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長距離航海中、船の上で何を食べる?


世界一周を競うボルボオーシャンレースの食事。雑然としたキャビンで食事をとる。撮影:Rick Deppe/PUMA Ocean Racing

サンケイビジネスアイ・コラム(54)
長距離航海中、船の上で何を食べる?

 長い時間乗っていると単調になりがちな船の生活で、楽しみのひとつが食事だ。帆船時代から船には専門の料理人が同乗して、働く船員たちの胃袋を満たしていた。船上の食事は大切な栄養の摂取だけでなく、娯楽でもあった。その名残はいまも受け継がれていて、船の上では陸上と同じ、またそれ以上の食事が用意されることが多い。

 海上自衛隊では、毎週金曜日はカレーと決まっているそうだ。この理由は、長期間海に出ていると曜日の感覚がなくなるため、「カレーなら金曜日」と曜日を思い出させるため、といわれている。実際に太平洋や外洋を航海していると、陸地の情報が遮断され、毎日同じような景色が続くので、日にちや曜日の感覚が鈍くなってしまう。

 大型船では冷蔵庫を装備して、食料の保管もしっかりおこなえるが、電力をなるべく使いたくないヨットの場合はそうもいかない。ヨットのキャビンにはギャレー(船内の調理スペース)があるので、ここで調理できるが、食料は基本的に保存の効くものばかり。最近では、米を乾燥させたアルファ化米やドライフーズ、インスタント食品も多く使われている。

 また、ヨットではもちろん水も大切な資源だ。世界をヨットで旅するセーラーは、水不足の問題をいろいろなアイデアで解決している。オーニング(日よけ)を使って、雨水を貯める装置を作りペットボトルに保管。スコールが降れば、裸になって全身シャワー。食事で使った皿はもちろん海水で洗う等。航海中は、海水と水をうまく使い分けて節約している。

 ただし、ヨットレースとなると、食事は満足できるものではない。一昼夜程度のレースならば、睡眠も取らずに走り続けることもあり、食事もスピード勝負となる。昔から日本のセーラーには、包装をとけば片手で食べられ、保存も効くからか、魚肉ソーセージが重宝されている。ヨットレース中のセーラーは、ソーセージを食べるたびに陸上の食事を恋しく思い、陸上でそれを見ると洋上のセーリングをなつかしむのである。(2011.7 文/平井淳一)

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