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最終日激突!チームアビームvsスリーボンド

 11月23日、江の島470全日本選手権4日目。前日、風が弱くノーレースとなった江の島沖は朝から北東風。風速3〜13ノットと強弱が激しく、さらに北東〜北〜北東というシフティーなコンディションで4レースおこなわれました。(BHM編集部)

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大会4日目は、軽風ながら途中強いブローが入り、またシフト幅の大きいトリッキーな北東風で4レースおこなわれました。photo by Junichi Hirai

 大会4日目は、最終日のメダルレース進出を決める決勝・ゴールドフリートに注目が集まりました。土居/今村(チームアビーム)と同率首位の飯束/八山(SPN)が崩し戦線離脱するなか、王者の風格で躍進したのは、スリーボンドの松永/吉田です。風の読みがむずかしい状況で2-1-1-10位。土居/今村との距離を一気に縮めました。対する首位の土居/今村も負けていません。1-5-OCS-1でOCSをカットレースにトップを保守。最終日のメダルレースを控え、初優勝に王手をかけました。

 それにしてもチームアビームとスリーボンドは、手に汗を握る戦いを見せてくれます。本日のポイントとなったのは、3レース目(第8レース)です。2位、1位と連続の好成績でスリーボンドに差を詰められたチームアビームは、スタートでリコールしてそのまま走り続けてしまいます。3着でフィニッシュしますが、当然ながら失格(OCS)。大きなカットレースを作ってしました。

 その時、チームアビームのリコールを知らなかったスリーボンドはチームアビームに対して、上マーク回航時のポート・スターボードのケースでプロテストを申告します。スリーボンドはこの段階でチームアビームを叩いておこうという算段だったのでしょう。こうしたプロテストによる“揺さぶり”もテクニックのひとつです。しかし、この抗議は、帰着後、チームアビームのOCSを確認したことで取り下げられることになります。

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最終日を前に3位から2位にジャンプアップ。一時はトップに1点差まで詰め寄ったスリーボンドの松永/吉田。photo by Junichi Hirai

 ここでゲームの流れは、スリーボンドに変わりました。第8レースが終わった途中時点で、カットレースを含めてチームアビーム11点、スリーボンド12点。その差1点。スリーボンドに追い風が吹いてきました。

 しかし、4レース目(第9レース)で前に出たのは土居/今村です。スタートで先行し、松永/吉田を不利な右海面へタックさせると、左海面のブローをつかんでトップグループで上マークを回航。反対に松永/吉田は「(不利な右海面へ向かってしまい)とりかえしようがなかった」というミスで中盤で回航。その後、10番まであげましたが、トップフィニッシュを飾った土居/今村に再び差を広げられてしまいました。

「最後のレースはうまくなかった。スタートを失敗して右海面へ。風は左に振れていたからどうしようもなかった。いま自分たちのチームは、ひとつひとつウィークポイントをつぶしている段階です。メダルレースは、練習のつもりで思い切り戦いたい」(松永鉄也 スリーボンド)

「去年までならガタガタ崩れる展開でした。いままでは、悪い結果(OCS)の後のレースは気後れしてしまい、スタートも前に出られず失敗するパターン。最終レースのスタートで気持ちを切り替え、前に前に出られたのはチームが成長した証だと思います。ただ、(スリーボンドと)右と左にセパレートしてしまったのはセオリーではありません。左海面に風が入ったのは、読み切ったのではなく偶然。風に助けられました」(今村公彦 チームアビーム)

 さあ、明日最終日は上位10艇によるメダルレースがおこなわれます。メダルレースは得点2倍。チームアビームは逃げ切れば勝ち。スリーボンドは間に2艇入れて先行フィニッシュすれば逆転勝ちというドラマチックな舞台が用意されました。最後に笑顔を見せるのは、スリーボンドか、チームアビームでしょうか。最終日のメダルレースに注目です。

◎江の島470全日本選手権 メダルレース進出選手
1. 土居/今村 12p
2. 松永/吉田 18p
3. 飯束/八山 35p
4. 石川/阿部 37p
5. 磯崎/津留 41p
6. 中村/木村 45p
7. 吉田/吉岡 55p
8. 河合/小川 58p
9. 市野/外薗 65p
10. 加藤/吉永 67p

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江の島470全日本・大会4日目(9レース終了時)ゴールドフリート暫定成績

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ベテラン、吉田愛/吉岡美帆(ベネッセ)に詰め寄る、新チームの山口祥世/畑山絵里(ノエビア)。女子470新旧交代を予感させるシーンも見られました。photo by Junichi Hirai

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学生トップの磯崎哲也/津留健(日本経済大4年)。磯崎は昨年の全日本4位、NT選考5位(次点)の実力選手。OP級でアジア大会出場後、福岡第一高ではFJ、420のクルー、日経大でも2年まで土居一斗のクルーを務めてきました。スキッパーに復帰してからたった2年でこの実績は驚かざるを得ません。photo by Junichi Hirai

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日本大4年の中村睦宏/木村直矢。彼らは学連艇を使うというビハインドがありながら、ナショナルチームと肩を並べて6位でメダルレースへ進出します。「今年のインカレ個人戦優勝を目標にしてきましたが負けてしまい、それが悔しくて全日本インカレまでに船のセッティングを1からやり直しました」という中村は、全日本インカレで7レース中4連続1位を取り、さらに全日本470でも学生超の走りを見せています。photo by Junichi Hirai

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総合4位は、かつてナショナルチームとしてロンドン五輪の第二次代表選考(パースISAFワールド)まで戦った石川裕也/阿部純(トヨタ自動車東日本/横浜市消防局)。石川はトヨタ東日本の49erチーム、牧野/高橋のコーチとして海外転戦に同行しています。全日本470は2年前の高松大会以来。普段練習していないだけに、レース後はさすがに疲れ顔を見せていました。ここまで走るとは、本人も予想できなかったかもしれません。photo by Junichi Hirai


大会4日目ダイジェスト。決勝レースのダイジェストと松永選手(スリーボンド)、吉田愛選手(ベネ­ッセ)、磯崎選手(日経)、髙山選手(星林高校)、小泉維吹選手(山口県セーリング連­盟)、田中航輝選手(九州大)、田中美紗樹・高野芹奈組(関西第一高校)インタビュー­。映像提供:デイリーセーリング

◎江の島・全日本470選手権ウエブサイト
http://470alljpn.wix.com/2014

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