2013年大学マッチを振り返って(1)

  • 19
  • Mar

 日産東海マリーナで開催された大学マッチは、既報の通りファイナル1本勝負を和歌山大が制し、第2回大学マッチ王座を獲得しました。終わってみれば、奇跡のような好条件でラウンドロビンとファイナルを含め23フライトを消化。大会期間中は数々の名勝負があり、選手たちの日増しに上達するセーリングに目を見張る3日間でした。(BHM編集部)


予選最終フライトは早慶戦で盛り上がりました。ポートの慶應大が早稲田大を大きく避けて右海面へ。photo by Junichi Hirai

伝統の早慶戦が大学マッチで実現
 ラウンドロビン最終フライト前のこと。海上のどこからか雄叫びのような、単調なリズムで笑うような声が聞こえて来ました。声の行く先を探すと慶應大が船の上に並んで歌っています。続いて早稲田大もそれに習い、エールと校歌を大きな声で歌い始めました。ラウンドロビン最終フライトで、偶然にも早稲田対慶應の早慶戦が用意されていたのです。

 最終戦におこなわれた早慶戦は、否応なく盛り上がりました。両校とも是が非でも勝ちにこだわる一戦です。気合が入っているのが目に見えて分かります。先行した早稲田大を追う慶應大。上マークをまわった後の慶應大のスピンアップの速さといったら! それをほかの予選マッチでもやっていれば…。と思ったのは、編集部だけではないでしょう。戦いは最終日負けなしの早稲田大が慶應大を破りました。

 この早慶戦は大学マッチだからこそ見られる戦いです。これで来年を期待しないわけにはいかなくなりました。次回の早慶マッチもたのしみです。

和歌山大旋風、巻き起こる!
 和歌山大の優勝は、きっと全国の大学セーラーへセンセーショナルに映ったことでしょう。和歌山大は、昨年の全日本インカレ470級9位。この成績は立派だと思いますが、私立強豪校に競り勝つまでに至らず悔しい思いをしました。

 しかし、この大学マッチは全選手がキールボートの素人同然。マッチレースの練習を始めたのも今年に入ってから2カ月程度です。では、全チーム同条件で始まった戦いでどうして和歌山大は優勝できたのでしょうか? 和歌山大は他チームより練習をしたから。スタートがきまったから。タクティスを勉強していたから…。いろんなことを考えていましたが、どうも違うような気がします。

 上マークをまわったらスピネーカーをあげる。風をみつける。相手から風を奪う。風が右にシフトしたら上マーク回航後ジャイブする。風が上がったらハリヤードテンションをあげる。こんなことは全て大学ヨット部の練習で染み付いていることでしょう。それがキールボートに乗ったから、マッチレースだからといって変わるものではありません。全部、同じヨットレースのイロハです。


和歌山大チーム。翌日、地元和歌山に帰ると、出場していない後輩ヨット部員から「来年も絶対出て、絶対勝ちましょう!」と言われたそうです。photo by Junichi Hirai

 和歌山大は、とても基本に忠実に走らせていたと思います。チームから怒号が聞こえることもなく、落ち着いた走りが印象的でした。

 あるマッチで和歌山大が下マークを回航した時、スピネーカーのダウンアクションが少し遅れていました。バウマンがデッキで取り込みする動作が遅れ気味で、船はマークラウンディングに入っています。その時、ティラーとメインシートを動かしていた山崎スキッパーからゆっくりとしたリズムで、「みんな、落ち着いていこう」という声が聞こえてきました。それを聞いて、いいチームワークだなと思いました。

 短い期間で全員の意識を統一してチームをつくり上げることはむずかしいものです。和歌山大にそれができていたとまでいいませんが、チームワークとコミュニケーションはうまく取れていたようです。

 和歌山大は、まぎれもなく日本一です。バルクヘッドマガジン編集部は、この勝利を全日本インカレ優勝と同等に考えています。和歌山大のみなさん、あらためておめでとう!


和歌山大ばかりフィーチャーしましたが、準優勝の関西大も見事な戦いを見せてくれました。「クルーポジションは、やることがわからないから、なんとなくのイメージで。挙手制で決めました」とのこと。とにかく明るく、たのしいチームです。photo by Junichi Hirai

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