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連載第14回 空飛ぶ日記「この風、飛べるの? 飛べないの?」

 押忍、みなさん、元気にぶっ飛んでますか? よく人からストレスフリーにみられる編集長ですが、こうみえて日々悩みを抱えています。最近の悩みは「モスる」時間が激減していること。仕事を片付け、さあ練習しようと海を見れば春の嵐。風が弱かったり強すぎたり、タイミングが合わずムズムズしています。毎日同じ時間に同じ風が吹けばいいのにね。(BHM編集部)

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ハルとセールにバルクヘッドマガジン・ステッカーを貼りました。この船を見かけたら、「編集長、がんばってんな」とあたたかく見守ってください。葉山の赤灯台、防波堤近くで沈していたら助けてください。これはマジで。photo by IBUKI KOIZUMI / KAIJIN TEAM JAPAN

 この2カ月間、まじめに飛べていないので目標であるフォイリングジャイブに進歩ありません。まったくもってフラストレーションばかり溜まります。そんな4月の平日、たえきれずに海へ出ました。夕方に前線が通過する予報なので、それまでの短時間勝負です。

 南西12〜16ノットの風予報ですが、実際に海に出てみたら4〜6ノットぐらいでしょうか。うーん、いやな感じ。フォイリングボートのむずかしさのひとつは、微〜軽風のフォイリングといえます。これがまた難関なのです。

 船が飛び上がるまでの過程は、ジェット機の離陸に似ています。まずジェット機は滑走路を走ります。必要十分なスピードが出たところで、主翼、尾翼に発生する揚力を使って飛び立ちます。資料によれば、ボーイング747の離陸に必要な速度は時速250キロ。機体重量は約350トンあるそうです。こんな重量が飛んじゃうなんて揚力ってすごいですね。

 そこで、モスの話です。モスの離陸速度は、編集長の場合、7ノット程のボートスピードが必要になります。これはセーラーの技術、フォイル形状でも違ってくるので一概に言えませんが、「この風、飛べるの?飛べないの?どっちなの?」という場面はよくあることです。

 つまり、編集長は浮き上がっていない状態で7ノットのスピードを得れば離陸可能であり、風速4〜6ノットではチト弱い。飛べるスピードが出るまで(飛び立つまで)のモスはただの不安定な丸太、カーボンの塊にすぎません。ここにあるのは苦しみだけ。風が吹くのを祈るしかないのです。

 で、編集長は海の上で2時間待ちました。つらかったー。でも、午後2時過ぎから吹き出した風で1時間のフォイリング。なんだかんだで20ノットの快適フライトを楽しみました。さらに風はあがってくる雰囲気なので、やばくなる前にハーバーへ戻りました。

 風を待っているときは死ぬほどつらかったのに、フォイリングしちゃえばつらい時間なんて忘れてしまいます。単純なもんです。


東京五輪で採用されるフォイリングナクラ17は、只今国別試乗会がおこなわれています。映像のフォイリングジャイブを成功させたのはモスワールドチャンプのボラ・グラリ(USA)。すごい


オプティミスト級も飛びましたよ。その情熱、使ったお金、費やした時間に脱帽です。すごい

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編集長がGoogleのAutoDrawで「モス限定・葉山港入港ルート」を描いてみたよ。防波堤周辺には近寄ってはいけません(モスのラダーは超細く効きが悪くて動かない)ポイントは中央の3番で、ここ一発のタックをミスったらゲームオーバー。やり直しです。2番まで泳いで離れることもあります。サメは危険地帯。編集長は葉山港横の岩場に、モスをかついで登ったこともあります。近寄っちゃだめ。

連載 バルクヘッドマガジン編集長の空飛ぶ日記
第1回「編集長の空飛ぶ日記、はじまります」
第2回「神様ありがとう、編集長は空を飛んだよ」
第3回「海に出たいのに出られない」
第4回「ものすごいスピードでドカーンと飛ばされる」
第5回「肩の靭帯が切れて凹む」
第6回「編集長、沼から地獄に流される」
第7回「海外のモス野郎にパーツを奪われる」
第8回「ペットボトルがつかめない」
第9回「飛べばハッピー。フォイリング幸福論」
第10回「スターボードタックで飛び続けたら江の島に着いた」
第11回「モスに乗り始めて1年が経ちました」
第12回「ジュニアヨットからヒントを得た、かもしれない」
第13回「ノーズダイブを繰り返した後、天国への扉をノックする」

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