Loading

カウントダウン、全日本インカレ。全日本学生ヨット選手権 展望と解説(後編)

15.10.31_313A1564
11月3日に開幕する江の島全日本インカレ。インカレプレビュー記事、全日本学生ヨット選手権 展望と解説(後編)を紹介します。photo by Junichi Hirai

江の島開催で最も相性が良いあのチームは?

 1977年の総合導入以来、11度の優勝と最多実績を誇る日本大は、江の島開催では6勝(内、葉山開催で1勝)と抜群に相性の良さを示している。前回4年前の江の島大会(2011年)で力的には若干劣っていたものの、あわや完全優勝かともいえる勢いで早稲田の4連覇を阻止した。(文/生ちゃん)

 あの勝利はまさにミラクルとも思えた。あの時は主将・小又友和がリーダーシップを発揮、また1年生も大きな戦力となり、大きく貢献したのが特徴であり、復活したかと思われたが、その後3年間(期待されながらも)結局タイトルを取れず、現役ではまたしても優勝を経験していない状況に陥ってしまったのである。

 今シーズンは昨年までの主力がごっそり抜け、とてもじゃないが優勝を狙える状況ではない。それは成績をみても明らかだ。ただ先日の関東インカレで470級が準優勝と失格こそあったものの「もしかしたら?」と思わせるレース内容だったことは収穫があったのではないだろうか?

 レギュラー陣は、故障明けから復調の兆しがみえる玉山千登/市川一帆(3年・中村学園三陽/3年・平塚学園)を中心に、関東インカレでも個人成績上位の今井拓哉/木村直矢(2年・磯辺/2年・霞ヶ浦)、赤木恒平/本吉剛士(1年・中村学園三陽/4年・中村学園三陽)と現時点ではバランスが取れている印象を受ける。

 しかしながら関東インカレではスナイプチームが大きく足を引っ張り、総合4位に甘んじたのは非常に残念だった。力的には関東個人戦優勝の井嶋博之/冨田健三郎(2年・霞ヶ浦/3年・土浦日大)、全日本個人戦4位と健闘した佐々木学/大井航平(4年・大島海洋国際/3年・土浦日大)、そして女子インカレ準優勝の中山由佳/大野雅貴(3年・唐津西/4年・別府青山)と個々の力自体は他チームには決して劣っていない。あとは3艇でいかにまとまれるのか? が上位進出のポイントとなる。

 果たして4年前と同様、ミラクルを起こせるのか? 特に大きな波乱となった場合は日大が必ずや上位進出してくることだろう。

15.10.31_313A6218
江の島大会では高い優勝率を誇る日本大。photo by Junichi Hirai

総合入賞候補のチームは?

 現在最も予選激戦区なのはやはり「関西水域」となるだろう。その中でリーダー格のチームといえば関西学院大である。過去10年間で2回の470級クラス優勝、7回の総合入賞となっているが、悲願の総合優勝には未だ届いていない。

 正式に総合タイトルが導入された以後の優勝経験校は、日本大・同志社大・福岡大・立命館大・京都産業大・早稲田大となっているのだが、これに続くのは現時点では関学と囁かれてきたが、詰めの甘さに泣かされてきた。

 470級では全日本個人戦で優勝した神木 聖/甲斐晋平(4年・芦屋/3年・別府青山)を始め、女子インカレ連覇の松浦朋美/小林健太(4年・長崎工業/3年・邑久)、そして山本一徹/佐野勇介(3年・安芸南/4年・関学高等部)と戦力が整っているように思えるのだが、チームレースでどこまでまとまれるのか?である。

 しかしながらスナイプ級は力自体は劣ってないはずなのだが、個人戦では3艇とも玉砕され、関西インカレでも甲南大・関西大に敗れるなど非常に苦しい状況である。総合優勝どころか下手をすると入賞も危うい。それを乗り越え、7年連続入賞となるのか?

