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東京五輪代表選手がほぼ出揃う。メルボルン選考を振り返って

 約1カ月にわたってオーストラリア・メルボルンでおこなわれた東京五輪日本代表選考が終わりました。代表が決まったのは、49er男子、ナクラ17級、レーザースタンダード男子、レーザーラジアル女子、RS:X女子です。ここで先に決まっている種目と合わせて、日本代表チームを紹介します。

2月メルボルンで開催された世界選手権4大会。日本代表選考を兼ねていました

東京五輪セーリング 日本代表選手
男子2人乗り 470級男子 岡田奎樹・外薗潤平
女子2人乗り 470級女子 吉田 愛・吉岡美帆
男子ウインドサーフィン RS:X級男子 富澤 慎
女子ウインドサーフィン RS:X級女子 須長由季
男子1人乗り レーザー級男子 南里研二
女子1人乗り レーザーラジアル級女子 土居愛実
男女マルチハル ナクラ17級男女 飯束潮吹/畑山絵里
男子スキフ 49er級男子 高橋レオ/小泉維吹
女子スキフ 49erFX級女子 山崎アンナ/高野芹奈
※フィン級は、5月にスペイン・マヨルカ島で開催される世界選手権が最終選考になります。

 昨年4月にはじまった五輪代表選考は、種目ごとに、3、4大会が指定され、国内外の国際大会で競われました。ほとんどの選考大会を現地で取材したバルクヘッドマガジン編集部は、公平な選考がおこなわれたという印象を持っています。

飯束/畑山、梶本/川田(写真)の2チームが同点で終えたナクラ17の代表選考

 どの選考も印象に残る内容でした。そのなかでもジーロングで開催されたナクラ17男女の代表選考は最終日まで予想のできない展開になりました。前日までの選考ポイントは同点。飯束潮吹/畑山絵里と梶本和歌子/川田貴章の勝負の行方は、最終日の2レースにゆだねられました。

 最終レース後に結果を知るのは、大会が発表する着順結果しかありません。飯束/畑山は、梶本/川田との間に3チーム入れば同点でタイブレイクにより勝利。2チームなら梶本/川田の勝利という計算です。

 単純そうに思えますが、最終レースで上位のデンマークが失格になったことで、正しい順位を知ることがむずかしくなりました。まわりの艇が落ちたり上がることで、日本の2チームの間に何艇入るのかに影響してくるからです。

 最終結果は、同点タイブレイクにより飯束/畑山が勝利。オリンピックを目指し3年半ものあいだ戦ってきた2チームが最後に同点で終わるという、信じられない幕切れとなりました。選考ポイントが同点の場合、世界選手権の総合成績で上位のチームが選ばれることが、代表選考の規定に明記されています。

 2チームの戦いで特に印象に残っているのは最終日の1本目、第10レースです。スタート後、飯束/畑山は艇団を避けるように右海面へ。さらに右へ右へと展開する戦術が失敗となり、梶本/川田(14位回航)から大きく遅れて上マークを回航します(29位)。

 この流れを見て飯束/畑山に不穏なムードを感じました。艇団から離れて右展開する様子は一発逆転の風を求めるギャンブルのように見えたからです。その結果、良い風を得られず、上マークを艇団の後方でまわる結果となりました。

 しかし、ドラマは2上マークで起きました。梶本/川田の上マークアプローチで、ポート艇を避けるために切り上がってしまい、ボートがストップするアクシデントに遭遇します。そのタイミングで、後続の飯束/畑山が追い抜き、このレースを17位でフィニッシュしました。

 第10レースの飯束/畑山は、漁夫の利にも似た先行順位を得て、不穏な流れを払拭したように思えます。運を戦いの要素に入れることは選手にとってタブーかもしれませんが、運命を感じずにはいられません。

 敗れた選手の気持ちは想像できません。勝者と敗者を明確にする代表選考という舞台は、オリンピックよりも過酷な戦いです。日本代表を決めた飯束/畑山、おめでとうございます。勝者への賛辞とともに、梶本/川田との最後の戦いを記憶に残しておこうと思います。

ナクラ17級・最終選考得点
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