軽風下日本勢上昇、470ワールド予選2日目

  • 07
  • Aug

 8月6日、フランス・ラロシェルで開催されている470級世界選手権2日目は、昼前に風がなくなり約2時間の陸上待機ではじまりました。本来の天気予報によれば、大会初日に8メートル前後まで上がった風は意外なもので、この大会は軽風シリーズと予想されています。そのせいか、選手や運営スタッフも「これが本来の姿」とばかりに余裕のある風待ち時間を過ごしました。(BHM編集部)


大会2日目は2レースおこなわれ、無事予選シリーズが終了しました。470ワールドの写真はバルクヘッドマガジン・フォトギャラリーに掲載しています。ぜひご覧ください。photo by Junichi Hirai

 その後、風が入りはじめましたが、海上はトラピーズに出るかでないかというライトウインドに変わりなし。シフト幅が大きく、またキツイ潮流のあるコンディションで男女とも2レースおこなわれました。これで予選5レースが終わり、大会3日目から決勝フリートに進みます。

 日本勢はトラブルなく走り、順位を上げたチームも多く見られました。予選終了時の暫定結果は、
大会2日目、日本男子成績
松永/吉田 19位
土居/今村 28位
澤村/橋口 60位
中村/清原 62位
岩下/石井 72位
女子成績
吉田/吉岡 17位

 男子は、松永組、土居組、女子は吉田組のナショナルチームがゴールドフリート進出を決めました。ちなみに、本大会では得点方式が昨年までと変わり、予選が終わった時点で各レースの個別点数はなくなり、予選終了時の順位を得点として決勝フリートに進みます。

 つまり、30位で予選を通過したら、30点+決勝フリートの成績が加算される仕組み。これは、リオ五輪までに定着すると予想される得点方式といえます。


マスターズワールドの流れからチョー・ベテラン470セーラーも出場しています。photo by Junichi Hirai


本日の見所は、松永/吉田の大逆転トップフィニッシュ、と思いきやスタート時のブラックフラッグで失格でした。photo by Junichi Hirai

自費でフランス遠征する澤村和慶の挑戦

 さて、この大会に出場している日本選手のなかで、唯一、自費参加してるチームがいます。澤村和慶/橋口修三(九州旅客鉄道/日本経済大4年)で、スキッパーの澤村は企業ヨット部やナショナルチームに所属せず、世界選手権に出場しています。

 彼らは自艇を6月の運搬コンテナの沈没事故で失い、この大会にはナウティベラ社のチャーターボートで出場。大会初日はチャーターボートの艤装不備により、両舷のツィーカーが破損する等のトラブルで順位を落としましたが、2日目は16-9位でジャンプアップしました。

「何かひとつでも多くを感じ取ろうと思っています。貧乏遠征ですが、得るものは大きい。きょうは、レースをしながら、ダウンウインドの走らせ方が分かってきました。角度を落とすだけではダメ。いかにスピードを出しつつ、落とせていけるかで順位が入れ替わります。その走らせ方、使い分けができないと相手になりません。どこまでできるか分かりませんが、やれるところまで五輪キャンペーンを続けていきます」(澤村)

 27歳の澤村は、鹿屋体育大を卒業後、JR九州に就職して今年で5年目。今回は会社の理解をもらい、仕事を離れて470ワールドに出場しています。日本の場合、企業ヨット部に入らずオリンピックを目指すには、費用を考えると難しい現状があります。実際に最終的に五輪代表になっているのはバックアップ体制の整った企業ヨット部ばかりです。


澤村/橋口。photo by Junichi hirai

 澤村のように情熱を糧に自費遠征するチームは、こと470に限っては珍しいものです。しかし、北京代表の松永鉄也にしてもスリーボンドチームに所属する前は自分で決めたチーム名(FEEL FINE)しかなく、ギリギリの生活で活動していました。

 同じくロンドン代表の吉田雄悟は、大学を卒業してからしばらく江の島ヨットハーバーでウロウロしていたのを覚えています。いまの学生セーラーには想像できないかもしれませんが、国内のトップセーラーもはじめた当初は不安だらけの活動だったのです。

 バルクヘッドマガジン読者の中に、オリンピックのような一歩上のセーリングを「挑戦するか、しないか」で悩んだことがある選手は多いことでしょう。多くの人は「挑戦しない」を選ぶ中、五輪選手は「挑戦する」を選んだということです。ちなみに北京、ロンドン代表の吉田 愛は、いっとき八王子のデパートで販売の仕事をしていた時期もあります。

 「挑戦するのか、しないか」。いま日本のセーリングに足りないのは、費用や技術などの以前にスタートラインへ立つ気持ちなのかもしれません。世界の強豪選手との戦いを目を輝かせて話す澤村選手を見ていて、そう感じました。

バルクヘッドマガジン・フォトギャラリー

470男子トップ3
1. AUS BELCHER / RYAN 1-1-2-1-(BFD) 2.0p
2. FRA LEBOUCHER / LE BERRE (7)-1-1-5-3 8.0p
3. NZL Paul / WILLCOX (5)-4-1-3-2 9.0p

470女子トップ3
1. FRA LECOINTRE / GERON 1-1-5-1-3 3.0p
2. CHN XU / YU 3-3-1-(7)-1 6.00
3. GBR Hannah / CLARK 3-2-(4)-1-1 9.00


大会2日目ダイジェスト。大学2チーム、澤村組のインタビューがあります。撮影:Dailysailing.com

======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
丸玉運送
ノースセールジャパン
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
コスモマリン
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