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25ノットの空中戦。モスウインターレガッタ

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 11月30日〜12月1日、三重県・津ヨットハーバーで、モスセーラーたちの祭典、ウインターレガッタが開催されました。冬が来ようが、水が冷たかろうがそんなもの関係ありません。総勢12人のモス乗りが集まりました。(文/河合 潤、写真/ムラキノボル)

アメリカズカップみたいにアビームスタート!

 今回のレースでも、アビームスタートが採用されました。目の前の1マークに一斉突撃したあと、ダウンウインドに入り、ソーセージを2周のコースとなりました。

 さて、でもこの私(編注:筆者の河合選手。女性です)、今回レポートを仰せつかったものの、実は、肝心のレースのことはほとんどわからないのです。なにせ、先頭集団は1マーク回航後、てんでばらばらにぶっ飛んでいってしまうので、誰がどこにいるかなんてさっぱりわかりません。

 スタートの時飛べない、ジャイブをミスって着水、または最悪にも沈起こしなんてしようものなら、瞬く間に置いて行かれ、周回遅れにされてしまいます。ただ、風のシフトと強弱が激しく、回航ごとに順位が入れ替わるレースになったようです。

 入賞を期待される人の中には、ふれる風に翻弄された者あり、ティラーの上に乗って折ってリタイアする者もあり、ほとんど沈起こししていた? という者あり、波瀾万丈だったようです。

 私は、うち2レース完走+レース中2回フォイルジャイブ成功(飛びながらジャイブ)+通算沈3回だけで済み、8位ですが大満足な内容でした。「完走もできないの?」と疑問に思われるかもしれませんが、モスを始めて約1年、なかなか難しいのです。。。

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2013ウインターレガッタ成績表

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御年70歳、生涯現役の古谷選手。かっこよすぎる!!

メインシートを引き込めば、恍惚とした甘美な世界が待っている

 モスのレースを見たことがない方も多いと思いますので、簡単に説明させていただきます。アビームでスタートして1マークを回航するとダウンウインドですが、7メートル位吹くと25ノット位スピードが出ます。ミートするときはもう大迫力です。

 そこで不幸にも、もし沈などしようものなら、もうほとんど零戦墜落です。それだけスピードが出ていますから、上下1マイルでも、ものの数分で下マークです。アップウインドも速い選手は18ノット位で走るので、大体1レース20分かかりません。

 今回はレース終了後、試乗会も行われ、津フリートのたくさんの方にモスに挑戦していただきました。飛んだ方も飛べなかった方もありましたが、モスの楽しさを満喫できたのではないかと思います。

 今後の参考に少しだけアドバイスさせていただきますと(偉そうに語れる立場ではありませんが)、飛ばす時にはキープフラットかアンヒールが基本です。

 「ヒール起こせー」というと皆さんハイクアウトしますが、そんなものはモスの前では無力です。メイントリムとステアリングでヒールを起こします。

 ヒールが起きれば自然に浮き上がります。加速と同時に風が一気に前に回るので、メインシートを引き込めばさらに加速して、そこから先はこれまで味わったことのない恍惚とした甘美な世界が待っていることは間違いありません。

 ちなみに、モスのメインシートは3メートル位しかありません。それはなぜか? モスは基本的にメインシートをアビームより出すことはありません。ダウンウインドでもジャイブの最中でも風は前から吹いています。風より速く走ってるので、メインシートはほぼ引き込んだままです。

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レース終了後、試乗会がおこなわれ、津の皆さんがモスの楽しさを満喫しました

あなたも当てはまればモス乗りの適正あり!

 モスには向き不向きがあると言われますが、下の適性診断が1つでも当てはまる人は適性大いにアリ!。一刻も早くモスの世界に飛び込みましょう。

◎モス乗りの適正診断
(出典:日本モスクラス協会HP)http://moth-japan.org/home/?page_id=2

□他人の言うことなんか気にしない!オレはオレの筋を通す。
□最初の1〜2カ月、1日最低20回は沈するけど、めげない。
□レースを完走して「やったぜ俺!」と思えるまでに3カ月はかかるけど、いい?
□年齢なんて関係ない!
□他のディンギーに乗ってるのが退屈でしょうがない。
□ヤル気満載!
□手先が器用でモノ作るのが好き
□セーリングの上達を感じることが快感。レースに勝つだけがヨットじゃない。
□重いフネを出着艇のたびにゴロゴロ引くのは疲れた。
□今乗ってるクラスの人とは、何となくソリが合わない。
□クローズだってフリーと同じくらい面白いって思える?(引いて起こすだけが能じゃない!)
□風を読む、タクティクス、他艇をかわすテクニック・・・それもいいけど、「セーリング!走る!」ってのがやっぱ一番。
□自分のフネをいろいろ改造するのが好き。「それってクラスルール違反じゃね?」という抗議なんかいちいち気にしない。
□ハイパフォーマンス・スキフにぶち抜かれるのは面白くない!
□人生最大の挑戦かも?心の準備はできてる?

 ちなみに2016年のモスワールドは、日本で開催される可能性が濃厚です。将来アメリカズカップに行きたいと思っている方、プロとしてやっていきたい方、モスは絶好のステップです!(個人的にはいつも女子ひとりで淋しいので女性の仲間が増えるといいな)。たくさんのチャレンジャーをお待ちしています!

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優勝の後藤選手。今年はモス全レースを制覇しました

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2位の鈴木選手(※当初の成績表に手違いがあり修正後2位になりました)

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鷲山選手(清水)。まだモスに乗り始めて1年の成長株です

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大西選手(稲毛)は神風スタートで知られています

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