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カウントダウン、全日本インカレ。全日本学生ヨット選手権 展望と解説(前編)

 学生ヨットセーラーにとって最大の目標であり、最高峰の大会といえば『全日本学生ヨット選手権大会』だ。この伝統ある大会もついに80回を迎え、関係者の皆さまにはお喜びを申し上げる次第である。その記念すべき大会は、2020年東京五輪の開催が決定した「江の島ヨットハーバー」を舞台に開催されようとしている。(文/生ちゃん)

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写真は9月初旬、蒲郡で開催された全日本インカレ個人戦より。個人戦の前後に各水域で予選がおこなわれ、全日本インカレ出場校が決まった。photo by Junichi Hirai

 出場は32校あり、総合優勝を狙える両クラス出場校は、東北大、早稲田大、慶應義塾大、中央大、日本大、明海大、明治大、法政大、同志社大、金沢大、関西学院大、関西大、甲南大、鳥取大、九州大、福岡大の16校である。今年の学生ヨット総決算ともいえるこのタイトルはどの大学に輝くのか? さっそく解説していくことにしよう。

 昨年の小戸全日本インカレは、早稲田大が23年ぶり史上3校目の完全優勝を飾り、全日本インカレの歴史に偉大なる記録を残したのは記憶に新しい。今年は日本大が記録した2年連続完全優勝となるのかが一番の焦点となるのだが、春は慶応大に敗れるなどなかなか波に乗れなかった。

 しかし、9月蒲郡全日本個人戦で同校は470・スナイプ両クラス共に(上位3艇の合計得点)他校を圧倒、さらには関東インカレでも完全優勝し、本来の強さが戻ってきた。したがって最も総合優勝に近いのは間違いない。同校のレギュラー陣をみてみると?

470級
小泉颯作/原 海志(4年・光/4年・早実)…昨年全日本個人戦優勝
岡田奎樹/岩井俊樹(2年・唐津西/2年・早大学院)…昨年国体優勝・全日本個人戦3位
市川夏未/永松瀬羅(3年・早大本庄/3年・別府青山)…全日本個人戦7位・全日本女子インカレ3位

スナイプ級
島本拓哉/堀田芽ノ世(4年・磯辺/2年・早大学院)…全日本個人戦準優勝
平川竜也/服部勇大(3年・逗子開成/3年・早実)…全日本個人戦9位・関東インカレトップ成績
永松 礼/花岡 航(2年・別府青山/4年・洛北)…全日本個人戦6位

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早稲田大、島本拓哉/堀田芽ノ世。photo by Junichi Hirai

 以上のメンバーなのは間違いないが、スキッパーだけをみれば変化したのは市川のみである。とはいっても彼女は昨年の山口優と互角、いやそれ以上の活躍をしているのはこれまでのレース実績から明らかである。従って戦力的には昨年と一緒であり、前述に挙げたオールラウンドの風域で開催された全日本個人戦からみても圧倒的に優勢で、他校は苦しいと言わざるを得ない。

 このような状況を踏まえ今年の展望は、果たして早稲田を倒すことができるチームがあるのか? を中心に総合優勝を狙える対抗勢力から見ていくことにする。

早稲田大に対抗する勢力は2チームか?

 総合3連覇を懸けた昨年の小戸大会では目標達成とはいかなかったものの、それでも準優勝(両クラス共に2位)だった同志社大は、一時期の低迷から脱却し、三強時代の強さが戻ってきたのは事実である。その要因には厳選されたセレクション入学者が順調に育ち、大幅戦力アップにつながっているからであろう。

 470級では村田俊彦/山際晋平(4年・福岡第一/3年・同志社)のリーダー艇を始め、渡辺 駿/山下 剛(2年・中村学園三陽/4年・清風)、矢野航志/原田勇毅(1年・別府青山/2年・花園)となるのだが、個人戦での合計得点は早稲田に対し僅か9ptまで迫ったことから、力量は十分対抗できるであろう。

 しかもリーダー村田は一昨年の西宮大会でも優勝経験があり、チームレースのノウハウも熟知しているとみて間違いあるまい。従って早稲田の完全優勝を阻むとしたら、まずは同校470級が最有力といえるのではないだろうか?

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同志社大の村田艇(前)、矢野艇。photo by Junichi Hirai

 しかしながら総合優勝を狙うとなると、スナイプ級が重要になるだろう。個人戦では山田剛士/北原 洋(4年・中村学園三陽/3年・同志社香里)が優勝、杉山航一朗/山梨雄基(2年・清水東/4年・大谷)が10位、そして中川健太/岡 儀法(4年・比叡山/2年・広島井口)が29位となり、3艇の力で言うと早稲田に遠く及ばない。特に3番艇が総合争いに影響するのは必至か? 果たしてどのような作戦で臨むのか、には注目である。

 今シーズンは王者早稲田に対し積極果敢に勝負を挑み、好成績なのは昨年総合3位(両クラス共3位)の慶應義塾大となる。元々スキッパー勢だけをみれば、レギュラーは3年間変わっていないこともあり、力がつき王者を倒せる下地はできつつあった。勝負できる状態となった女子インカレでは総合初優勝となり、この勢いで団体戦も勝ちたい所だろう。

 470級では関東個人戦優勝の中嶋 颯/江頭英翔(3年・塾高/2年・逗子開成)を始め、樋口 舵/成川健一(3年・塾高/4年・逗子開成)、そして女子インカレ準優勝の長堀友香/鳥羽雄太(4年・青山学院/3年・塾高)となるが、元々早稲田には力的には若干及ばないのは事実だが、春インカレでは撃破した。果たしてどのレースを見せてくれるのであろうか?

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慶応大、中嶋 颯/江頭英翔。photo by Junichi Hirai

 スナイプ級では、安定感抜群の佐藤帆海/松下航也(3年・塾高/3年・塾高)を始め、今シーズン好調の増田健吾/大山誠人(3年・塾高/4年・逗子開成)、そして女子インカレ優勝の阿部七海/ムルター・オーウェン(4年・酒田西/4年・塾高)の布陣だが、個人戦でも増田が3位・佐藤が5位とそれぞれ入賞しており、同志社470級同様、早稲田に対抗できる最有力チームであることは間違いない。

 ただし、両クラス共に関東インカレでは、それまでの勢いにかげりが見えてしまったのには少々残念ではあったが…。(後編へ続く)

◎The Sailing News(生ちゃんのブログ)
http://namachan70.blog.fc2.com/blog-entry-305.html

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全日本インカレ・過去5年の入賞校

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全日本インカレ・江の島開催での優勝校一覧

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