リオ五輪セーリング競技艇種決定、迫る
サンケイビジネスアイ・コラム(38)
リオ五輪セーリング競技艇種決定、迫る
クルマの性能やデザインに流行があるように、ヨットにも時代の流れに沿ったスタイルがある。この10年、キーワードとなっているのは「より簡単に、高速でセーリングできる」こと。軽量化された船に大きなセールを取り付け、パワーバランスを保つために重いおもりを備える。これまで追い風に使っていたバルーン状のスピネーカーは、簡単に操作できるハイスピード用の非対称デザインに取って代わった。
ハイパフォーマンスディンギーと呼ばれるシドニー五輪に初登場した2人乗り種目の49er級(フォーティー・ナイナー)は、いまやセーリング種目の主役になりつつあり、姉妹艇の29er級(トゥエンティー・ナイナー)は世界のユース選手権でも採用されている。
5月4日からロシア・サンクト・ぺテルブルクで、国際セーリング連盟(ISAF)のミッドイヤーミーティングが開催される。今年度、注目されている議題は、2016年リオ五輪の競技艇種の決定だ。これまでISAFでは時代の流れを加味しながら、どの国からでも参加しやすく、またオリンピックで注目されやすい艇種、競技内容などが議論されてきた。
現在、カイト(西洋凧)をつかって走るカイトボーディングや女子ハイパフォーマンス艇など10種目9艇種がリオ五輪の候補にあがっている。そのなかで、日本が過去にメダルを獲得したことのある2人乗り種目の470級が、男女別から男女ミックスに変更しようと提案されている。
1963年にフランスで生まれた470級は、「より簡単に高速でセーリングできる」という、いまの時代にあったヨットとは呼べないものだ。しかし、アジア版オリンピックと呼ばれるアジア大会で制式艇になっていることをはじめ、日本では国体や大学選手権で採用されていることから、この変更に異議を唱える国もある。日本はISAFへ男女混合に反対する意見を提出している。(2011.4 文/平井淳一)
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