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バルクヘッド10周年、テン・イヤーズアゴー

 2014年4月、バルクヘッドマガジンは10周年を迎えます。10年前、みなさんは何をしていましたか? 10年といえば、子供が大人へ成長する年月。中学生は大学生になり、大学生はそこそこベテランの社会人になります。この10年で生活環境が大きく変化した方は多いでしょう。(BHM編集部)

 かくいうバルクヘッドマガジンは、10年前に何を考えていたのかというと、さらりと思い出せるはずもなく、ひさびさに自分が書いた記事を読み返してみました。

 下記に【2004年4月20日】に書いた記事をそのまま転載します。2004年はアテネ五輪が開催された年。記事では、世間に紹介されないセーリング競技の報道について嘆き、恥ずかしいほど熱くなっています。

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photo by Junichi Hirai

『ヨットのニュースは、なぜやらない?』
2004年04月20日 03時14分44秒 | コラム

 このごろ、テレビを見ていると五輪ニュースばかり目にとまります。そして、ニュースを見るたびに、怒りが込み上げて、テレビに向かって悪態をついている毎日です。もしかして、いま日本でいちばん怒っているのは、ぼくじゃないか、と考えます。

──どうして、ヨットのニュースをやらないんだよ!

 ニュースに取り上げられるのは、水泳、シンクロ、マラソン、サッカー、卓球、柔道、野球、ソフトボール。それに、競技とは別の視点で取り上げられる、テコンドー、ホッケーぐらい。たとえば、昨日(4月19日)夜10時から放送されていたNHKの五輪ニュースで、出場を決めた49er級について、ひとことも触れられなかった。これは、いったいどうしたことか!

参考:アテネ五輪の種目
陸上 マラソン 水泳 アーチェリー バドミントン 野球 バスケットボール ボクシング カヌー 自転車 馬術 フェンシング サッカー 体操 ハンドボール ホッケー 柔道 近代五種 ボート ヨット 射撃 ソフトボール 卓球 テコンドー テニス トライアスロン バレーボール 重量挙げ レスリング

 テレビだけじゃありません。新聞各社のウェブサイトで、昨年からアテネ五輪向けの特別ページが作られています。全競技のクオリファイ(出場資格の獲得)、代表選手について書かれています。しかし、セーリング競技の欄を見てみると、先日まで昨年9月のカディスワールドのまま、なにも更新されていなかった(いまだ、不足していたり、意味不明の内容もあり)。「半年も情報が止まったままなんて、ありえねえ!」と、ひとり憤慨していたのです。

参考:新聞社五輪特別サイト
朝日新聞 http://www2.asahi.com/2004athens/
産経新聞 http://www.sankei.co.jp/databox/oly2004/index1.html
読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/athe_2004/

 果たして、テレビ局や新聞社が怠慢なのか、そもそもセーリング競技に興味ないのか、それともメダル圏内にいないから? 連盟がニュースを発信しないから? 風がないとテレビ映えしないから? 至極単純な疑問です。セーラー同士で、こうした会話になると、「しようがないよね、マイナー競技だもん」で終わってしまいます。

──でも、あらためて考えてみると、それってオカシクナイ?

 いままでは、ぼくも「マイナーだから仕方ないよね」的思考がありました。学生のころは、もっとヨットが流行ればいいな、とおぼろげに考えていたけれど、その先、どうなってしまうのかを考えないまま10年以上経ってしまったわけです。そしていま、ニュースが流れないということは、最悪の結末を生む、ことに気づきました。

(1)ヨットのニュースが流れない→(2)ヨットが一般的なスポーツとして認知されない→(3)マイナースポーツの道をたどる→(4)人口が増えない→(5)さらに低迷→(6)セーラーがエスカレート式に年をとる→(7)若者が増えないので、世代交代ができない→(9)さらに人口減少→(10)いつか日本からヨットがなくなる?

 桶屋の法則じゃないけれど、考えられないといいきれるでしょうか。そして、いま日本のヨットは、5番の位置にいます。極端すぎる、と考える人もいるでしょう。でも、もしかしたら本当になくなってしまうかもしれません。

 だからといって、悲観的な話題ばかりではありません。地方のヨット団体や、クラス協会では、試行錯誤を重ねて人を勧誘し、地道な努力が実って成功している例もあります。また、ヨットレースをする若者の多くは、「もっと上手になりたい」という上昇志向を持っている。それに、生活のすべてを賭けて、レースに臨んでいる五輪選手もいます。そんな人たちの情熱の火は、消してならないヨット界の財産です。

 それで、「ぼくにできることは、なんだろう」と考えた結果、このバルクヘッド・マガジンにたどり着きました。ここでは、ぼくが取材で知ったこと、考えていることを時間が許す限り、書いていきたいと思います。

 いつか、ニュースや新聞で、ヨットの記事が大きく取り上げられる日を夢みて。(文・平井淳一)

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 なんて熱いヨット馬鹿な記事でしょうか。誰が書いたのかというと10年前の自分というのがこっぱずかしい(笑)。当時のアクセス数は20とか30だったので、リアルタイムでは誰も読んでいなかったと思います。

 あれから10年が経ち、当時より知識が増え、さまざまな人の立場、オトナの事情も考えられるようになりました。でも、自分の記事の内容はまったくその通りだと思っています。この10年間、有言実行している自分を褒めてあげたい。

 実は、日本からヨットがなくなっていくという危機感は今もあり、その原因は、他人ではなく、わたしたち自身にあるものだと感じています。でも、それは考え方と行動のスイッチひとつで変わるものだし、それをみんなで実行していかなければいけない、という気持ちも同じです。

 2014年のバルクヘッドマガジンでは、これまで自分が取材してきて感じてきたことなども発表していけたらいいなと考えています。10年前の自分へ向けて、「10年の間、こんなことがあって、いまこんなことを考えているんだ」と伝えてあげようと思います。

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