写真で振り返る日本のヨットレース、この10年(7)
海で遭遇するもっとも恐ろしい出来事は、天気の急激な変化かもしれません。穏やかだった海に黒い雲が近づき、あっという間に風が上がり、波が高くなり、帰港が困難になる。セーラーなら誰しも似たような経験をしたことがあると思います。(BHM編集部)
2017年に福井県若狭和田湾で開催された「第82回全日本学生ヨット選手権」3日目は、振り返るのがためらわれるほど悲惨な状況でした。
スタート前の風は8ノット以下。470級がスタートし、第2マークを回航したあたりで西の方からどす黒い雲が近づいてくるのがわかりました。その後、470級は下マークでレースキャンセル、スナイプ級はスタートできずそのままハーバーバックに。
海はいよいよ真っ暗になり、強風と大雨が選手たちを襲いました。全員がハーバーに逃げ帰りますが、あちこちで沈艇がみられ、無線で救助要請が入り、海上は騒然となったのを覚えています。
からくも防水の用意をしたカメラで撮影したのが上記の写真です。豪雨により視界がなくなり、ジブだけで帆走していても風と波で倒されてしまうような状況でした。
その後、長い時間救助活動が続きましたが、さいわいにも全員の無事が確認されました。
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