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【コラム】バルクヘッドマガジン編集長のヴァンデ・グローブ反省会

 フランスをスタートしたヴァンデ・グローブの取材が終わり、今年のビッグイベントがひと段落しました。いままでヴァンデ・グローブほど大きな大会を取材したことがなかったので貴重な経験になりました。今回はヴァンデ・グローブひとり反省会です。世界最大のヨットレースを取材した感想などを書き留めておきたいと思います。(BHM編集部)

ヴァンデ・グローブの取材に行ってきた編集長。これは出発前。江の島の全日本インカレが終わってから羽田空港へ急いで移動しました。深夜発だと機内で寝ればいいからちょうどいいのです

◎パリからレ・サーブル・ドロンヌまでの運転はしんどかった

 ヴァンデ・グローブのスタート地、レ・サーブル・ドロンヌはフランス北西部に位置しています。今までパリ(シャルルドゴール)空港で国内線に乗り換えてナント空港まで行き、そこからレンタカーを借りるというパターンで行ったことがあります。

 でも、今回は最初からレンタカーで行くことに決めていました。理由はロストバゲージ(荷物が目的地に届かないトラブル)を回避するためです。これまで何度かひどい目にあっています。幸運にも仕事に影響せず解決できましたが、もし荷物(カメラ機材)が届かなかったらと考えるとゾッとします。

 そのため最近は「いったんパリ空港で荷物を全部受け取る」を基本にしています。フランスの高速鉄道・TGVで移動したことも何度かあるのですが、あまりにも荷物が重過ぎるのと、TGV内で荷物の置き場に困ることから最近は使っていません。それに、うたた寝できないし、トイレにも行けない。

 クルマで移動するとパリから約500キロあります。葉山から和歌山まで(約600キロ)走ることがあるので、なんとなくイメージしていましたが、これが予想以上にキツかったです。なんでですかね? 慣れていない道だからかもしれません。

 レンタカーのおかげで機材をなくす心配もなく、本当によかったです。移動時間は、2、3回の休憩を入れて6時間ぐらいでした。パリ市内の渋滞にハマるとさらに時間が掛かり最悪のようです。

ヴァンデ・グローブのメディアセンターの食堂。食料品のSodebo(ソデボ)がスポンサーなので、カフェ、サンドイッチ、ランチも食べ放題でした。レンジでチンするカップラーメン的なパスタが人気で編集長も何個も食べました。美味しかったです

◎忘れもの。出張の必需品、携帯ウォシュレットとあれこれ

 今回は江の島で開催された全日本インカレが終わった夜に出発したので、ドタバタしながら荷作りしまいました。とはいって、いつも荷作りするのは直前なのでドタバタに変わりないのですが。

 出張荷物はだいたい決まっているので、それをスーツケースにぶち込んでしまえば問題ないのですが、今回いちばん忘れてはいけない携帯ウォシュレットを忘れてしまいました。

 これは本当に困りましたが、忘れちゃったものは仕方ありません。ウォシュレットのようなものは海外にないし、携帯用なんて日本以外で見たことがありません。羽田空港の売店で探してみましたが、夜遅かったし見つけられませんでした。次回は必ず忘れないようにします。

 もうひとつ大きな忘れ物をしたのですが、なんとか乗り切ることができました。なにを忘れたのかを言ってしまうと、とんでもなく怒られるし捕まっちゃうかもしれないので言いません。これも反省。

◎編集長の仕事場、メディアルームは予想以上に狭かった

 みなさんは、バルクヘッドマガジン編集長はどこへ行ってもスマートに取材撮影している、と思っているかもしれません。でもそれは大きな間違いで、自分でも笑ってしまうほどうまくいかないのです。交渉、交渉の連続です。

 考えてみてください。どこにあるのか知らない極東の国から来たフォトグラファーのことを優先して考えるなんて、するわけがないでしょう? 自分の国がいちばん大切なのは、どこの国でも一緒です。

 特にフランスは自分の国をとても大切にしている国で、自分たちが第一優先です。フォトグラファーやジャーナリストも優遇されているように見えます。メディアルームに行っても、海外ジャーナリスト用の作業デスクなんて、ほんの数席しか用意されていませんでした。これには驚きました。

 それでもオリンピック・セーリング会場の2倍ほどの席が用意されていましたが、机の上には通信社、新聞社、雑誌社、チームの名前(フランス語)がペタペタ貼られて予約されてしまっています。もう本当にやりにくい!

 今回も交渉、交渉の連続でした。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあります。対策は、、、なさそうですね。面倒ですけれど、また交渉します。

とにかく人の多さに圧倒されたヴァンデ・グローブ当日。朝7時でこんな感じです。まだ太陽は昇っていません
人が崩れ落ちないかと心配になる水路(チャネル)の観客。30万か50万人ぐらいいそうでした(観客数の正式発表はまだです)。
出場艇は水路をパレードして海に出ていきます。両端には人、人、人。町は当然、車が入場できないよう交通規制されています
こちらはスタート日ではなく前日のヨットハーバーの大混雑。ここ、ヨットハーバーですよ?
自分の部屋から水路に向かってサックスを吹くムッシュ。どうしてサックスなのか意味不明ですが、こういうところがフランスなのかなと思いました

◎スタート日、まだ太陽が昇らない時間から町は観客で埋め尽くされていた

 ヴァンデ・グローブを取材する上で大きな問題があります。それは、スタート前日から町に観客が押し寄せてくるということです。

 選手が出港して水路を通って海へ出るシーンはヴァンデ・グローブのメインイベントのひとつです。しかし、水路のまわりには応援する人であふれています。どれだけの人かと言うと、鎌倉八幡宮の初詣3日分(編集長の印象です)の人が水路脇から応援しているのです。

 これほどまでに観客がいるヨットレースは見たことがありません。オリンピック(セーリング)やアメリカズカップなんて規模が違い過ぎて比較しようがありません。

 出港する選手たちを一目見ようと、前日から場所取りする人も多いそうです。編集長も場所取りしてみようかと思いましたが、よく考えて断念しました。撮り終わった後、人ごみの中をかき分けてハーバーに戻ることができなくなるからです。

 選手たちが出港したあとはボートに乗って海上で撮影する予定になっていました。水路の撮影を終えてからでは、ボートの出港時間に間に合いません。編集長の計画は二転三転。前日には水路周辺をロケハンして、往復タイムを測りながら歩いて準備しました。

 結局スタート当日は水路で撮影したあとダッシュでハーバーへ戻り、フォトボートに乗ることに成功。海上でもプランを二転三転しながら、なんとか無事に撮影を終えました。

 満足な撮影ができたかと言われると、そんなことはなく、もっと良い方法があったんじゃないかと反省することばかりです。それでも仕事をこなせるようになったのは、過去の失敗があるからかもしれません。そして、次はもっとうまくやろうと誓うのでした。あー、すごかった。ヴァンデ・グローブ!

スタート3日前のレ・サーブル・ドロンヌ駅。ひと全然いません。前日になると人が押し寄せてくるようです。当日は列車のチケット完売。タクシーもつかまらないとのことでした

第10回 ヴァンデ・グローブ 基本データ
日時:2024年11月10日スタート
開催地:レ・サーブル・ドロンヌ(フランス)
総距離:2万4300マイル(4万5000キロ)
出場:40選手(うち女性6名)
国:11カ国。フランス、イギリス、スイス、ドイツ、イタリア、ベルギー、ハンガリー、日本、中国、米国、ニュージーランド
初出場:18選手(最年少は23歳女性)
新艇:14艇

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