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【特集2】大西洋横断ミニトランサットに挑戦する鈴木晶友インタビュー前編

 バルクヘッドマガジン編集部が取材する「ミニトランサット」特集第二弾です。今回は日本人として2人目の挑戦となる鈴木晶友選手(SAIL FAST)のインタビューを紹介します。(BHM編集部)


来年ラ・ロッシェル(仏)をスタートする大西洋横断レース「ミニトランサット」に挑戦する鈴木晶友選手。photo by Junichi Hirai

 葉山を拠点に活動する鈴木選手を知っているバルクヘッドマガジン読者は多いと思います。子供の頃に千葉県銚子でセーリングを覚え、法政大ヨット部を経て、好きが高じてセーリングを仕事に。モス級で世界選手権へ挑戦したり、またシースケープでクルージング&レースも楽しむマルチなセーラーです。

BHM編集長:
まずは、6月に連続で開催されたMAPトロフィー(220マイル)とミニファストネット(600マイル)完走、おめでとうございます。約2カ月のフランス遠征を終えて帰国した今の率直な気持ちは?

鈴木選手:
楽しかったです!この船でレースに出場するのは初めてでしたが、同型艇はだいたい見える位置で戦っていました。だから、いかに集中してハンドリングできるかが勝負になる。船の古さをそれほど感じず、戦う手応えを感じました。

BHM:
2つのレースを完走して、ついに大西洋横断に向けて現実的な「はじめの一歩」を踏み出したように思えます。次はどんな活動を考えていますか?

鈴木:
今年のレースはこれで一段落。あとは日本で準備を進めていきます。レース本番は来年の秋。出場資格を得るためのクオリファイ(1500マイルの同一艇でのレース出場と1000マイルの単独航海)を達成させなければなりません。活動の拠点はフランスのロリアンです。

BHM:
鈴木選手が大西洋を横断したいという話を聞いた時、正直に言うと驚きました。日本のセーラーにはハードルの高い挑戦だと思ったからです。ミニトランサットに挑戦しようと思ったきっかけはなんですか?

鈴木:
セーリングを始めた時、普段ディンギーに乗っていたんですが、家族でクルーザーに乗る機会もありました。子供の頃にヨットで移動する楽しさを経験して、いつかヨットで大陸を移動してみたい、という夢がありました。


艇名〈LENDUR〉(レンダー)はPOGO2というプロダクションボートで一世代前のモデル。ミニトランサットでは、同型艇による「シリーズ」クラスと、設計や素材の自由度の高い「プロトタイプ」クラスに分かれます。photo by Junichi Hirai


〈LENDUR〉のハルには、鈴木選手の活動を応援してくれる人たちからのメッセージが貼り付けてあります。photo by Junichi Hirai

BHM:
日本人では岩名地 正さんが1999年大会に出場しました。いまから20年前の出来事になります。ミニトランサットのことは、それで知ったんですか?

鈴木:
知ったのは15歳の時です。セーリングしていた場所と同じ銚子で活動していた岩名地さんが挑戦したことで、自分もやってみたい、と思うようになりました。

BHM:
鈴木選手はヨット部を卒業して、クルーザーレースに出たり、モスに乗ったりしていました。最近は、シースケープでおこなわれるクロアチアのレースにも出場しています。どうして、いまのタイミングでミニトランサットに挑戦するんですか?

鈴木:
いつかやりたいと思っていたことですが、若いうちにやりたかった。気持ちの中では30代前半までに達成したかった。ぼくはいま33歳です。ギリギリですが予算の目処も立ちそうだし、家族も応援してくれるので、いまがチャンスだと考えました。

BHM :
船を準備するにしても日本では情報がありません。どのような流れで活動をスタートしたんですか?

鈴木:
日本では少ないけれど、海外でミニトランサットの情報はたくさんあります。だから情報の面で困ることはありませんでした。計画を立てるのが好きで、船を準備していく過程や、スケジュール、予算のことをあれこれ悩むのも楽しかったです。

BHM:
2年ごとにおこなわれるミニトランサットは、今年から来夏までが準備期間、そして秋にスタートとなります。この活動の予算はどのように考えていますか?

鈴木:
はじめに「やろう」と計画した時、できるだけ自己資金で挑戦したいと考えました。計算してみると少ない金額ではないけれども、できないわけではない。足りない分は、身近な人に応援してもらい、いまの計画が進んでいます。中古艇は400万円で購入しました。最終的には、レースが終わったあと船を売却できるので、約900万円のキャンペーンになると考えています。

※次回【特集3】ミニトランサット・インタビュー後編へ続きます

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http://www.minitransat.fr/


デッキ上はとてもシンプル。ウインチは左右デッキとドッグハウス上の合計3つ。レース中は、ドライブ、セールトリム、セールアップ、セールチェンジをすべて一人でおこないます。photo by Junichi Hirai


レース中の食事は日本やフランスで購入したドライフーズがメイン。それぞれ味の違いがあり、食べ比べるのも楽しみとのこと。photo by Junichi Hirai


使用できるセールは合計7枚に限定されています。〈LENDUR〉ではメインセール、ジブ、ストームジブ、ジェネカーはA2、ミディアム、コード5、コード0を搭載します。photo by Junichi Hirai


〈LENDUR〉のキャビン内。必要最低限のものしか積み込みません。セール等キャビン内の荷物はタックのたびに置き場場所を移動します。photo by Junichi Hirai


ルーティングソフトは「qtVlm」を使用。船の性能や気象情報を取り込んで理想のルートを計画します。便利な道具ですがレース中は使用できません。photo by Junichi Hirai

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