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序盤の勢いが鍵となるか?カウントダウン、リオ・オリンピック(5)470級男子

 470級は1963年にフランスで誕生したふたり人乗りディンギーです。1976年からオリンピックに採用され、現行の五輪種目ではフィン級に次ぐ、歴史あるクラスです。日本は2004年アテネ五輪で関一人/轟賢二郎が、銅メダルを獲得しています。これはセーリング日本男子が獲得した唯一のメダルです。(BHM編集部)

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土居一斗(どい かずと)。写真右。平成4年3月17日生まれ(24歳)、長野県出身、私立横浜中学校(神奈川県)→私立福岡第一高校(福岡県)→日本経済大学、アビームコンサルティング所属。175cm、65kg。オリンピック初出場
今村公彦(いまむら きみひこ)。昭和59年2月3日生まれ(32歳)、鹿児島県出身、鹿児島市立南中学校(鹿児島県)→鹿児島県立錦江湾高校→日本経済大学、九州旅客鉄道所属、180cm、78kg。オリンピック初出場

 日本は世界で最も470ファンが多い国です。その理由は、長年、国民体育大会、大学、実業団で採用されているからで、草レースといえる関東470フリートレースで100艇以上集まるのですから、「日本の470は世界で最も盛ん」と言っても間違いないでしょう。

 五輪470級の勢力図はかなり明確になっています。ロンドン五輪の金メダリストチームであるマット・ベルチャー/ウィル・ライアン(AUS)が、文句なしの金メダル候補。ベルチャーは、470級世界選手権で6連覇という偉業を成し遂げた選手です。

 オーストラリアと肩を並べる実力を持つのが、クロアチア、アメリカです。クロアチアは今年のワールドチャンピオンで、アメリカはロンドン以降、チーム力が増して必ず上位に食い込んできます。続く勢力は、フランス、スペインの若手組。また、ニュージーランドの勢い、ベテランのギリシアも見逃せません。

 土居一斗/今村公彦は、昨年7月の日本五輪選考(デンマーク)で劇的な逆転勝利で日本代表の座をつかみました。この背景には、ロンドン後に始まったオーストラリアチームとの合同練習でボートスピードの飛躍的な向上があります。特にコンビの体重を活かした強風域では、世界トップクラスのボートスピードがあります。

 しかし、本年度の成績を見て分かるように伸び悩んでいる部分も見られます。これは、リオ五輪に焦点を合わせた取り組みの中での過程と考えるならば納得できますが、その答え合わせは、オリンピックが始まってみないことには分かりません。

 長年、編集長が彼らのヨットレースを見ていて感じているのは、起伏のある成績、レース内容です。素晴らしい走りを見せ、好成績を残した次のレースで、スタートの失敗をリカバリーできず悪い成績を取ったり、そのまた逆の例もある。良い方向に運んだ時は、レース毎に気持ちの切り替えができているともいえますが、シリーズ戦略の組み立てが煩雑になってしまうのも確かです。

 編集長が470級男子のレースで注目しているのは、ずばり「第1レースの1上マーク」です。ここで彼らが好成績を取って勢いをつけ、シリーズ序盤戦で貯金を持つことができれば、上位国とメダルを意識した戦いができるでしょう。いずれにしても、470級は日本で最も注目されている種目です。プレッシャーに負けることなく、思い切りの良い、彼ららしい走りを見せてもらいたいと思います。

土居/今村 2013〜2016年までの戦歴
17位 16年6月 Sailing World Cup Weymouth & Portland, GBR
19位 16年4月 470 European Championship, ESP
10位 16年3月 Trofeo SAR Princesa Sofia, ESP
27位 16年2月 470 World Championship, ARG
31位 15年10月 470 World Championships, ISR
9位 15年8月 Aquece Rio (Rio 2016 Test Event) , BRA
11位
11位 15年8月 470 South American Championship, BRA
8位 15年7月 Open 470 European Championships, DEN
33位 15年6月 ISAF Sailing World Cup Weymouth & Portland, GBR
17位 15年4月 ISAF Sailing World Cup Hyeres, FRA
8位 15年4月 International 470 Spring Cup, FRA
6位 15年3月 Trofeo SAR Princess Sofia, ESP
2位 15年2月 470 Australian National Championship, AUS
19位 15年1月 ISAF Sailing World Cup Miami, USA
15位 15年1月 470 North American Championships, USA
9位 14年9月 2014 ISAF Sailing World Championships, ESP
18位 14年8月 Aquece Rio (Rio 2016 Test Event) , BRA
11位 14年7月 470 South American Championship, BRA
16位 14年7月 Open 470 European Championships, GRE
28位 14年4月 ISAF Sailing World Cup Hyeres, FRA
32位 14年3月 ISAF Sailing World Cup Mallorca, ESP
9位 13年9月 ISAF Sailing World Championships Test Event, ESP
26位 13年7月 470 World Championships, FRA
11位 13年6月 Kieler Woche, GER
50位 13年6月 Open 470 European Championships, ITA
7位 13年5月 Delta Lloyd Regatta, NED
27位 13年4月 ISAF Sailing World Cup Hyeres, FRA
6位 13年4月 International 470 Spring Cup, FRA
29位 13年3月 ISAF Sailing World Cup Palma, ESP

470級男子エントリー選手一覧(ランキング順)
1. Sime Fantela / Igor Marenic(Croatia)
2. Mathew Belcher / William Ryan(Australia)
3. Luke Patience / Chris Grube(Great Britain)
4. Panagiotis Mantis / Pavlos Kagialis(Greece)
5. Stuart Mcnay / David Hughes(USA)
6. Anton Dahlberg / Fredrik Bergstrom(Sweden)
7. Joan Herp / Jordi Xammar(Spain)
9. Paul Snow-hansen / Daniel Willcox(New Zealand)
10. Sofian Bouvet / Jeremie Mion(France)
11. Ferdinand Gerz / Oliver Szymanski(Germany)
12. Pavel Sozykin / Denis Gribanov(Russia)
13. Florian Reichsadter / Matthias Schmid(Austria)
14. Lucas Calabrese / Juan De la fuente(Argentina)
17. Asenathi Jim / Roger Hudson(South Africa)
18. Yannick Brauchli / Romuald Hausser(Switzerland)
19. Deniz Cinar / Ates Cinar(Turkey)
20. Joonas Lindgren / Niklas Lindgren(Finland)
22. Eyal Levine / Dan Froyliche (Israel)
23. Zangjun Xu / Wei Wang(China, PR)
24. Chang ju Kim / Ji-hoon Kim(Korea)
29. Kazuto Doi / Kimihiko Imamura(Japan)
30. Jacob Chaplin-Saunders / Graeme Chaplin-saunders(Canada)
40. Henrique Haddad / Bruno Amorim(Brazil)
49. Borys Shvets / Pavlo Matsuyev(Ukraine)
55. Andres Ducasse / Francisco Ducasse(Chile)
101. Matias Montinho / Paixao Afonso(Angola)

◎World Sailing Rio 2016
http://www.sailing.org/olympics/rio2016

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