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【コラム】一歩の先のステージへ。2016年全日本ミドルボート選手権を取材して

 〈プロパガンダ〉の逆転優勝に湧いた「西宮・全日本ミドルボート選手権」。優勝艇は、前回大会、オールトップの成績で制した艇(A35)なので、少なからずプレッシャーもあったことでしょう。〈プロパガンダ〉のみなさん、見事な戦いでした。優勝おめでとうございます。(BHM編集部)

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晴れ渡った全日本ミドル最終日。気象庁は梅雨明けしたことを発表しました。photo by Junichi Hirai

 シリーズは初日の曇天、微軽風に始まり、最終日の中風コンディションまで合計7レースを実施しました。各チームとも得意風域があり、裏を返せば、不得意風域の対策ができたか、できなかったかが総合成績にあらわれたと思います。

 今回〈プロパガンダ〉の風だったのかと言われると、そうではありません。苦手の微軽風域をチームワークで耐えしのぎ、大会前におこなったセッティングの改良で補ったことが勝利につながりました。

 バルクヘッドマガジンは、国内のクルーザー選手権の中でも、この全日本ミドルボート選手権を特に注目しています。その理由は、30〜35フィート前後の参加枠は、全国クラブレースの主役であり、クルーザーチームの目標に相応しい大会であり、仕事とヨットレースを両立するアマチュアセーラーが活躍できる舞台でもあるからです。編集長は、この日本独特の「ミドルボート」というクラスが、より盛りあがって欲しいと考えています。

 全日本ミドルボート選手権の過去記事は、バルクヘッドマガジンで読むことができます(自分で言うのもなんですが便利ですね)。全日本ミドルが復活開催したのは2011年。関西、関東ともにクラブレースで人気のミドルボートクラスですが、全日本選手権の開催は非常に難しいものでした。

 その理由は、まず、ミドルボートクラスの運搬の不便さがあります。陸送するにも回航するにも、手間と時間、費用が掛かってしまいます。お金で解決できるオーナーシップのチームならまだしも、アマチュアで構成されるチームの多いミドルボートクラスにとって、このハードルは高いものです。

 また、全国で活発にレースがおこなわれ、それぞれの水域で完結しているので、「他流試合する必要がない」と考えられているのも事実です。

 そのような中で、関西ミドルボートクラブと外洋内海が「全日本を復活させて盛り上げよう」と声を上げて始まったのが2011年大会です。それ以前に開催されたこともありましたが、継続するまで至っていません。

 2011年西宮(19艇参加)開催以降、2012年蒲郡(26艇参加)、2013年蒲郡(22艇参加)、2014年淡路島(31艇参加)、2015年蒲郡(21艇参加)と続き、今年の西宮大会(19艇参加)へつながります。

 2011年と2016年は、同じ西宮大会ですが、参加艇の顔ぶれは異なります。2011年の出場艇はほとんど関西水域のチームだけで構成されました。しかし、今年は関東から4艇、九州から1艇、東海から1艇と例年以上に遠征組が参加しています。

 関東水域で(2011年以降)全日本選手権が開催されていないのは、関東水域にミドルボートクラスを統括する組織がないことが理由のひとつです。GWに相模湾で開催される「ミドルボート選手権」を主催する関東ミドルボートオーナーズクラブは、年に一度の同大会主催だけを目的にしているため、関西ミドルボートクラブとは活動内容が異なります。

 さて、どうしてミドルボート選手権のバックグラウンドを、長々と書いてきたかというと、、、

 2011年の復活開催から全日本ミドルボート選手権は定期開催されるようになりました。今回、編集長が取材していて感じたのは、開催されることの通例化、言葉を悪く言えばマンネリ化しているムードでした。

 クルーザーレースの選手権を開催することは、楽なことではありません。このあたりは、編集長の個人的な考えもありますが、国際化されている(クラス協会が存在する)ワンデザイン艇種と違い、決められたルールがないミドルボートクラスでは、作り上げていく部分が他よりも多くなる。

 また、7〜10名程のチームで構成されるミドルボートクラスは、オーナーシップによる個性やチームの目標が異なるために、話がなかなかまとまりにくい一面もあります。こうしたことは、ややもすれば“負のスパイラル”におちいる可能性がある。

 期間中、編集長が感じていたのは、あたらめて「全日本ミドルだけの個性」を明確にさせ、次のステップへ進むべきではないかということです。次のステップとは「継続」するためのステージです。大会開催を望む人たちが、仲間と長く楽しんでいけるためのベース作りをする段階に入った、と感じています。

 これから全日本ミドルはどんな大会になっていって欲しいのか、どんな大会を続けていきたいのかを考え、たとえば、(ここから先は編集長の考えですが)、関東初開催のムードを高めたり、遠征・回航問題の緩和策を考え、新規参入チームの勧誘を止めることなく、事務局を設立したり、全日本ミドルに相応しい安全規定を考えたり、広報活動で全国へ周知する、などなど。

 全日本ミドルボート選手権は黎明期から成長期へ。これからは、1大会を開催するのとは別に、5年先、10年先を考えていく必要があるように感じています。と、勝手ではありますが、編集長は取材しながらこのようなことを考えていました。

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