールド
5月5日、ドイツ・レーザー級世界選手権2日目は、弱い北風の中で2レースを行いました。天気は晴れ、日差しも強いのに海面を流れてくる風の冷たいこと。気温は10度あるかないかです。そして水温は9度。軽風だと動作が少ないせいか寒さをより感じるようで、毛糸の帽子をかぶった選手が多くみられました。(レポート/JSAFオリ特:斎藤愛子)
ボルテンハーゲンは冷たい風が吹いています。phtoto by Wolgang Weber
オーストラリアのスリングスビー選手がダントツの走りを見せています。北京五輪で軽風が全く走れていなかったのを克服して、異次元の速さを出しています。セッティングとステアリング、ボートバランスで、同じ風速ながらも他艇よりパワフルに走れる組み合わせを見つけています。
2位のクロアチア・スティパノビッチ選手はレース展開のうまさを感じますが、3位のバートン選手(オーストラリア)を見る限り、オーストラリアの軽風対策には圧倒されます。スリングスビー選手は強風では敵なし、加えていまや微風でも敵なしになりつつあり、ロンドン五輪の金メダル最有力選手です。それでも、イエールではメダルレースでディスマストして(1位から5位に落ちて)ショックな結末だっただけに、オーストラリアはスタッフを含めて、石橋をたたいて渡る以上の念入りな準備を心掛けているそうです。
時折、13ノットのガストがスタート前までは入っていました。ゼネリコを繰り返している間に10ノット以下に落ち、レース中は8ノットを超えることがごくまれにあったくらいでした。そんな軽風レースでしたから、がまんが大切です。
今日は永井が第3レースで果敢なスタートを見せ、スリングスビーといっしょにタックを返していく積極的なレースをして16位フィニッシュ。気迫ある走りでした。今回の永井は選考レース(2月葉山)の時と同様に最初から爆弾(捨てレース:初日の43位)を抱えてのレースになりましたが、少しずつ借金を返して最後に追いつけるよう、あの気迫を継続してほしいものです。
19歳・南里がこの軽風の中、今日も20番台2本でまとめてトータルで83位と、日本選手のトップをキープしています。しかしながら、12枠を目指す29か国の中では14位に後退してしまい、僅差の中で1ポイントを争う戦いの渦中にいます。まだ、予選の半分が終了したところなので、これから後半が勝負となり、ますますの集中力をもって取り組んでほしいところです。
世界選手権に選手としては初めての参加となった粟野は「いつもはチャーター艇の担当で大会に行っていましたから、選手だと何か時間をもてあましてしまい、これでいいのかな??と落ち着かないです。昨日はマーク付近で集団の中に入れなくてだめでしたけど、今日は中へ寄せていくようにがんばりました。でも、ぶつけてしまいました…」。本人は日本でレーザーを建造していますが、長年の夢だったワールド参加を果たしハイレベルな壁に圧倒されています。
明日も今日とコンディションは同じ。明後日はさらに弱まる予報がでています。予選は吹かない状況が続くので、とにかく、スタートで一線を貫くことがキーです。エルサルバドルの選手は1日で44位から112位まで落ちてしまいました。少しでも油断したら50番くらい平気で落ちますし、40点差は1日でひっくりかえります。明日から後半、まだまだ、これからです。
日本最高順位の南里選手。photo by Yoichi Iijima
◎レーザー級世界選手権2日目 170艇62か国70位
83位 南里研二 (27)-21-24-21
110位 永井久規 29-(43)-16-41
128位 ホール・イアン 36-28-(50)-40
130位 安田真之助 40-(42)-38-28
134位 城 航太 33-31-44-(49)
163位 粟野和昭 54-50-(55)-54
◎Audi Laser World Championship 2012
http://www.laserworldchampionship.com/
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