Loading

吹き上がれ!フランス470ワールド4日目

 8月8日、フランス・ラロシェル470級世界選手権4日目は、トリッキーな風から徐々に吹き上がり3レースおこなわれました。これで決勝シリーズは5レースを終えたため最も悪い1レースの得点がカットされ、順位にも変動がみれます。本日は、シリーズのターニングポイントとなる1日となりました。(BHM編集部)


大会4日目。女子11位まであげてきた吉田/吉岡(ベネッセ)。photo by Junichi Hirai

 男子トップは、シフトがあわずに低迷するベルチャー/ライアン(AUS)をかわして、新チームで挑むルブッシェ/ルベレ(FRA)が急上昇です。3位には、ロンドン五輪銀メダルのペイシャンスと、アテネ五輪銀メダルのグランフィールドによるGBR新チームが上がってきました。男子上位陣を見渡すと、昨年までと比べてメンバー変更はあるものの、継続活動するスキッパーに勢いがあります。

 また、ジュニアワールドで活躍した選手のなかでは、ジュニア7位ウッド/ブレイシャウ(GBR)が現在18位、ジュニア2位のコヘン/フロリチ(ISR)が現在33位に。

 日本の土居/今村は若干順位を落として25位となっています。今回の土居は、470ジュニアワールド出場権利がありながらも、それを辞退してワールドに挑みました。上位入賞が狙えたジュニアワールド不参加は残念ですが、ワールドの途中成績を見ると、(クルーの今村がジュニア枠ではないことを踏まえても)彼が同世代のなかでトップグループにいることが分かります。


首位に立ったフランスのルブッシェ/ルベレ。ピエール・ルブッシェは2010年に来日しました。photo by Junichi Hirai


松永/吉田は、第3レースで3位を取りジャンプアップが期待されましたが、その後のレースで冴えず。しかし、昨日のリコール(OCS)がカットされ総合15位まであがっています。photo by Junichi Hirai


若干順位を下げてしまった土居/今村。明日決勝レース最終日です。photo by Junichi Hirai

470男子成績(117艇出場)
1. Pierre Leboucher/Nicolas Le Berre (FRA) 16p
2. Mat Belcher/Will Ryan (AUS) 22p
3. Luke Patience/Joe Glanfield (GBR) 29p
4. Panagiotis Mantis/Pavlos Kagialis (GRE) 32p
5. Lucas Calabrese/Juan de la Fuente (ARG) 34p
6. Stu Mcnay/Dave Hughes (USA) 43p
7. Matthias Schmid/Florian Reichstaedter (AUT) 50p
8. Sofian Bouvet/Jeremie Mion (FRA) 55p
9. Onan Barreiros/Juan Curbelo (ESP) 57p
10. Jasper Wagner/ustin Baldewein (GER) 58p
15. 松永/吉田 69.0p
25. 土居/今村 100.0p
シルバーフリート
59. 澤村/橋口 59.0p
70. 中村/清原 118.0p
75. 岩下/石井 142.0p

元470女子世界ランキング1位、吉田/吉岡の現在

 女子は、ロンドン五輪金メダルのニュージーランド、アレ/パウレが抜け出しました。実力派揃いの男子に比べ、新チームに勢いがあるのが特長で、スロベニア、オーストリア、そして中国が台頭してきています。吉田/吉岡は(10位と同点の)11位まであがってきました。

 女子のレースを見ていると、男子に比べて若干レベルが下がっている状況もうかがえます。ロンドンまで活躍したチームの中でニュージーランド以外は不安定だし、過去のメダリストも新チーム体制になって日が浅いのか、成績に凹凸があります。吉田/吉岡の11位という成績も、吉田愛の経験値だけで追い抜き、上位に食い込んできた結果。彼女たちチームの完成度は、当然ながらまだまだです。

「今回はクルーに世界選手権を経験させること。そして、世界で戦うクルーがどんなことをやっているのかを間近で見ることが大切だと思っています。4月にチームが結成してまだ4カ月。いまの状態で(ロンドン五輪時に練習拠点となった)座間味で合宿したら、船もカラダも壊れて練習になりません。これから段階的にチームを強くしていこうと考えています」(吉田)

「最初のレースは本当に緊張しました。わたしは大学ヨット部にいましたが、4年間終わって「やりきった」という気持ちがありませんでした。そんな気持ちもあってセーリングを続けてみようとベネッセチームに加わりました。はじめて世界選手権に出場して、想像以上に海外選手はシビアな動きをしていると感じています。ひとつの動作が正確だし、ミスすることで順位が落ちていく。厳しさを目の当たりにしています」(吉岡)

 立命館大ヨット部出身の吉岡は現在22歳。身長176センチという長身を武器にフィジカル面を強化中とのこと。大学に在学していて、関東と関西を行き来しながら、江の島でトレーニングしています。

 彼女のクルーワークを見ていると、まだ大学生のセーリングスタイルから脱皮していない未熟な印象を受けましたが、世界ランキング1位まで上り詰めた吉田愛と乗るからには、世界のトップクルーへの成長が求められているし、吉岡も望んでいることでしょう。新チーム体制で動き出した吉田/吉岡の成長に期待です。

 明日9日は決勝レース最終日。そして10日のメダルレースへと続きます。

◎バルクヘッドマガジン・フォトギャラリー
http://hiraijunichi.photoshelter.com/

470女子成績(53艇出場)
1. Jo Aleh/Polly Powrie (NZL) 13p
2. Camille Lecointre/Mathilde Geron (FRA) 21p
3. Tina Mrak/Veronika Macarol (SLO) 27p
4. Lara Vadlau/Jola Ogar (AUT) 29p
5. Xiaoli Wang/Xufeng Huang (CHN) 36p
6. Xiaomei Xu/Chunyan Yu (CHN) 37p
7. Sophie Weguelin/Eilidh McIntyre (GBR) – 42p
8. Fernanda Oliveira/Ana Barbachan (BRA) 46p
9. Agnieszka Skrzpulec/Natalia Wojcik (POL) 51p
10. Afrodite Kyranakou/Anneloes van Veen (NED) 52p
11. 吉田/吉岡 52p


まわりが自滅していくなか確実な成績でトップに立つニュージーランド。photo by Junichi Hirai


吉田愛/吉岡美帆。近藤→吉田、アビーム→ベネッセ、なのですが、編集部はまだ混乱することあります。photo by Junichi Hirai


松永/吉田インタビュー。撮影:Dailysailing.com


大会4日目ダイジェスト動画。撮影:icarus sailingmedia

======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
丸玉運送
ノースセールジャパン
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
コスモマリン
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ
CATEGORY:  COLUMNDINGHYNEWSSPECIAL