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最終日風吹かず。福岡470全日本最終日

 11月24日、福岡小戸で開催された470級全日本選手権最終日。午前中はシルバーフリートと10位以下のゴールドフリート、午後からは上位10艇によるメダルレースがおこなわれました。メダルレースの海面は、陸からも観戦できるハーバー防波堤沖。5日間の激闘の決着を見届けようと多くの観覧艇が海上へ出ています。(BHM編集部)


優勝の吉田愛/吉岡美帆。photo by Junichi Hirai

 あたたかな陽気とともに風は弱くなり、メダルレースがおこなわれる頃には、まばらな風が海面を覆います。東から北東へと風が変わるそよ風のなか、メダルレースがスタートしました。

 艇団は弱いパフを探して、順位を入れ替えながらマークを回航していきます。しかし、第2上マークへ向かう途中に、風はパッタリと止んでしまい、運営艇からノーレースを知らせるホーンとN旗が掲揚されました。

 その時点で、スタート・タイムリミットの午後2時を過ぎていたため再スタートはおこなわれず。既報の通り、吉田愛/吉岡美帆(ベネッセホールディングス)が総合優勝、女子優勝を決めました。吉田は2007年江の島大会以来2度目、クルーの吉岡美帆は初優勝となります。

「この春にチームを結成して時間もなく、基本動作の練習しかできていません。この大会では、練習の成果をどれだけ出せるかを課題にしていてました。優勝できるとは思っていなかったので予想外の結果です。ターニングポイントは決勝初日の第3レースでトップを取った時でした。ロンドン五輪までは、わたしはコースを引いていませんでしたが、今回、自分でコースを引いてみて、その感覚が戻ってきた感じがしました。こういう感じで走ればいいんだ、と。今回は、思いがけず、うれしい優勝です」(吉田愛)

「去年も全日本に出場しましたが、ゴールドフリートにも残れずに負けました。ベネッセチームで活動をはじめて、いきなり優勝して、すごくうれしいのと同時にとても驚いています」(吉岡美帆)

 吉岡は、芦屋高校、立命館大学ヨット部で活動し、昨秋までインカレを目標にしていた大学生セーラー。今春、吉田と新チームを結成し、8月に開催されたフランス世界選手権へ出場しました。世界のパワフルなクルーワークを目の当たりにして、衝撃を受けるとともに世界に通じるクルーワークを身につけるべく、強い意志で練習に励んでいます。

 また、北京五輪、ロンドン五輪代表の吉田愛は、アビームからベネッセという新天地へ移り、あらたなチャレンジをはじめたばかり。リオ五輪を目標にしながら、彼女がこれまで身につけてきた経験を後輩セーラーへ伝えることに務めています。吉田/吉岡は全日本優勝を決めると同時に、2014年度ナショナルチームにも内定しました。

 以下成績は下記の通りです。メダルレースが成立できなかったのは残念ですが、この大会を振り返ると、強風から軽風までのバラエティー豊かな風域に恵まれ、さらに厳密なレース運営がおこなわれたことから、実力が明確にあらわれる結果となりました。そのなかで、男子を凌駕する走りを見せた吉田/吉岡は見事という他ありません。

 今年の全日本選手権では、スリーボンドとチームアビームのお互いを意識した直接対決。彼らを追う次期ナショナルチームの激戦。さらに学生チームの大健闘など、見どころ満載の大会となりました。来年の470級全日本選手権は江の島で開催されます。この博多湾で戦ったセーラーのひとまわり成長した姿を楽しみにしたいと思います。


緊張のメダルレースがスタート。しかし、この後、風がなくなりレースはキャンセルされました。photo by Junichi Hirai


ノーレースを知らせるホーンが鳴り、優勝が決まった瞬間のベネッセチーム。思わず笑みがこぼれました。photo by Junichi Hirai


いい風に恵まれた福岡470全日本。来年は江の島で開催されます。photo by Junichi Hirai


470全日本最終日ダイジェスト。吉田/吉岡、2位の松永/吉田のインタビューあります。movie create by Kazushige Nakajima / Dailysailing.com


2013年470全日本選手権最終成績表

◎470全日本選手権(速報、成績、写真集、動画集)
http://www.fsaf.net/470

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