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ヨットレース繁盛記・寒くてもヨットだホイ

 さあ、人気連載「ヨットレース繁盛記」2013年の最後を飾るのは、12月8日に開催された葉山マリーナヨットクラブ主催「マクダイアミッドセイルカップ」です。当日の朝は、さむ〜い冬空、北風が強くて冷た〜い。それでも28艇出場しちゃうあたりは、さすが日本一の名物クラブレースです。みんなヨット馬鹿ですね。葉山のズンドコ船、ホビーホーク号もやる気満々で出港したのでした。(BHM編集部)

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2013年最後の出場は葉山クラブレースです。写真はホビーホーク号。きょうもがんばります!photo by Junichi

連載ヨットレース繁盛記
第2回マクダイアミッドセイルカップ

 とうとう冬になってしまいました。前回の微風レースのあと、弱った虫みたいになって落ち込んでいたけれど、今日は朝からイイ風が吹いています。ヤッホウ! 念願の伊達巻くらいの等圧線です。今週はクラブレース最終戦「マクダイアミッドセイルカップ」。寒いけど、豪華賞品目指して元気に行ってきまーす!(文/石丸寿美子)

 キリッと冷たい北風が、ガストで20ノットほど。そしてチコっと緊張しているわたし。実は今日、フィーリンオーシャンが縁でBEST WINDの高木さんが乗りに来てくれました。いつもはゆるゆるのホビーホーク号ですが、今日は程よい緊張感とやる気オーラむんむんでレース海面に向かいます。

 早速コンビネーションの確認も兼ねてスピンアップ。その後ジャイブしたところまさかのブローチングをこいてしまいました。ぬぉー。でも起き上ったらなんだか肩の力が抜けました。うまくやろうとしたって、実力どおりにしかできないですからね。ヘッポコらしくガンバリマス!

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ダウンウインドではホビーホーク号だけに眩しい光が…。いいことありますように。photo by Junichi Hirai

目玉がビローンと飛び出した!

第1レースは、(超!)上有利のスタート。小型艇の聖地であるところの本部船際は大混雑です。まずは毎度お約束のゼネリコでウォームアップ。仕切り直しのスタートも、激しい混雑の中、必死のせめぎ合いです。

 そして、カミの船の挙動を見つめていたみんなの目玉がバネ仕掛みたいにビローーーンと飛び出しました! 振り向くと背中にバウがありそのままドーンとコンタクト。押されたはずみでバウが回頭してしまい、なんとセールが返ってしまいました。

 大混雑のスタートラインでポートひとりぼっち。これはヤバい! 心臓バクバク! 久々に髪の毛総立ち、毛根から脂汗が大噴出しましたが、なんとかぶつからずに済みました。これもゼネリコ。髪の毛総立ちのままの3回目のリスタートはまずまずでしたが、ちょっとスピードが足りず。ふー、いつもの事ながら激しいです。

 本日、クルーメガ盛りの9人! フルハイクでしっかり起こしグイグイ走ります。1カミはかなり良い景色で回航。いつもとは周りのフネの顔ぶれが違います。続くダウンウインド、最近軽風続きだったので、久々に豪快なスピンランです。

      最高ですかー? 最高でーす!!

 でも実は、強風ではデカスピンをあげるとウェザーヘルムがものすごーくキツくて、セーリングというよりは、肉体労働者みたいになっているんですけど。もうちょっとご飯をたくさん食べてガンバリマス。

 その後、風が少し落ちてきました。小さいトラブルがちょこちょこあったりして順位をおとしてしまいましたが、最近不調だった〈ホビーホーク〉にとっては、かなりがんばった感じでフィニッシュ。28艇中着順13位、修正10位。

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下マークは大混戦。強風の第1レースはトラブル艇がたくさんいました。写真は優勝のアドニス号です。photo by Junichi Hirai

脳内にリフレインするズンドコ節を振り払いながら

 さて第2レース。はみ出してしまいそうでジリジリしましたが、スタート直前でスペースができ、なんとか加速して走り出しました。ん? 何気にいいスタートです。

 一度、きれいな風をもらいに右へ返し、小躍りしながら走り出したのも束の間、もっちり回しすぎてリーバウタック失敗。これで抗議され、豊作ダンスみたいにドタバタと720度回る羽目になりました。スタート良かったのに自滅してしまい、一気に後ろがさびしくなってしまいました。

 でも、ここから挽回です。スーパーコースを引いてもらいタックのたびに1艇、また1艇と抜いていき、ようやくチョンボを帳消しにできました。

 ダウンウインドでは、風の道から外れないよう、シモ側のほっぺたにバイザリーの風を感じながらの走り。その後、さらに風が落ち最後は10ノット前後の軽風になりました。風が落ちると途端にツボに入っている時間が少なくなってしまいます。むうぅ…。

