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ヨットが身近にある町、神奈川県葉山

※サンケイビジネスアイ紙で連載していたコラムを紹介します。


夏の午後、葉山公園から遠く江の島を見る。撮影 平井淳一

コラム(68)
ヨットが身近にある町、神奈川県葉山

 三浦半島西部に位置する神奈川県葉山町は、人口3万2千人程度の小さな町。皇室の葉山御用邸で知られるこの町は、夏は海水浴客でにぎわい、鎌倉、江の島へ向かう海岸道路は常に渋滞するほど人気だ。しかし、冷たい北風が吹く頃になれば観光客の足も遠のき、のんびりとした静かな町に戻っていく。

 この町が、国内で指折りのセーリングのメッカとして知られているのをご存知だろうか。逗子、葉山周辺は、国内外のヨットレースに出場してきた石原慎太郎さんの小説や、石原裕次郎さん主演の映画の舞台にもなり、いまも小説やテレビドラマにしばし登場する海辺の町。1956年に公開された映画「狂った果実」では、鐙摺(あぶずり)、森戸、一色といった葉山の海岸でセーリングするシーンが随所に登場する。ヨットやセーリングというイメージがあるのは、映画やテレビの影響も大きいだろう。

 葉山町の案内には、「ヨットレース発祥の地」と記されているが、それが本当なのかはさておき、国内最古の外洋ヨットレース「大島レース」のスタート、フィニッシュ地点が葉山沖なのは事実だ。大島レースは、葉山を出て熱海沖初島をまわり、伊豆大島を折り返して葉山へ戻るヨットレース。第1回大会は1951年に開催され、いまでも同じコースで毎年5月後半に開催されている。以前、オールドソルト(海では老練なセーラーへ敬意を込めてこのように呼ぶ)に日本ヨット史を尋ねた時は、大島レースが始まった頃から葉山に係留するヨットが増えてきたと聞いたことがある。

 もうひとつ、葉山がセーリングと強く結びつくのは、1966年から春と秋に関東学生ヨット選手権が開催されているのも理由だ。合宿で活動することの多い学生ヨット部は、大会前後を葉山で過ごすことになり、その期間、町はヨット部の若者でにぎやかになる。葉山は、昔と変わらずセーラーであふれている。全国にこれほどまでセーラーと密接な関係にある町はない。(2011.11 文/平井淳一)

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