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【コラム】オリンピック・セーリングと報道の関係

 バルクヘッドマガジン編集部は、全日本インカレ写真展が終わり、ほっとひと息。いまは今年の取材計画を詰めている段階で、日程と場所の組み合わせがパズルのようで、なかなかどうしてうまく進みません。今年はリオ五輪が開催され、編集長は現地で取材撮影します。これから夏まで走りまわることになりそうなので、いまの時期に撮影機材の修理やメンテを済ませておかなければなりません。自分自身が途中でエネルギー切れしないよう体力づくりも怠らずに。(BHM編集部)

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スタンに立っているのはリオデジャネイロで撮影する編集長です。このフォトボートにはスペイン、イギリス、ブラジル、そして日本が乗り合わせています。2015年リオ五輪テストイベントより。photo by Sailing Energy

 さて、セーラーには関係ないことかもしれませんが、バルクヘッドマガジンがオリンピックに向けて取材活動しているなかで、メディアとセーリング競技の関係について、いろいろ考えることがあるので、それを紹介したいと思います。いや、セーラーに関係ないというのはおかしいですね。日本セーリングの将来を左右するかもしれないことです。

 バルクヘッドマガジンが報道機関としてオリンピックを取材撮影するためには、いつかのハードルを越えなければなりません。五輪のメディア申請・登録は、実は本番の約2年前からはじまります。代表選手が決まるよりずっと前に始まっているのです。それから本番まで5、6回の締め切りがあり、国際オリンピック委員会(IOC)から言い渡される期日までに指定の提出物を出し、許可をもらわなくてはなりません。

 通信社や新聞社、テレビ局、IOCに関連する組織やエージェンシーならば、流れの中核にいるし人材も豊富なので、スマートに進んでいくのかもしれません。でも、五輪報道機関のなかで世界でいちばん小さいメディアに違いないバルクヘッドマガジンには、そう簡単なことではないのです。

 編集長が積極的にワールドカップや国際大会に足を運ぶのは、取材だけでなく、リオ五輪の組織で働く人たちから情報を得たり、各五輪クラス協会の広報担当者、リオで一緒に働くフォトグラファーと信頼関係を築くのも目的です。これは、けっこう泥臭いことで、中東であろうと南米であろうと、現場へ行って顔を合わせることで関係が築きやすくなると編集長は思っています。

 フォトグラファーが五輪で撮影権利を得るためには、コマーシャルではない、報道機関としてのバックボーンがしっかりしていなければなりません。だから、バルクヘッドマガジンが国際セーリング連盟の推薦で、国際オリンピック委員会にメディアとして認められたのは価値のあることだと考えています。

 日本のセーリング組織(の報道部門)で唯一権利を持っているのは、いわずもがな日本セーリング連盟です。それは当然で、日本セーリング連盟は国際セーリング連盟の傘下。つまり、IOC→ISAF→JSAFと「直結」の関係にあります。日本から国際セーリング連盟に対して意見を述べたり、物事に対して注文することは自然なことなのです(逆にISAFからオーダーされるのも当然です)。

 実際の現場では、イギリス、アメリカ、オーストラリア、フランス、オランダなど、セーリングチームにスポンサーがつくような強豪国は、協会から派遣された広報担当者が同国の選手の活躍を、国際セーリング連盟と協力しながら毎日発信しています。

 なぜ各国の協会がセーラーの活躍を発信するのか? そうすることが彼らの仕事であり、ニュースを伝えることで、その国のセーリングに関わる人たちがハッピーになるからです。そして、同国の協会や連盟は、選手たちの活躍をアピール(広告的役割)のひとつとして、スポンサーから次年度の運営資金を得ています。分かりやすい構図ではないでしょうか。

 日本はどうなのでしょうか。これまで編集長が足を運んだ海外のメディアセンターで、日本のセーリング報道専門機関と出合ったことはありません。ひいき目に見ても、スポンサーに対価を払うだけのアピール努力をしているのか、といわれると、、、どうなのかなと思います。

 東京五輪の開催を控え、いま多くの人たち、企業がセーリングに興味をもってくれている大切な時期です。今年8月のリオを前に、セーリングの報道やアピールを具体的に実行する必要があるのではないでしょうか。

 現時点の日本の報道体制は、東京五輪開催国ながらも「蚊帳の外」にいます。その部分をいまのうちに軌道修正しないと、東京五輪が終わった時、セーリングを応援してくれる方々が離れてしまう気がしてなりません。

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リオ五輪には、一般の人が見ることはできない報道機関向けの裏ウエブサイトがあり、そこに大量の資料がアップされています。写真はリオ五輪申請マニュアルで、英語とポルトガル語バージョンがあり、それぞれ35ページ以上あります。photo by Junichi Hirai

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