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バルクヘッドマガジンが見たジャパンカップ

 〈サマーガール〉の圧倒的勝利に終わった西宮ジャパンカップ。この大会は、選手にとってもオーナーにとっても特別なものがあります。ジャパンカップのキャンペーンは、決して安価に済むものではないし、偶然に勝てるようなことは起こりません。妥協をなくすことがヨットレースで勝つための条件ならば、1年を掛けてボートとクルーワークをストイックなまでに仕上げる課程は、キャンペーンとして十分価値のあるものだと思います。(BHM編集部)


大小さまざまなヨットが出場するジャパンカップのスタート。photo by Junichi Hirai

ジャパンカップに漂う閉塞感

 しかし、ジャパンカップの現場に漂っている閉塞感は何年も変わっていません。スタート後、船同士がミートすることのない特別なレース展開。35から52フィートの大小サイズが同時にバラバラとスタート。当然フィニッシュは1レグ以上差がつくこともあります。

 船同士が競うというよりも「自分自身との戦い」です。修正時間で競うレーティングレースでは通常ですが、船のタイプや性能差、最終的な時間差を考えた場合、異種格闘技という言葉が似合います。

 その理由はどこにあるのでしょうか? いちばんの理由は、減少している参加艇数が原因のように思えます。本大会には、地元から8艇、福岡から1艇、東海から1艇の合計10艇で競われています。全国で最もレースの盛んな関東水域からは、1艇も出場していません。

 レースボートチームの気持ちがジャパンカップに目を向けていないのは確かで、編集部が知る限り今の日本にそのムードは感じられず、意欲的なチームは活動の場を海外に求めています。

 ジャパンカップの日本名は「外洋艇全日本選手権」。果たして、その名にふさわしい大会なのかどうか。日本でヨットレースが盛り上がった1980〜90年代前半までとは違う現状があります。いまのジャパンカップは、「外洋艇全日本選手権」というよりも「技能競技品評会」と言った方が正しいように思います。

 ここで言いたいことは、出場したチームに対して、またレースを作り上げたレース委員会、実行委員会を非難しているのではありません。ジャパンカップは先に述べたとおり、挑戦する価値のある大会だし、各チームは閉塞感を感じながらも、自分たちのなかで課題を決めて取り組んでいました。

 でも、つまらないと感じるヨットレースをだれが望むでしょうか? この大会を主催する日本セーリング連盟からは、いままでと違う形のジャパカップを考えていきたい、という前向きな話を聞きました。しかし、具体的な決定までは進んでいないようです。

 悩ましい問題ではありますが、いまジャパンカップは改革時期にきているし、それができなければ、今年と同じようなヨットレースが継続されていくでしょう。来年のジャパンカップ開催地は、まだ発表されていません。

バルクヘッドマガジンが見たジャパンカップ(1)

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