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江の島OPナショナルチーム選考を取材して

 この二週間、バルクヘッドマガジン編集長は、三河湾・大学対抗&U25マッチレース、葉山・ニッポンカップ、江の島・OP級ナショナルチーム選考を駆け足で取材してきました。取材遠征が連続してしまうと原稿を書く時間が少なくなってしまい、不本意ながらもやもやした気持ちを残しています。そして、いまは日本を離れて、オリンピック選考がおこなわれるスペインの離れ島、パルマ・デ・マヨルカに来ています。(BHM編集部)

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江の島で開催された「OP級ナショナルチーム選考」。選考3日目は夕方の北風を待ってレースを行いました。大会の写真はこちらにあります(バルクヘッドマガジン・フォトギャラリー)。photo by Junichi Hirai

改革過程にあるOP級ナショナルチーム選考

 3月23、24日、江の島で開催された「OP級ナショナルチーム選考」を取材してきました。編集長はOPナショナルチーム選考について取材をする時、その年の実力選手はだれかを見ているのはもちろんですが、「数年後、大化けする選手がいるかもしれない」という気持ちもあって、積極的に取材に行かせてもらうようにしています。

 今年の上位選手は、トレーニングをしっかりしてきたのでしょう。セーリングテクニックを持ちながら、強い気持ちでレースに望んでいる選手が多かったようです。また、ジュニアながらも体格のしっかりした選手もいて、その能力を存分に発揮して欲しいと思います。いまは、OP級を卒業したらレーザー4.7級やラジアル級、420級など次のステップが選べ、その先のプランも見通しできるようになっています。

 今年の選考では、昨年まであった「OP級全日本優勝者は、ナショナルチームチーム入りと世界選手権の出場権利が与えられる」という特典が撤廃されました。今回の選考には、ナショナルチーム入りを目指す、選考(全日本選手権)で資格を得た選手が出場していて、真の実力を持ったジュニアが集まる、正当に評価される大会だったと感じました。

 風は4日間を通して全体的に軽風のシリーズに。毎年、ナショナルチーム選考や全日本選手権が終わった後の議題にあがるのは、「レースで風域が偏ってしまうと特別な風域の得意な選手だけが選ばれてしまう」という問題です。

 ヨットレースでは極端な例は除いて、強風の時は体重があったほうが有利だし、微風では軽量の選手の方が早く進むことができます。微風のレースでは、ジミー・スピットヒル(アメリカズカップ・オラクルUSAのスキッパー)でもOPセーラーの走りに手も足も出ないでしょう。

 小学1年頃から乗り始め、中学3年(15歳)まで乗るOP級は、身体が成長していく子どもにとって適した船ではない、といえるかもしれません。なかには、たった半年で急激に成長する選手もいて、身長・体重が増えたことによるセーリングの変化に対応できず、スランプに陥る選手もいます。

 このような、かねての懸案から、いま日本OP協会(JODA)では、大会ごとにポイントを設けて成績をつけるランキング方式を取り入れる案が出ています。本年度はトライアルとしておこない、選考には関与することはないそうですが、いくつかの大会の成績をもとにしたランキング制度を用いる方式が考えられています。

OP級を卒業したセーラーはどこへ向かう?

 BHM編集長が江の島に行くのは、昨年11月の470級全日本選手権以来になりました。旧ヨットハーバーの建物が完全に取り壊され、さら地になっていたことは、耳にしていたこととはいえショックでしたが、大会は天候にも恵まれ、元気に走るOPセーラーに意欲を掻き立てられました。

 レースが終わった後、江の島に来ていたある高校生と少しだけ話をしました。彼は、ジュニア時代にOP級に乗っていて、成績も優秀だった選手です。いまは、高校ヨット部で活動しています。

「そういえば、レッドブルのフォイリング・ジェネレーション(16〜20歳限定)は知ってる? OPに乗っていた同じ年頃の選手たちが出るみたいだよ」と言うと、急に目を輝かせて「もちろん、知ってます! ものすごく出たいんです。昨日も(出ると話している選手から誘いの)連絡があって一緒に走りたいと思ってるんです。でも、親に反対されていて…」と話しだしました。

 ヨットレースの現場で編集長に話しかけてくる選手は、ほとんどがヨットが大好きでたまらない「ヨット馬鹿」です。ヨットが乗りたくてしかたがないオーラを出しているジュニア、ユースは、大人が予想しているよりもたくさんいるものです。反対された理由は家庭の問題のようだったので意見しなかったのですが、本人の希望が叶って出場できたらいいな、と思います。

 OPを卒業したセーラーたちは、旧友であり、ライバルだった選手の活動を気にしながら高校生活を過ごしています。お互いに情報交換して刺激しあっています。そうしたつながりをセーリングを通して育んでいるジュニアセーリングの大切さを、あらためて気付かされました。

 今回は、日本で初開催されるレッドブル・フォイリングジェネレーションが話題でしたが、「なるほど。こういう刺激的な情報にとびつく若いセーラーは、全国に結構いるのかもしれない」と思うようにもなりました。手にする情報が多く、挑戦することが日常的になれば、もっと広い視野でセーリングを見られる開拓者が登場してくるかもしれません。

 そうした強い気持ちを持つジュニア・ユース選手の受け皿を、大人たちがしっかり作ってあげられたらいいな、と考えています。

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