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船乗りのことわざ。板子一枚下は地獄

夕暮れの海。これから夜の航海がはじまる。撮影 平井淳一

サンケイビジネスアイ・コラム(47)
船乗りのことわざ。板子一枚下は地獄

船乗りの言葉で、「板子(いたご)一枚下は地獄」ということわざがある。のんびり海に浮かんでいる船でも、底にある一枚の板をはずしたら沈んでしまう。この言葉は、船乗りの仕事は危険と隣り合わせ、という意味で使われる。おだやかな海だからといって安心してはいけない。天候が急に変わって風が強くなることもあるし、変化にともなってセールが破けたり、艤装品が壊れることもある。

月あかりのない真っ暗な海をセーリングしている時、この言葉を思い出すと背筋がピンとなり、緊張してしまうのはわたしだけだろうか。恥ずかしい話だが、ここに失敗例として自身の経験をお伝えしたい。

20代の頃、和歌山県からグアムまでセーリングクルーザーで行ったことがある。和歌山の港を出港した初日の夜、紀伊半島南端・潮岬を越えたあたりで、大型フェリーとニアミスしてしまった。船長はとっさの判断で舵を切って急に方向転換したが、その時に艤装品の一部が自分の右足にあたり、その衝撃で反対舷に投げ飛ばされてしまった。

その衝撃で気を失ったようで、目が覚めた時は腰から下がずぶ濡れのままキャビンで寝かされていた。あとで仲間に聞くと、反対舷に投げ飛ばされ、下半身が落水した状態でライフライン(船のまわりを囲む命綱)にしがみついていたという。飛ばされた衝撃で大腿部を骨折してしまったが、あのとき、海に落ちていたら命はなかっただろう。

当時の自分は外洋ヨットの経験も未熟で、危険に備える能力が足りなかった。いまなら前もってフェリーとニアミスする針路を選ばないはずだ。板子一枚下は地獄。この言葉を聞くと、海をあなどることなく、いつまでも安全にセーリングしたいと思う。(2011.6 文/平井淳一)

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