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日本420元年。再出発を果たす420全日本

 11月18日、葉山港・全日本420選手権2日目。荒天となった前日を補うため、レース委員会はスタート時刻を1時間早め、さらに規定の1日最大レース数を4から7レースへ変更。1日だけとなったレース日を最大限に使っておこなわれました。(BHM編集部)


中学2年生から五輪選手までが競う楽しい大会となった葉山420全日本。ユース選手には思い出といい刺激になったことでしょう。photo by Junichi Hirai

 風は北東3〜7メートル。前日に吹き荒れた南からのうねりが入る、ハンドリングのむずかしい海面です。さらに岸寄りにコースが設定されたため葉山森戸沖独特のシフティーな風のなかでレースがおこなわれました。当初は7メートルほど吹いていた風も、時間と気温ともに風は落ちていく傾向です。このようなコンディションでソーセージコース3本、トラペゾイド・アウターコースで3本。距離の短いショートコースでみっちりとレースを消化しました。

 第1レースこそ、走り慣れていないチームのドタバタが目立ちましたが、レースをこなすとともにだいぶ走りが安定してきたように見えます。この大会に出場するのは、これまで420級に乗って練習した経験のある高校生もいれば、葉山ではじめて乗るという選手もいます。経験者と未経験者では、歴然とした差がありますが、これから420級が全国的に広まることで全体がレベルアップしていくことでしょう。今後に期待です。

 さて、トップをゆくのは、ロンドン五輪代表の近藤愛/吉田雄悟(アビームコンサルティング)。6レース中3本のトップを取る快走を見せます。最終レースを6位で終えたのはご愛嬌といったところ。2位には本年度のISAFユースワールド代表スキッパーの岡田奎樹/宮口悠大(玄海セーリングクラブ)。3位には「(昨日の強風デモセーリングで)朝から筋肉痛です」と嘆いていた関一人/板倉広佳(トヨタ自動車東日本ヨット部/グローバルコムサービス)が入賞しました。

 バルクヘッドマガジン編集部は、420級を取材したことはありますが、30艇以上集まる全日本選手権を取材するのははじめて。高校生選手がどんな走りを見せてくれるのか、興味深く観戦させてもらいました。セーリングそのものは荒削りで雑に見えましたが、選手たちの笑顔から、乗りなれない船を乗りこなそうとする楽しさが伝わって来ました。

 また、五輪選手が実際に乗ったフィーリングは、「楽しい船。それに乗りやすいからセーリングのいい練習ができる」という意見が聞かれ、420級によるユース世代のセーリング技術向上も期待されます。日本420協会の理事長をつとめる重由美子さん(アトランタ五輪470銀メダル)に話しを聞きました。

「今回は9艇のチャーターボートを大会側が用意してくれたことでたくさんの参加を集められました。420はチューニングガイドがしっかりしているし、ボートの情報も国内外に豊富にあります。こうしたもので勉強してセーリングが上達できると思います。全日本のような大会に、これから多くの参加があることを期待します。それと同時に420級だけじゃなく、ジュニアやユース選手の層を増やしていかなくてはいけません。みんなで考えていきたい問題です」

 今後、420級は国内で大きく注目される艇種となるでしょう。同時に減少傾向にある日本のジュニア、ユース世代を盛り上げるという課題は残されています。今後の動向に注目です。来年の420全日本は佐賀県・唐津で開催されます。


優勝を決めた近藤/吉田のチームアビームペア。来週22日から始まる高松470全日本には別々のペアで出場します。photo by Junichi Hirai


銅メダリストを振り切って2位を獲得した岡田/宮口。photo by Junichi Hirai


レース前は「結構、いけると思いますよ」と自信あり気でしたが、着艇後は「練習しないと…ね」とぼやいていた関/板倉。3位。photo by Junichi Hirai


4位。小泉維吹/有岡翼(山口県セーリング連盟)。photo by Junichi Hirai


5位。村田俊彦/松尾虎太郎(広島セーリングスクール)。松尾選手は中学2年生です。photo by Junichi Hirai


葉山のジュニアセーラーもお兄さん、お姉さんセーラーを観戦しに来ました。ジュニアを指導する葉山町ヨット協会では全国でも珍しく、OP級は中学1年で卒業。中学2年からは420級ほかの艇種で練習します。photo by Junichi Hirai


第25回420級全日本選手権成績

◎420級全日本選手権公式サイト
http://alljpn420.jimdo.com/

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