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歓喜!早稲田大、福岡全日本インカレ最終日

 11月3日、福岡小戸「第79回全日本学生ヨット選手権」最終日。前日から吹き始めた強い北風は朝まで続き、福岡市ヨットハーバーは冬の寒さを感じられます。しかし、風は強いながらもレースできない風ではありません。選手たちはひとつでも上の成績を取るべく博多湾へ飛び出しました。(BHM編集部)

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前半2日間の無風状態を吹き飛ばし、風に恵まれた大会最終日。怒涛の勢いで上マークへ向かってくるスナイプ級。photo by Junichi Hirai

 大会3日目に4レースを終えていますが、初日、2日目に全くレースができていないので消化不良感は否定できません。最終日の最大レース数は3レースです。最終スタートが午後1時と決まっているので、この時間までに3レースするには素早いレース進行が求められます。

 博多湾は晴れ渡り北西の風が吹いています。選手たちは絶好の風のなかレース海面へ向かい強風レースを意識しましたが、海面の風は意外にもパワーがなく落ちる傾向です。第5レースこそ18ノット前後の風でおこなわれましたが、その後、風の強弱にムラのある軽風から中風の戦いとなりました。

 選手たちの緊張感は、観戦している取材ボートまで伝わってきました。慶応大、同志社大、日本大からは、暫定トップの早稲田大を振り落とさんばかりの気迫。それは成績にも反映され、スナイプ級第5レースでは同志社、慶応がワンツーフィニッシュ。しかし、僚友艇がブラックフラッグで失格になるなどもあり、なかなか流れを取り戻せません。

 スナイプ級の戦いに決着をつけたのは第6レースの早稲田大です。なんと3艇の順位が1-3-4位(合計8点)という驚異的なポイントを稼いでクラス優勝を決定的にしました。スナイプ級は早稲田大が同志社大に66点の差をつけてクラス優勝を飾りました。

 また、前日2位の慶応大に大差(72点)をつけて最終日にのぞんだ早稲田470もトラブルや英語(失格)を叩くことなく、他大学の追撃を寄せ付けません。終わってみれば、90点近く差を広げて勝利しました。早稲田大は470級、スナイプ級ともにクラス優勝。そして文句なしの完全総合優勝を決めました。早稲田大は創部以来初の「完全優勝」達成です。

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真っ赤なスピンは早稲田大。470級、スナイプ級とも勢いに乗って完全優勝を果たしました。photo by Junichi Hirai

「(今年監督に就任して)「どうやったらチームが強くなるのか」を部員と話し合ってきました。当初は迷いながらのスタートで完全優勝できるとは思っていなかった。だんだん良い形でチームがまとまり、勝つことに対してチームがひとつになる感触がありました。技術的には小松一憲コーチ、原田龍之介コーチ(ロンドン五輪代表。早稲田ヨット部出身)にしっかり鍛えてもらい、特に強風の走りが劇的によくなった。スナイプは社会人選手と身近に練習したり遠征をしたり面倒を見てもらました。今回は風に恵まれたと思っています。それに運営がしっかりレグ(距離)をとってくれたこと、15〜20度のシフトでマーク変更したり、風が落ちたらすぐに中止にするなど素晴らしく公平なレース運営でした。これも安定した走りの要因になりました」(関口功志・早稲田大監督)

「レース前は、みんなに「いつもどおりにやろう」と話しました。変に意識することなく、自分たちがやってきたことをやればいい。強風になればボートスピードで自然と前に出られる。今回は風が味方してくれました。スタートを第1線で出て、トラブルなく、英語なく帰ってくる、ということを意識していました。今年の早稲田が目指していたのは、自分で考えて動けるチーム。ある程度、後輩に責任を与えて考えて、思ったことを行動に移す自主性を重んじるチームです。今年の4年は下級生から見たら弱い世代だったと思います。それは技術的にも言えることで、4年生は6人いるのですが、弱い世代だからこそ結束して部を運営してきました。完全優勝できたことは、自分が思っていた以上の結果になったと思っています」(櫛田佳祐・早稲田大主将)

 実質2日間の短期決戦となった全日本インカレ。強風シリーズとまではいかないまでも、突発的な強いブローが入りトラブルが相次いだため、強風のイメージが残る福岡全日本となりました。

 スター選手が顔を並べる早稲田大は、前評判も高く、特に秋の関東インカレで圧倒的な力を見せた「強風の早稲田」を再現する内容となりました。しかし、上位に入った同志社大、慶応大、日本大の総合力は日本一レベルに達していたし、もし序盤で軽風レースがあったら流れは変わっていたかもしれません。しかし、戦いに「たら・れば」はなく、勢いを保ったまま勝利を勝ち取った早稲田大は見事のひとこと。実際に中風以上のスピードは他大学を凌駕していました。

 また、大会後の各チームからは、このむずかしい風で7レース実施したレース運営を称える声も聞こえてきました。特にギリギリのスタート(470級は12時55分、スナイプ級は午後1時ちょうどのスタートで実施)となった最終レースは大会の充実度を決定づける手際の良さでした。選手たちにレースに対する消化不良感は残らなかったことでしょう。

 早稲田大の圧勝で終えた全日本インカレ。来年80回大会は、神奈川江の島で開催されます。

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470級の中村陸宏/木村直矢(日本大)は最終日3レースを連続トップフィニッシュ。本大会7レース中4レースで1位を取る怪物ぶりをみせました。photo by Junichi Hirai

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470級、スナイプ級、総合の優勝旗を勝ち取った早稲田大。2010年蒲郡大会以来の王者奪還です。photo by Junichi Hirai

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夕方から始まった閉会式。今年の全日本インカレも数々のドラマがうまれました。来年は江の島で開催されます。photo by Junchi Hirai


大会最終日ダイジェスト映像です。映像提供:デイリーセーリング。大会記録Blu-Ray/DVD申し込み、お問い合わせは下記まで。
http://laylinemedia.co.jp/dvdsale.html

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470級成績

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スナイプ級成績

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総合成績

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