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予想外の強風に翻弄された琵琶湖インカレ

 11月1日、琵琶湖・全日本学生ヨット選手権初日。インカレの定期開催地として知られている琵琶湖の定説は「吹かない」。記録よれば、平成4年(1992年)大会ではいい風が吹いたものの、それ以降の3大会は微風もしくは無風の大会となっています。しかし、本日の琵琶湖は「吹かない」を払拭するサバイバルレースとなりました。(BHM編集部)


沈艇が続出した大会初日。水深の浅い琵琶湖で沈をしてマストが折れる艇が多数みられました。photo by Junichi Hirai

 出艇時は5メートル前後の南南西だった風は、第1レースの後半になる頃には、南西にまわって風速10メートルオーバーに。海上は沈艇が続出します。水深の浅い琵琶湖で沈をするとマストトップは底に突き刺さります。泥から抜けなくなり、救助される艇も数多くみられました。

 琵琶湖のベテランセーラーは「琵琶湖でこんな風が吹くとは…。20年ぶりにインカレで吹いた風が、これほどになるなんて」と驚きを隠せない様子でした。編集部もこれまで何度も琵琶湖におとづれていますが、吹かない風にゲンナリした記憶ばかりです。

 風の強さ、というよりも琵琶湖特有の山から急降下して吹き付ける、インパクトの強いブローに選手たちはバタバタと倒されてしまいます。470級は第2レースをスタートしましたが、トップ艇がフィニッシュ直前でノーレースに。底知れない琵琶湖の風に翻弄される1日となりました。スナイプ級は第2レースをスタートせずにハーバーバック。両クラスとも大会初日を1レースで終えました。

 1レースを終えた時点で、470級は日本経済大、スナイプ級は同志社大がトップに。手持ちの成績集計によれば、総合は同志社大が2位の慶應大に約100点差をつけて首位に立っています。明日大会2日目もいい風に期待したいところです。

レースをしたいのにできない“もどかしさ”

 帰着後の選手たち、関係者から、「せっかく朝からいい風が吹いていたんだから、もっとレースをできたのでは? レースをやって欲しかった」という声を数多く聞きました。

 学生ヨットは部活動であり、通常のヨットレースとは違う。これは、ヨットレースを専門に取材しているバルクヘッドマガジン編集部も理解しているつもりですが、「ヨットレースに最高のコンディションでレースができない」となると、どうしても「学生ヨットだけにある不条理さ」をぬぐいきれません。

 インカレ出場校は大学の部活として活動しています。大会を安全に進めることは、すべての学校が望むことです。しかし、一方では、日本一を決める選手権にふさわしい舞台で真の日本一を決めて欲しい、という願いもあります。ここに現状のインカレのもどかしさがあります。

 きょうのレース進行をみていて、レース委員会は非常に安全に気を配っていたと感じました。時間をかけてリタイア艇を把握していたこともそうだし、ノーレース、ハーバーバックも安全面からの判断でしょう。

 いまのインカレでは上位を走る強豪校と中位以降の学校では大きな技術差があり、安全面を考えた場合、強豪校を基準にレース進行することは危険につながります。運営しているスタッフも、選手たちにレースをさせてあげたかっただろうと思います。レース運営している人たちの多くは学連出身のセーラーなのですから、選手の気持ちはよくわかるはずです。

 でも、いくつかの部分は、インカレ独特のレース方法を改善することで解決できることもあるのではないでしょうか。

 いまのインカレは、むかしと違います。大学の考え方も選手の意識も。現状のインカレが学生ヨットにとって正しい方向へ向かっているのかは議論されるべきだし、いまのインカレに適したレース方法を考える時期にきているように思います。

 願わくは、学生たちに「インカレ」ではなく、「ヨットレース」で競いあってほしいものです。

◎全日本インカレ特設サイト
http://alljapancollegesailing.com

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