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ヨットレース繁盛記。今年も行ってきました!大島レース・後編

 第65回大島レース特集のファイナルを飾るのは、連載・ヨットレース繁盛記 大島レース後編です。今回は、大島回航からフィニッシュまで。ホビーホーク号は、昨年に引き続き、大島の吹き下ろしに「ドヒャー」となったのでした。いくら怖い思いをしてもまた出たくなる。大島レースは、身近でありながらも冒険心を奮い起こさせる、そんなヨットレースなのです。(BHM編集部)

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大島レース後半も元気に走ります!前半はこちら!photo by Hobbyhawk

連載ヨットレース繁盛記
第65回大島レース・後編

筆島沖で、ダウンバーストに待ち伏せされる

 やっぱり来ましたよ! 筆島沖で「あの風」が待ち伏せしていました。ダウンバーストみたいな風に、まずは一発強烈な左フックを食らいました。GPSを見ると、筆島を少し過ぎたあたりで、昨年の「筆島事変」とまったく同じエリアです。昨年のこともあり、それなりに警戒してあまり島に寄せすぎないようにしたつもりなんだけど。(文/石丸寿美子)

 山を駆け下りる凄まじいガストで海面は一面ミスト状の水煙のようになっていて、セールを完全に逃がしても吹き倒されそうになります。ブームが水をしゃくってバングをオフするたびに、昨年の悪夢が頭をよぎり、セールがシバーする不穏な音で変な汗がでます。

 自然のチカラって本当にすごい! そして、こんな海の真ん中に突然火山の島がそびえ立っていて、そこから狂ったように風が駆け下りてくるという、なんて言うか、このジオグラフィーの神秘にあらためて圧倒されてしまいます。

 その後も、暴れ馬をなだめすかすようなセーリングがしばらく続くきました。そのあいだずっと、月は、黙って上から見てました。

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こちら大島筆島沖。島の下に白い一本線が見える所。そこ超危ない所です。photo by Junichi Hirai

アドレナリン、ブシャー!!

 岡田を過ぎたあたりで、ようやく風が落ち付いてきました。とは言え、25ノット〜30ノットの風でサーフィングしっ放し。闇夜の中を爆走です。猛烈なスピードで波を滑り降りるたびに、アドレナリンがブシャーっと出ます。こ、こわ楽しい!  いや楽しくはない、夜の海はやっぱり怖いです。

 本船航路をかわし、黄色のモースルD(-・・)を発する南西沖ブイの東側を通過し、白15秒の城ケ島灯台と、白10秒の江の島灯台も見えてきました(編注:それぞれの灯台は光る回数や色が違っていて、夜間は光り方で個別認識します)。ようやくホームへ帰ってきた感じ。疲れているけれど、地元の海に戻ってきたというなんとも言えない安堵感があります。

 このあたりから風が徐々におちてきました。ようやく20ノットを切るようになってきたので、スピンかジェネカーがあがりそうです。でもあげる準備をしているうちに風が前にまわってしまいます。その後、どんどん風が落ち、どうも怪しい感じになってきました。

 長者ケ崎を過ぎた辺りで今度はバサっと風が変わり、反対タックへ。その後、風が無くなり風見がクルクル回りはじめます。うーん、あともう少しなんだけどー。

 最後の最後にまたこんなヘロヘロなセーリングになるとは思ってもみなかったけれど、なんとか船を滑らせ葉山まで帰って来ました。VHFの73chでレース本部から呼びかけがあり、サーチライトで合図を送るようにとの指示。無事、ライトが点滅するフィニッシュのアウターマークも見つけ、午前2時53分、ハンディ無線機を通してフィニッシュのプーが聞こえました。

充実した16時間のレース!

 初島回航後のまさかのピットストップの遅れが、そのままフィニッシュの差になってしまい、成績はIRC総合13位と振るいませんでした。でも、フネの上は終始いいムードがむんむんで、皆で最後まで諦めずベストを尽くしました。10回以上のセールチェンジに奮闘してくれたバウチームには、足を向けて寝られませんー。

 今年も、0ノットから40ノットまで、大島レースらしい、いろんな風の中でのレースでした。ロングレースって、本当に色々あるけれど、今回のこの経験も、いずれ実となり力となって、自分のセーリング人生に役立つ日が来るといいな、と思います(二度と、同じ風が吹くことはないんだろうけれど)。海の上での充実した16時間でした!

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深夜ホームポートに戻ってきました。また来年!photo by Hobbyhawk

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