レーザー男子の覚悟。NT選考レース後半戦へ

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  • Dec

 12月11日、和歌山ナショナルチーム選考はシリーズを折り返し、後半戦に入りました。朝から土砂降りの和歌山は前線が通過したため陸上待機。昼前に北西風が安定するのを待って海上へ。選考6日目は、ターゲットタイム25分のショートコースが採用された470級男女が3レース、その他のクラスは2レースおこないました。(BHM編集部)

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低い雲が流れ、暗い曇天・雨の1日となったナショナルチーム選考6日目。photo by Junichi Hirai

 風に恵まれている今年のナショナルチーム選考は、きびしくも体力を消耗する強風シリーズとなっています。後半戦に入り、トップグループは安定した成績を残し、ナショナルチームの顔ぶれがぼんやりと見えてきました。

 470級男子は土居一斗/今村公彦が2位の飯束潮吹/八山慎司に10点差をつけて首位に。470級女子は山口祥世/畑山絵里。レーザー級は南里研二と安田真之助が一歩抜けた走りを見せています。ラジアル級は土居愛実が10レース中8本のトップを取る快進撃。RS:X級男子は強風に定評ある板庇雄馬、女子は須長由季が1位です。

7月ワールドで五輪出場国枠獲得を目指すレーザー男子の覚悟

 ロンドン五輪で出場国枠を逃し、リオ五輪の50パーセントの出場国枠が決まった今年9月開催されたサンタンデール・ISAFセーリングワールド(世界選手権)で敗退したレーザー男子。世界と比較した真の実力は、言わずもがな選手自身が分かっています。リオ五輪に出場するためには、高いハードルを越えなければなりません。

 この選考レースでは、南里と安田が毎レーストップ争いを演じ、10艇身ほどあいて瀬川和正、さらに距離を置いて高校生、大学生グループが入るというレース展開が続いています。

 本選考では南里と安田が抜けだしていますが、彼らが考えていることは国内で「勝った負けた」ではありません。リオ五輪出場国枠を獲得できていないレーザー級は、来年7月のレーザー級世界選手権で与えられる9カ国の国枠を取ることが目標です。叶わなかった場合は、2016年3月のアブダビASAFカップ(2枠)に懸けることになります。このミッションを達成できなければ、リオ五輪に日本は出場できません。

 ISAFセーリングワールド敗退後、安田真之助は宮津高校(教員)を休職しました。これまでのトレーニングだけではリオ五輪出場はむずかしいと感じ、セーリングに没頭したいという希望からです。11月のレーザー全日本出場後、クロアチアのヨットクラブの五輪活動グループに加わるという武者修行に出ました。

「サンタンデール(ISAFセーリングワールド)が終わった時、現地で、話したこともないクロアチアチームを訪ねて「いっしょに練習させてくれませんか」とお願いしました。クロアチアのヨットクラブのコーチは、ロンドン五輪4位だった選手。ツテがあったわけではありませんが、その現場に行って練習してみたいと思ったんです」(安田)

 11月、安田はクロアチアへ飛び、クロアチア、ハンガリー、オーストリアといった五輪を目指す選手と約3週間のトレーニングをしてきました。その成果はすぐにあらわれるわけではありませんが、来年のワールドを目標にした武者修行が始まっています。

 また、21歳の南里は長崎国体後、拠点を和歌山に移しトレーニングしてきました。完全にセーリング漬けとするために仕事(アルバイト)を辞めて、野宿ぐらしのようなことをしています。同じく、現在3位の瀬川(26歳、無所属)もアルバイトをしながら約2年間五輪活動してきましたが、この秋に仕事を完全にやめて毎日和歌山で練習しています。レーザー男子の現在トップ3選手は無職となり、自分を追い込んで活動しています。

 彼らの行動を「そんなことやって意味があるのか? もっとよく考えて、効率いい方法を見つけるべきだ」と思う方もいるかもしれません。しかし、世界との実力差を知っている彼らの苦悩も編集部には伝わってきます。「このままでは、ダメだ」という気持ちが根底にあり、最良の方法が見つからないけれど動き出さなければ始まらない、というジレンマが感じれます。

 これから彼らがどれほどの成長するのか想像できませんが、日本のレーザー男子はオリンピックへ出るためそれぞれ覚悟を持って行動しています。残された時間は長くありません。

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教員をしながらの五輪活動に限界を感じ、休職して国枠取りに挑戦する安田真之助。photo by Junichi Hirai

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龍谷大を卒業後、地道に五輪活動を続けている瀬川和正。昨年に比べて強風の走りに成長が見られます。photo by Junichi Hirai

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190センチ、85キロという恵まれた体格の南里研二。昨年選考は安田に敗れましたが、今年は首位を保っています。photo by Junichi Hirai

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470級男子(NT枠3艇)、470級女子成績(NT枠1艇)
※五輪国枠を獲得した男子・松永/吉田(スリーボンド)、女子・吉田/吉岡(ベネッセ)はNT認定済のため不参加

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レーザー級(NT枠2艇)、レーザーラジアル級成績(NT枠2艇)

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RS:X級男子(NT枠1艇)、RS:X級女子成績(NT枠2艇)
※五輪国枠を獲得した富澤(トヨタ自動車東日本)はNT認定済のため不参加

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