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船の道具をメンテする愉しみ

定期的にウインチを分解してメインテナンスする。ウインチの内部は機械式時計のようだ。撮影:Ian Roman/Audi MedCup

サンケイビジネスアイ・コラム(48)
船の道具をメンテする愉しみ

パソコン、携帯電話、インターネットなど、生活の大部分がスピードをあげてデジタル化されている。しかし、その流れに息苦しさを感じ、昔ながらの機械的な道具に興味を占めす人は多いのではないだろうか。ヨットは、GPSを使った航海方法などデジタル化されつつあるとはいえ、まだまだアナログな乗りものと言える。

ヨットには、セールを操作するためのコントロールロープがある。しかし、セールに受ける風の力は人間が到底受け止められるものではなく、ダイレクトに受け止めようものなら、軽く吹き飛ばされてしまう。そのため、セール操作にテコの原理を利用した装置を使ったり、いくつかの滑車にロープを通し、効率よく力を分散させて動くようにしている。

また、セーリングクルーザーには、ドラムウインチと呼ばれる装置がある。これは、コントロールロープをドラムに巻き付け、歯車(ギア)を使って巻きあげるというもの。ボタンひとつで巻き取る電動式もあるが、高価なこともあって手動タイプが主流だ。

ウインチの内部は機械式時計ように複雑だ。ハンドルをまわすと、小さな歯を組み合わせたギアを伝わって、ドラムが回転する。ギアが噛み合わなかったり、小指の爪ほどしかない歯がひとつでも欠けてしまったら事故につながりかねない。日常のメインテナンスが欠かせない部分である。

メインテナンスの方法は、ドラムを分解して、内部のギアについた古い油を拭き取り、歯やバネ、ベアリングのひとつひとつをチェック。異常がないようなら、ギアに油やグリスを薄く塗って組立て直す。あたらしい油がまんべんなく浸透するようにハンドルをまわすと、ウインチからカチカチとギアの回転音がする。道具への愛着がわく瞬間だ。パソコンの仕事と違い、油にまみれて作業することで、安心感を得られるは気のせいだろうか。(2011.6 文/平井淳一)

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