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一昼夜、雨に降られ続けた大島レース


大島レースをはじめ、遠くの島をまわるクルーザーレースは冒険心をくすぐるヨットレースだ。撮影 平井淳一

サンケイビジネスアイ・コラム(46)
一昼夜、雨に降られ続けた大島レース

本州に梅雨前線が停滞する6月は、セーラーにとって悩ましい季節だ。セーリングは、雨が降っても風さえあればできるとはいえ、青空の下を爽快に走れるならそのほうがいい。2011年は5月に発生した台風が、珍しく日本に針路を向けたこともあり、週末の天気は荒れることが多かった。

5月の最終週、日本でもっとも歴史のある外洋ヨットレース、「第61回大島レース」が開催された。この大会は神奈川県葉山沖をスタートし、静岡県熱海沖の初島をまわり、さらに伊豆七島・大島をまわって、スタート地点の葉山へ戻る85マイル(約157km)のロングレースだ。むかしから「花の大島レース」と呼ばれ、相模湾のセーラーがあこがれるヨットレースでもある。

オリンピックのようにブイを周回するコースレースと違って、遠くの島をまわってくるロングレースには独特の魅力がある。近づくにつれてうっすらと島影が見えてくる。夜、遠い陸地にかすかに見える町の明かり。船に当たる波に刺激されて発光する夜光虫など、海をセーリングすることでしか体験できない魅力が詰まっている。

今年の大島レースは、台風2号の影響でスタート前からフィニッシュするまで約20時間も雨に降られてしまった。初夏とはいえ、夜の海上は寒く、身体に染み込む冷たい雨が体力を奪い、精神力をも試された。土砂降りの中、風と潮流を読みながらセーリングしている様子は、一般の人が見たら不思議に思うかもしれない。まるで滝に打たれて修行しているようなものだから。

深夜、大島をまわり、進路を神奈川県三浦半島に向けて数時間走ると城ヶ島灯台の明かりが見えてくる。セーラーたちがホッとする瞬間だ。「さあ、もうひとがんばりしようか」。海から見る町の明かりは、セーラーにとって何よりのエネルギーになる。(2011.6 文/平井淳一)

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