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レーザー、ラジアルナショナルチーム紹介

2月8〜12日まで葉山港でおこなわれたレーザー級、ラジアル級ナショナルチーム選考レースが終わりました。大会期間中、バルクヘッドマガジンでは毎日記事にしていましたが、書いていてつらい部分がひとつありました。これは、先にも書きましたが、『ナショナルチーム=世界選手権出場選手』と決められないことです。(BHM編集部)

国際レーザー協会は、各国に割りあてる世界選手権出場枠を決定していません。レーザー協会によると本日もまだ決定しておらず「世界中が困っている」状態のようです。もちろん、選手がいちばん不安でしょう。本大会ではナショナルチーム男女各3名が決まりました。ただし、この3名全員が出られないかもしれないし、逆に4、5、6位以下の選手にも出場枠がまわってくるかもしれません。選考レースは終わりましたが、全選手にモヤモヤした気分が残り、中にはわずかな希望をつないでいる選手もいることでしょう。

ロンドン五輪直前の選考レースは、軽風シリーズとなりました。選ばれた選手は、フラット海面でシフティーな風のなかを上手く走らせる日本代表選手です。ここで2012年度ナショナルチームと本大会直後の選手コメントを紹介します。

◎レーザー級ナショナルチーム


安田真之助 やすだしんのすけ
25歳、鹿屋体育大学所属

ナショナルチームトップ通過を果たしたレーザー界のリーダー格。昨年は欧州遠征、プレ五輪、ユニバシアード、セイルメルボルンと大忙し。ISAFセーリングワールドでは、腰の不調もあり実力を発揮できず。今春は3月クロアチア・スプリットオリンピックウィーク、フランスSOF(イエール)に参戦予定。
「1カ月前から葉山に入り、落ち着いてレースできたと思います。去年は地元(鹿屋)だったし、風もわかっていました。今年はこれほどまで軽風になるとは予想していませんでした。ほかの選手にくらべて少しだけ葉山の風を読めていたのかも。ドイツワールドは湾内なので、フラットな海面も予想されます。今回、平水面の走りも悪くなかった。ワールドもがんばります」(安田)


ホール・イアン
27歳、福岡ヨットクラブ所属

これまで単独で海外レースに出場、海外選手と合同練習するなど、独特のペースでキャンペーンを続けている。初日に42条違反をして「攻めるレース」ができなくなり、堪える場面が多く見られ、実際に、最終日は後続に差を詰められる内容で苦しい状況が続いた。今回は安田に引き離されたが、ワールドまでにその差を埋めなければならない。
「(最終レース直前は)本当に最後になるかも知れない。いままでやってきたことを思い出して、最後くらいは楽しもう、という気持ちでした。心をリセットして、自分らしい走りをしよう、と。いま、ぼくに足りないのは外部からの目だと考えています。コーチのような存在が、外からセーリングを見て、指摘してくれるだけで改善できる部分があるし、(日本チーム全体も)まだまだ上がれると思っています」(イアン)


永井久規 ながいひさき
32歳、豊田合成株式会社所属

3度目のキャンペーンになる永井もいつしかベテラン格。アジア大会で銀メダルを取った一昨年11月から10キロ増量して、この大会のためにコンディションを整えた。アテネ選考では日本人3番目の成績で敗退、北京選考では2番目で敗退。3度目の正直でロンドン五輪代表を目指す。子供3人の父親でもある。
「風待ち中は「これで終わってしまうのか? でも、10レースもやってこの成績なら仕方ない。でも、レースをやってほしい」という複雑な気持ちでいっぱいでした。最終レースは「自分のために風が吹いてくれたんだ」と前向きに考えてレースに臨みました。大会を通して、こんなに苦しい選考になるとは予想していませんでした。もっと(自分が平常心で)普通に走れると考えていました。いまの日本選手が世界の底辺にいることはわかっています。でも、ここから這い上がらないと!」(永井)

※レーザー級のロンドン五輪出場国権利は、現在35カ国が決定。5月ドイツ世界選手権で残り12カ国が決まり、日本が五輪に出場するには、決定国をのぞいて国別12位以内に入らなければなりません。

◎レーザーラジアル級ナショナルチーム


土居愛実 どいまなみ
18歳、山手学院高校在学(3年)

高校生になり、国際ユース大会で実力を発揮している若手ホープ。2011年ユースワールド4位、2010年ラジアルユースワールド2位、2010年ユースワールド10位。今年1月にはオーストラリア選手権にも出場し、海外レースの経験を積んでいる。また、昨年度ラジアル全日本で優勝したことで、本大会出場選手内ただ一人ワールド出場権利を獲得済み。兄の土居一斗は日本経済大ヨット部2年。
「みんなに比べたら(枠を持っていたことで)緊張は少なかったと思います。でも、緊張はしていました。シフティーでブローの強弱がある海面だったけれど、ブローが見やすかったし、風をしっかり見つけて、つかめるように心がけました。ナショナルチーム選考に出場するのは初めてです。ワールド、ロンドン五輪まで全力を注ぎます!」(土居)


原田小夜子 はらださよこ
24歳、鹿屋体育大海洋スポーツセンター所属

安田、松苗の1つ後輩に当る鹿屋体育大ヨット部OG。3選手は、2008年度西宮全日本インカレのスナイプ級日本一の主力メンバーでもある。昨年末のパースISAFワールドでは、ナショナルチームではなく一般選手枠として出場した。兄は470級男子の原田龍之介(アビームコンサルティング所属)。
「適度な緊張感でレースができたと思います。パースワールド後は鹿屋で練習。2月に入ってから葉山に来ました。パースでは自分の力を出せず、何もできずに終わってしまったという感じでしたが、苦手な波のある海面を経験できたのは大きかったです。今回のような、軽風、シフティー、平水面は得意なんですが、(土居に)これだけ差をつけられていますから…。これまでのナショナルチーム選考では4位ばかりでした。NT入りははじめてです。ワールドで勝つため、“吹き”を練習します」(原田)


松苗幸希 まつなえさき
25歳、室蘭市体育協会所属

ギリギリの費用でキャンペーンを続けてきた道産子セーラー。12月中旬から鎌倉材木座に入り、知人の知人を頼って、練習を重ねた。海近くに自分で建てた小屋(?)を仮住まいとし、外気と同じ気温の、暖房のない小屋で寝起きしながらトレーニング。その後、海で偶然に知り合った女性の好意で、使っていない部屋を使わせてもらい…。彼女の話を聞くほど驚かされるが、とにかく常識を逸した活動と気迫でナショナルチーム最後の席を獲得した。
「レース期間中は毎日泣いていました。つらくて、つらくて。わたしは気持ちが弱い方なので、早く終わってほしいと考えていました。得意な風域(軽風)が多かったのでよかったです。この選考を通過して、夢に一歩近づきました。北海道で応援してくれている方がたくさんいます。まずは、お礼をいいたいです。いまは、まだ次の計画を考えていませんが、北海道ではまだ練習できないので、急いで活動場所を考えないと。選考1位と2位にはまだ差があります。これを乗り越えないといけません」(松苗)

バルクヘッドマガジン・フェイスブックでは、ナショナルチーム選考の写真をアップしています。ぜひ御覧ください。

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