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日本はちょっと違う?世界のセーリング文化

※サンケイビジネスアイ紙で連載していたコラムを紹介します。


セーラー全員が正装して出席するアメリカ・ニューヨークヨットクラブのパーティー。独特のセレブリティー感がある。撮影 平井淳一

コラム(74)
日本はちょっと違う?世界のセーリング文化

 セーリングは、国によってそれぞれ個性がある。1700年代のイギリスにはじまるヨット(セーリング)は、もともと王室のスポーツとして広まった。そのため欧米では今でもおごそかで、伝統を重んじている。スタートの合図にキャノン砲(空砲)を使ったり、ヨットクラブのパーティーには必ずドレスコードが用意され、ヨットクラブに入室するにもクラブ員の紹介が必要となる。伝統を受け継ぐことは、限られたメンバーで構成されるヨットクラブにとって重要なのだろう。

 日本と欧米諸国で最も異なるのが、このヨットクラブの存在だ。欧米のセーリング文化は、ヨットクラブの活動が中心で、子供の頃からこのグループに所属してセーリングや海の知識を学ぶ。大人たちはクラブ組織を運営するだけでなく、ヨットレースの企画運営、ジュニア・ユースセーラーの育成もおこない、世代がつながることでクラブが存続していく。また、ヨット置き場の管理やレストラン・バー、ホテルなどの宿泊施設が併設され、そこから利益を得て運営されているクラブも多いようだ。

 日本のヨットクラブは、ソーシャルクラブであるものの海外のそれとは趣が異なる。日本のセーリングは、1946年にはじまる国民体育大会の第1回大会から採用されていることからわかるように、他のスポーツと並んで「体育」の流れが根底にある。セーラーは都道府県の連盟に所属したり、高校、大学のクラブ活動としてセーリングをはじめることが多い。ジュニアセーリングはクラブ単位で活動しているが、あくまで年齢の枠のなかで活動するもので、海外のそれとは意味が違う。日本の活動も有意義だが、競技主体の活動に隔たる傾向にあり、これは、中国、韓国などアジア圏の国とよく似ている。

 ニュージーランド、オーストラリアといったオセアニアのセーリングスタイルもまた個性的だ。ヨットクラブはイギリスの影響を受けているものの、セーリングそのものは、国民性が大きく影響しているのか、楽観的という言葉がぴったりする。セーリングは、サーフィンやウインドサーフィンなどウォータースポーツのひとつで、楽しさを前面に打ち出したスタイルが特徴的だ。個人的な感想では、同国のセーラーは荒れた海でもセーリングに出たがる傾向があり、よりスピードを求めるエキサイティングな走りが好きなように思える。

 世界のセーリングスタイルを比べてみると、日本だけにしかない固定観念があることに気がつく。海を知るには、日本の枠にとらわれず、多くのセーリングを経験したほうがいいし、なにより楽しいはずだ。(2011.12 文/平井淳一)

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