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470界に新風。土居/今村、全日本初優勝!

 11月24日、470全日本選手権最終日は、江の島ヨットハーバーの目の前でメダルレースがおこなわれました。メダルレースのスタートは風待ち後の11時15分。午前中の最終フリートレースを終えた選手たちや陸上から海から多くの観客が見守るなかレースが開始しました。(BHM編集部)

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新470チャンピオンに輝いたチームアビーム、土居一斗/今村公彦。photo by Junichi Hirai

 メダルレースは上位10艇による最終レースです。得点が2倍、カット不可能、さらにプロテストにはオン・ザ・ウォータージャッジが採用され、その場でペナルティーの有無がジャッジされます。フィニッシュした瞬間にほぼメダルが確定するというオリンピックのテレビ中継を意識したレースです。

 日本では福岡の470全日本で2回、和歌山インターナショナルレガッタでおこなわれたことがあります。江の島で開催されるのは初めてのこと。メダルレースは陸(ハーバー先端のさざえ島)からも見える近いレース海面でおこなわれました。

 メダルレースの注目はトップ争いです。6点リードで挑む土居/今村(チームアビーム)が逃げ切るのか、逆転優勝も射程圏内の松永/吉田(スリーボンド)が走り勝つのか。全日本チャンピオンを決める最終最後の戦いに注目が集まりました。

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注目の優勝争いのチームアビーム(左)とスリーボンド。第1上マークはアビームが僅差で先行して回航しました。photo by Junichi Hirai

チームアビームvsスリーボンドの最終決戦

 風は4ノット前後。微風のスタートで前に出たのはチームアビームです。スリーボンドの風下からスルッと抜けだしてバウ先を出しました。嫌ったスリーボンドはタックバックで高い位置につけ2艇は並んで左海面へ。チームアビームは、セオリー通りスリーボンドを抑えるタクティクスでコースの端へ追いやりながら先行。ポートアプローチから1艇身差でスリーボンドの前を走ります。

 しかし、ダウンウインドで左右海面にセパレートしたのを機にスリーボンドがその差を詰め、風下ゲートマークではほぼ同時に回航。さらにスリーボンドは二度目のアップウインドで左海面のパフをつかんでチームアビームに逆転しました。

 1つ前に出たスリーボンドですが、このままではチームアビームに勝つことはできません。6点差を逆転する条件は、間に2艇を入れて先行フィニッシュすること。残り1レグでこの条件を満たすにはきびしいコンディションです。

 最終ダウンウインドで前を走るスリーボンドは、先にジャイブしたチームアビームを抑えず、エッジまで出て大逆転を狙いますが、神風は吹かず。チームアビームの逃げ切り優勝が決まりました。

「自分たちの苦手な風でした。しっかりスタートで出て、風をつかんで、振れタックを基本に、スリーボンドは離れずというプランです。途中、離れて走る場面もありましたが、相手を気にしすぎて深追いすると痛い目にあいます。自分たちの走りができたのがよかったです」(今村公彦)

「470全日本には高2から出ているから、今回で7回目の出場。この優勝は最高にうれしいです。シリーズを振り返ると、予選で悪い成績を叩かなかったことが良かった。4日目にリコールしてしまいましたが、次のレースで(リコールを)ひきずらずに走れたことも大きかったと思います」(土居一斗)

 土居、今村は、チーム結成2年目にしてうれしい初優勝を飾りました。昨春、日本経済大を卒業した土居はまだ22歳。ベテラン、スリーボンドを破るスカッした戦いを見ました。おめでとう!チームアビーム。

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念願の優勝を決めたチームアビームの土居一斗/今村公彦。土居は、福岡第一高〜日経大〜チームアビーム。今村は日経大(当時は第一経済大)〜JR九州所属・スリーボンド〜JR九州所属・チームアビームという経歴。両選手とも初優勝です。photo by Junichi Hirai

戦いの舞台は12月ナショナルチーム選考レースへ

 彼らの戦いはまだまだ続きます。レースを終えたスリーボンドは、ISAFワールドカップ最終戦アブダビ大会(11月27〜30日開催)へ向けて夜のフライトで出国。同じく出場する吉田/吉岡(ベネッセ)と共に、大急ぎで江の島ヨットハーバーを後にしました。ワールドカップ出場後は、ブラジル・リオにわたって国内選手権に出場する予定です。彼らは約1カ月の海外遠征に出発しました。

 この時期に海外遠征に出られるのは、スリーボンドとベネッセが今年の世界選手権でリオ五輪の出場国枠を取り、2015年ナショナルチーム入りが確定しているからです。チームアビームの土居/今村をはじめ、リオ五輪を狙う国内選手は、12月6日から14日までおこなわれる「ナショルチーム選考レース」に出場します。選考レースには本大会上位25チームに出場権利が与えられます。

 470のバトルステージは、和歌山で開催されるナショナルチーム選考レースへ。そして、チームアビーム対スリーボンドの次の戦いは、舞台を海外に移しておこなわれます。

 若手チームがひしめきあうナショナルチーム選考の行方は? そして2015年10月までに確定するリオ五輪日本代表チームは? ハイレベルで戦う日本470シーンは、これからもわたしたちを楽しませてくれそうです。


最終日ダイジェスト。映像提供:デイリーセーリング

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江の島470全日本 最終成績
1. 土居/今村 アビームコンサルティング
2. 松永/吉田 スリーボンド
3. 飯束/八山 エス・ピー・ネットワーク
4. 石川/阿部 トヨタ自動車東日本/横浜市消防局
5. 磯崎/津留 日本経済大
6. 中村/木村 日本大
7. 市野/外薗 和歌山県セーリングクラブ/九州旅客鉄道
8. 吉田/吉岡 ベネッセホールディングス
8. 河合/小川 三井住友海上火災保険
10. 加藤/吉永 柳が崎セーリングクラブ

全日本470女子選手権上位成績
1. 吉田/吉岡 ベネッセホールディングス
2. 山口/畑山 ノエビア
3. 林/木村 明海大

470級ジュニアワールド代表選考(24歳以下)
男子
磯崎/津留 日本経済大
中村/木村 日本大
女子
林/木村 明海大
田中/高野 関西大第一高

◎江の島・全日本470選手権ウエブサイト
http://470alljpn.wix.com/2014

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