新体制発足、オリンピック強化委員会・前編
4月1日、日本セーリング連盟オリンピック強化委員会(仮称。旧オリンピック特別委員会)は、2016年リオ五輪に向けて新体制を発表しました。日本はオリンピックに向けてどのような新体制で挑むのでしょうか? また、オリンピック強化委員会の考えるセーリング強国へ向かう計画とは? オリンピック強化委員会の西岡一正委員長に話しを聞きました。3回に分けて紹介します。(BHM編集部)
日本セーリングの弱さが露呈されたロンドン五輪。JSAFオリンピック強化委員会はリオに向けて再出発を図ります。photo by Kazushige Nakajima
『ジュニア・ユースの育成・強化が日本を強くする』
BHM編集部:4月よりオリンピック強化委員会(仮称)の新体制がスタートしました。ロンドン五輪の惨敗から半年が経ち、リオ五輪に向けてどのような改革がされるのか、わたしたちセーリングファンの期待するところです。西岡委員長、今回の新体制で一番の変化はどの部分といえるでしょうか?
西岡委員長:いちばんの大きな変化は、もっと『長期的な目標』を持とうということです。それと同時にリオ五輪でも結果を出す。わたしたちは、ふたつの目標を掲げることにしました。
長期的な目標というのは、長期過ぎて笑われてしまうかもしれませんが、4、5回先のオリンピックまでを見据えるということです。つまり、20、30年後に開催されるオリンピックで『全種目に出場し、入賞できる』ようになりたい。
日本の得意な種目、優れた選手がでてきたらそれに挑戦するのではなく、組織立てて、目標を設定して、選手の育成・強化をしていこうということです。
それと同時にリオの目標を設定します(短期的な計画)。目標は『3種目の入賞と1種目のメダル獲得』です。
この長期・短期計画を効率よくおこなうため、これまでのオリンピック特別委員会とジュニア・ユース育成強化委員会を合併して、『オリンピック強化委員会』に名称変更される予定です。
BHM:ふたつの計画をオリンピック強化委員会が進めることで、具体的にどんなことが変わってくるのでしょうか?
西岡:まず、これまでとアプローチの仕方が変わってきます。(オリンピックで勝つことを目標に)ジュニア・ユースを育て、彼らをISAFユースワールド、ジュニア世界選手権で活躍する選手にしたいと考えています。
具体的には、ふたつのポイントがあります。
(1)選手層を厚くする
日本セーリング連盟(JSAF)では、インターハイ、国体の制式艇種問題に取り組み、この環境ができあがりつつあります(編注:日本のユース制式艇種として420級、レーザー級(ラジアル)が導入され、2015年インターハイ、国体から採用される流れにあります)。インターハイ、国体艇種をISAFに採用されている世界標準艇に統一していくことで、選手が他艇種に分散されなくなり、多くのユースが同型艇で戦うことになります。
(2)選手の大型化
これまでヨットを続けていくには、限られた体格の選手しか挑戦できない傾向がありました。ユース制式艇種に420級、レーザー級が導入されることは選手の大型化にもつながり、そうした子どもたちがヨットに乗り始めることを期待しています。
オリンピック強化委員会では、いま『選手育成プログラム』を作っています。コーチを育てたり、ダブルハンド艇、シングルハンド艇の乗り方の教科書を作ったり、また全国水域のレースのお手伝いをしていく考えです。
※次回はオリンピック強化委員会の新体制「三水域制」と「JSAFナショナルコーチ」について紹介します。
インターハイ、国体の制式艇として採用される予定の420級。2015年から実施予定です。420級はユース世代の世界大会、ISAFユースワールドの2人乗り種目で採用されています。photo by Junichi Hirai
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