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オランダ・スヘフェニンゲンで開催。2018オプティミスト級ヨーロッパ選手権レポート

 6月23日〜30日、「2018年オプティミスト級ヨーロッパ選手権」がオランダ・ハーグ近郊の北海に面した港町、スヘフェニンゲンにあるNational Top Sport Center Sailingで開催されました。日本からは4つのクラブから男女2人ずつ、計4人の選手が参加しました。(レポート・写真提供/JODA 2018年ヨーロッパ選手権派遣チーム)


ボルボ・オーシャンレースのフィニッシュ地点とOP級ヨーロッパ選手権の開催地が近いことで、ジュニア選手も世界一周レースを見学しました。photo by Sander van der Borch / CODE ZERO

オプティセーラーがボルボ・オーシャン世界一周レースを見学

 大会中は晴天に恵まれ、最高27度程度まで上がる日もあり、乾燥した、強い日差しのヨーロッパの夏らしい天候でした。朝晩は10度近くまで下がるなど、1日の中で寒暖の差が大きくありましたが、さいわい体調を大きく崩した選手はいませんでした。

 6月24日、朝から艇を整備し、昼からは開会式がおこなわれました。国旗を掲げ、チームユニフォームに身を包んだ各国選手264名がパレードする様は壮観でした。

 この日はコーチボート含めて出艇禁止となりました。というのはスヘフェニンゲンは世界一周レース「ボルボオーシャンレース」の最終11レグのフィニッシュ地点であり、この日夕刻はトップ艇のフィニッシュが見込まれていたからです。

 3檣マストのトールシップから小さなRIBまでおそらく100艇近い大小様々な船艇が港外に出て観戦するような状況で、海洋国家オランダを強く実感させられました。

 われわれ日本チームを含む各国選手もボルボオーシャンレースのハーバーに向かい、ものすごい人波の中ハーバーバックしてくるトップ艇を待ちました。トップフィニッシュを飾り、総合優勝も決めて最初にスヘフェニンゲン港に姿を見せたのは、チーム東風でした!


パレードの様子。264艇(男子150艇、女子114艇)/45カ国が出場しました

ヨーロッパ選手権予選シリーズ開始!

 6月25日からいよいよ予選シリーズが始まりました。男女それぞれブルー、イエローの計4フリートに分かれてレース。毎日10時にD旗掲揚、11時スタートのスケジュールでしたが、5時間もの風待ちに加え、風下から風上に流れる激しい潮流のためにスタートラインではゼネリコが頻発しました。

 黒色旗違反艇の表示などにも時間がかかるためなかなかスタートできず、この日は2レースのみでハーバー帰着は20時近く。高緯度で陽が長いため22時頃まで明るいのですが、選手、コーチは約10時間を海上で過ごすという非常にタフな1日となリました。

 この日、いきなり1レース目で鷲尾選手がなんとトップフィニッシュ。葉山選手が4位フィニッシュ。とハーバーでトラッキングシステムで観戦していたサポーターも大盛り上がりだったようです。

 今回のレース海面は、北西に開けた海岸線の沖合いです。大会期間中は北にある高気圧からの傾度風が続き、海風となリました。日中はこれにサーマルが加わり、北東から北西まで風軸が変化しました。

 振れはそれほど大きくなく、後述する潮流の影響がはるかに大きいレースとなりました。風はコンスタントに吹いており、弱い時で8ノット、強い日で最大20ノット程度。連日平均約10〜12ノット程度でレースが行われました。

 波については、低気圧が北海沖になかったためか、うねりはほとんどありませんが、オンショア風が上がると風波が大きくなりました。

 特筆すべきはやはり潮流で、大会期間中が大潮回りだったこともあり、潮流が非常に早く、強い時は分速50mに達し、大きな影響がありました。ただし、潮流の方向は一定で、規則正しく転流するので情報をきちんと得ることが重要でした。

 大会は3日目まで予選シリーズが行われ、計7レースを実施。岡田選手は初日1レース目17位とまずまずな滑り出し、その後は上下するも17位、20位とフリート前半の順位をキープしゴールドフリートへ。

 濱田選手は持ち味の思い切りの良いレースがなかなかできずシルバーフリートで勝負をかけることとなりました。

 女子は鷲尾選手が2日目も2回目のトップフィニッシュを取るなど好調を維持してゴールドへ。葉山選手も4位、3位と2回のシングルフィニッシュを含めフリート上位をキープしてゴールドへとなりました。


ヨーロッパ選手権参加選手
鷲尾 青(江の島ヨットクラブジュニア)
濱田 登羽(北九州ジュニアヨットクラブ)
岡田 爽良(藤沢市青少年セーリングクラブ)
葉山 カトル(横浜ジュニアヨットクラブ)

強い潮流がポイントとなるオランダ・スヘフェニンゲン

 シリーズは全10レースとなっていたため、予選7レースを終わり、大会は残り2日間で3レースの決勝シリーズを行うこととなりました。決勝シリーズはやはり各国選手とも底力を発揮するなか日本チームも健闘。

 濱田選手は決勝2レース目、吹っ切れた走りを見せて3位フィニッシュ。持てる力を出せた選手、出せなかった選手、それぞれの想いを胸にシリーズを終了しました。

 今回のレガッタは、なかなか経験できないほどの強い潮の中でのレースとなりましたが、この中でも、上位選手はタックによるスピードのロスを最小限に抑え、また潮によるオーバーセールに気をつけたコース取りをしていました。

 潮流対応が最初に来る海面でしたが、周期の長いシフト、細かな風の振れはやはりあり、セオリー通りにタックを打ちつつ、潮でもロスしないタックを打てる、基本技術の高い選手が最後には順位を上げてきました。

 ハーバー帰着後、チャーター艇を返却して表彰式がおこなわれました。男子優勝はイタリア選手、女子はアルゼンチン選手でした。鷲尾選手は女子総合6位で、おそらく日本人女子歴代最高位の好成績でした。

 その後はお楽しみのウェア等の交換。各国選手に大人気の鉢巻を持つ日本チームはどこの国からも引っ張りだこで、物怖じせず、かなり良い条件で各国の格好いいチームシャツなどをゲットしながら、夜遅くまで交流し、国際大会ならではの雰囲気を楽しんでいたようです。

 今回参加選手4名のうち3名は中学3年生で、OPの国際大会は最後です。今回大会で楽しかったこと、うれしかったこと、悔しかったこと、それぞれの想いを胸に、この後もずっとセーリングを続けてほしいと思います。

 最後にチームを支えてくださったJODAの皆様、各クラブの指導者や保護者の皆様、選手に様々なアドバイスをしていただいたヨット界の大先輩方、大会期間中、食事や洗濯などあらゆる面で選手たちを支えてくださったサポーターの皆様、そしてどんな時も明るく、前向きに頑張っていた選手たちに心から感謝したいと思います。ありがとうございました。

◎2018 OPTIMIST European Champions
http://2018europeans.optiworld.org/

2018年オプティミスト級ヨーロッパ選手権 最終成績
鷲尾 青(女子ゴールドフリート6位:1-(38)-1-3-13-7-9-20-13-17 84点)
葉山 カトル(女子ゴールドフリート28位:4-21-3-29-16-(39)-26-16-35-21 171点)
岡田 爽良(男子ゴールドフリート72位:17-34-46-17-20-(72)-31-71-58-72 366点)
濱田 登羽(男子シルバーフリート38位:42-62-59-34-28-(63)-47-60-3-63 398点)

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