15.10.31_313A3879
前江の島大会では470クラス優勝を果たした関西学院大。今年は念願の総合優勝を狙う。photo by Junchi Hirai

 続いて昨年の小戸大会では実に28年ぶりの総合5位入賞(470級5位・スナイプ級6位)を果たした九州大は、現在国公立勢では最も勢いのあるチームだ。その躍進の背景には、毎年若干名の経験者が受験を突破し入学する不思議な流れとなっており、戦力が大きくアップしているといえる。

 それにしてもいくら経験者がいるとはいえ、団体戦での入賞は本当に立派である。もちろん今年も入賞候補だ。個人戦470級では惜しくも準優勝となった田中航輝(4年・清風)や、スナイプ級では既にエース格の高山達矢(2年・上野丘)を中心にどこまで戦えるのか? だが、入賞する為にはやはり両クラス共に3番艇がポイントなのか?

 ここまで6校を挙げてきたが、ダークホース的な位置づけとなりそうなのは中央大だ。ここ数年は片クラス出場のケースが多く危機的状況であったが、セレクションでも優秀な選手が毎年入学し始めてから、上位復活の兆しがある。スキッパー陣をみても470級では向野航平(4年・逗子開成)・榊原隆太郎(2年・唐津西)・菅野 翔(1年・中村学園三陽)であり、スナイプ級でも金谷俊輝(4年・逗子開成)・福士倖也(3年・青森工業)・そしてルーキーの岸 祐花(1年・相模原中等教育)と力はついてきた。果たして15年ぶりの総合入賞となるのだろうか?

 今年は総合からチーム分析をしてきたが、片クラスで出場する有力校もみておかねばならないだろう。

15.10.31_313A1681
力を秘めた中央大。台風の目となるか? photo by Junichi Hirai

13年連続入賞はどうなるのか?

 2003年に初参戦・初優勝以来、インカレの流れを大きく変えたと言っても良い日本経済大は、12戦7勝、また優勝できなかった年でも必ず入賞と勝率58.3%、入賞率100%は改めて凄い記録である。従って毎年優勝候補として話題に上らなかったことがなかったが、今年は個人戦ではわずが1艇のみ出場と、数年前までは上位独占していたのが信じられない位、戦力から見ても相当苦しい。

 常勝校の意地をみせられるのか? それとも連続入賞記録は途絶えてしまうのか? まさに正念場である。

 スナイプ級ではクラス優勝の経験もある鹿屋体育大の存在が不気味である。残念ながら470級は落選してしまったが、戦力・実績から見たら入賞できる実力があると見て良いだろう。スキッパー陣をみれば個人戦では英語で脱落してしまったものの、昇 慧祐(4年・鹿児島実業)・川村 岳(3年・和光)に加え、3番艇はおそらく470の元津大地(4年・唐津西)となる。非常に興味深い布陣であることから、要注目である。

 以上、簡単ではあるが解説したのをわかりやすく印にすると?

【470級】
◎早稲田大
○同志社大
▲日本大
△慶應義塾大
△関西学院大
△日本経済大
注九州大

【スナイプ級】
◎早稲田大
○慶應義塾大
▲同志社大
△日本大
△中央大 
△鹿屋体育大
注九州大

【総合】
◎早稲田大
○同志社大
▲慶應義塾大
△日本大
△関西学院大
△九州大
注中央大

 早稲田が戦力・経験値からみても2年連続完全優勝となるのが濃厚である。その他ははっきりいって苦しいと言わざるを得ない。ただ逆転の可能性があるとしたら同志社の470が早稲田を上回り、スナイプが健闘した場合や、慶應が春インカレ優勝時の走りができた時のみか? ただし、ここにきてベストメンバーとなりバランスが良くなった日本大が奮闘したならばレース展開は大きく変わるのか?

 この時期は風に恵まれないことが非常に多いが、今年も全力を尽くし良い大会となる事を祈るばかりである。以上。

15.10.31_01
出場校過去10年の成績

The Sailing News(生ちゃんのブログ)
http://namachan70.blog.fc2.com/blog-entry-305.html

======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
ジャストヨット運送
ポールスチュアート
日本レジャーチャンネル
ベイトリップ セーリング
ベストウインド
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
ノースセールジャパン
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
日本ORC協会
Velocitek
コスモマリン
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ファクトリーゼロ

CATEGORY:  COLLEGEDINGHYINSHORENEWSSPECIAL