 色々細かくアドバイスをもらい、励まされながら(?)走ります。集中、集中〜。脳内にリフレインするズンドコ節を振り払いながら、寄り目になっちゃいそうなくらい真剣に走らせましたよ。いや、決していつもは真剣にやっていないというわけじゃありませんが。

 2レース目の後半は風が落ちたこともあり、残念ながら前の艇団と間が空いてしまいました。スーパーコースを引いてもらったけれど、ミスも色々あったし、なかなかオーダーに応えられず。このレースも修正10位、総合成績は第8位。

 シングルを目標としているホビーホークとしてはまずまずなんだけど、もう1つ上のステージに行くには、まだまだ足りないことがたくさんありそうです。精度とか、集中力とか、速く走ることへの執着とか。

 うーん、まあ上位の顔ぶれを見ればわかるけど、葉山のレースはそんなに甘くないです。優勝は、盤石の走り、葉山のエース〈アドニス〉(First35)でした。今日は、速すぎてちっとも出合いませんでしたけれど。

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マクダイアミッドカップに出場したホビーホークメンバーです。今年もたくさんのレースに出ました!photo by Junichi Hirai

今年もみんな遊んでくれてありがとう!

 2013年もたくさんセーリングして、たくさんの刺激的な週末を過ごしました。沸き立ったりフリーズしたり、大はしゃぎしたりトイレに閉じこもったり。

 そして今年から始まったこの連載も第26回になりました。今や日本のセーリング界の有名コンテンツであるところのバルクヘッドマガジンに、本当こんな記事載せていいの? と毎回冷や汗ダッラダラの一年でした。

 たくさんの人にセーリングの魅力を知ってほしいと思っても、わたしは指導者でもないし、セーリング界を牽引するような影響力も持ち合わせていません。なんといってもお気楽サンデーセーラーの極みですから。

 でも、まず自分自身が大真面目に目いっぱいセーリングを楽しんで、その楽しんでいる姿をまわりの人に見せることだったらできるかなと思い、連載を引き受けてみました。

 トップセーラー以外にもこんな風に活動している人がいるんだなぁと、暇つぶし程度にチラ見して、プッと笑ってくれる人がいたならそれでいいやと思っています。

 海の上ではどんな人も等身大。童心に返り、ありのままの自分で自然と対話できることが、海で遊ばせてもらうことの醍醐味であり、わたしがセーリングを続ける理由かな、と思います。風や、波や、太陽の恵みは誰にでも平等で、お金で買えるものではありませんから。

 そんな気持ちでセーリングを楽しめることは本当に幸せなことです。そんな幸せなセーラーとして、これからもセーリング界のボトムをガッツリ支えて行こうと思います。どこかの海でミートしたら声をかけてくださいね!

 外は、いい風が吹いていますよ。
 来年も、ヨットだホイ!レースだホイ!

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今回はレース優勝と年間成績の表彰がおこなわれ、豪華賞品が並びました。当日のマクダイアミッドカップの賞品はなんとスピネーカー(サイズ問わず)です!photo by Junichi Hirai

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鼻息の荒いスピン争奪ジャンケン大会。おれ、1回目で負けたよ。photo by Junichi Hirai

◎ヨットレース繁盛記
(25)「Zhik Cup」ひょろひょろの風に涙
(24)「葉山ロータリーカップ」暴風雨で荒修行する
(23)「クレアカップ/フレンドシップレガッタ」
(22)「葉山マリーナカップ」秋の風をお腹いっぱい
(21)「逗子レガッタ」台風18号に大泣き
(20)「ヘリーハンセンカップ」こんな日もありますよ
(19)「トウキョウズカップ」大島が大好きです!
(18)パールレース・後編
(17)パールレース・前編
(16)ティンバーランドレガッタ・熱海レース
(15)初島ダブルハンドヨットレース・後編
(14)初島ダブルハンドヨットレース・前編
(13)「小田切杯」ガテン系セーリング?
(12)「SHUGYOKU CUP」毛根から脂汗が噴出
(11)大島レース・後編
(10)大島レース・前編
(9)「京急カップ」春の珍事なのです
(8)「テーザースプリングレガッタ」春テーザーに久々参戦
(7)「SportsCode CUP」ブローチング祭りだ!
(6)「MUSTO CUP」春っていいよね!
(5)「HMYC会長杯」春の嵐で退散です
(4)「SAILRACING CUP」クラブレースで悲鳴
(3)「Sailors for the Sea Cup Clean Regatta」
(2)「新春烏帽子岩レガッタ」烏帽子岩へゆく!
(1)新連載「ヨットレース繁盛記」スタート!

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