相模湾クルーザーレースシーンに思うこと

  • 24
  • Sep

 9月の三連休を利用して、相模湾で「逗子レガッタ」が開催されました。風に翻弄されながらも、3日間のシリーズレースらしく、大いに盛り上がりました。バルクヘッドマガジン編集部は、相模湾に出てレースシーンを見る機会が多いのですが、クルーザーレースに関して言うと、2、3年前に比べて、少しずつ変わってきていると感じています。それは、決して悪いムードではありません。ここで、相模湾のクルーザーレースシーンの今について考えてみました。(BHM編集部)


逗子レガッタ2012より。photo by O.Yuko

 相模湾のレースシーンをひとことであらわす「ヨットレースの飽和状態」です。これはいまに始まったことではありません。現在の相模湾では、ヨットクラブ主催のクラブレースと外洋団体が主催するレースが入り混じり、毎週のようにイベント、ヨットレースがおこなわれています。

 まず、相模湾のクルーザーレース・スケジュールについて紹介します。クラブレースの主役は、毎月30艇前後の参加を集める「葉山マリーナヨットクラブ・クラブレース」(第2、第4週開催とイベントレース)と「リビエラ湘南レース」(毎月第1週開催。旧:のんびりレース)。これらのクラブレースは、毎月の行事としてセーラーがまっさきにスケジュール帳に記入するイベントです。これとは別に相模湾のレースボートが参加する毎年おこなわれる定番レースがあります。相模湾のセーラーが関係する、比較的参加艇の多いヨットレースをピックアップしてみると。

1月 相模湾新春親善レース
4月 初島卯月レース(ロング)、ノルウエーフレンドシップヨットレース
5月 関東ミドルボート選手権、大島レース(ロング)
6月 三浦〜伊東レース(ロング)、逗子ダブルハンド
7月 相模湾オープンヨットレース、パールレース(ロング)、スバルザカップ
8月 トランスサガミ(ロング)、相模湾ヨットフェスティバル、トウキョウズカップ
9月 逗子レガッタ
10月 オールドセーラーズヨットレース、逗子マリーナカップ
11月 小網代カップ(ロング)、各クラス全日本選手権など

 毎週、ヨットレースがおこなわれるのは、けっして悪いことではないのですが…。一時期、選手たちから「こんなにたくさんのレースに出られないし、メンバーも揃えられない」という声がよく聞こえてきました。また、レース・イベントごとに“参加艇の奪い合い”に似た現象もあって、少ないフリートのヨットレースが、各水位域で点々とおこなわれている、という不思議な光景がありました。「もっと競技性の高いレースをしたい(したくない)」という意見も聞かれました。ようするに既存のヨットレースに何かしらの不満を持っていたわけです。

 しかし、最近は、全部ではないにせよ、この足踏み状態から一歩抜けだしたように感じることがあります。その理由は、2つのヨットレースが復活したことが関係しているのでは?と編集部は推測しています。

大島レース「オーバーナイトレースの復活」
 相模湾では、大島レース(葉山〜初島〜伊豆大島〜葉山)の参加が毎年増加傾向にあります。しかし、5年ほど前には、参加艇が集まらず中止になりました。そこから、実行委員会の積極的な宣伝、勧誘活動により、復活開催に成功。その後、一昼夜の島まわりレースの魅力を存分に引き出し、大島レースの人気は定着しつつあるようです。さらに、2010年には外洋東海主催で沖縄〜東海ヨットレース(720マイル)が開催され、この大会に出場はできなくても、セーラーのなかでオフショアレースへの興味がわき、「身近なオーバーナイトレース」に注目が集まるようになっています。

逗子レガッタ「シリーズヨットレースの復活」
 毎年春に開催されていた逗子レガッタが、4年前に復活しました。初島ダブルハンドで定評ある、逗子マリーナヨットクラブらしいホスピタリティが魅力で、艇長会議後のパーティと毎レースごとのパーティは、もはや定番となっています。これまで相模湾では、5月の関東ミドルボート選手権が、シリーズレースの主役で、ブイまわりレースに出場するチームの目標になっていました。それが、9月にもシリーズレースがあることで、秋にもピリッとしたレースを楽しめるようになりました。

 大島レースと逗子レガッタ。このふたつのヨットレースが復活して、ロングレースと秋のシリーズレースという「メリハリの効いた、ほどよいさじ加減」ができてきたように思います。選手やチームの気合の入れ具合が、年間を通して安定してきました。

 「ほどよいさじ加減」の背景には、無理をしないで身の丈に合わせてヨットレースを楽しむ、というチームのスタンスが感じられます。むかしのようにガリガリ練習をして1位を狙うというスタンスから変わってきたチームが増えているようです。

 また、各チームが独自の目標を作っているのも変化といえます。あるチームは目標設定を真ん中ぐらいの成績にしたり、同型艇同士の戦いに重点を置いたり、トランスサガミ(下田)やトウキョウズカップ(伊豆大島)、タモリカップ(沼津)のように、クルージングを兼ねたレースに参加することで、チーム内の温度差を保ったり、とパターンを選んで、ヨットレースを楽しんでいるように思います。

 しかし「相模湾のヨットレース飽和状態」という問題は解決していません。ここで、アイデアとして登場したのが、今年からはじまった「キールボートシリーズ相模湾」です。これは、相模湾のクラブレースを合同で開催することで、クラブ同士、水域で活動するセーラー同士が交流を持ち、みんなでヨットレースを盛りあげようとするものです。

 あたらしいレースを作るのではなく、クラブレースの一部を合同開催し、さらに年間成績を出すことで、相模湾のセーラーに一体感が生まれるという効果もあります。将来的には、ヨットレースが盛んになることで、新規セーラーや多くのファンを招き入れたいという明るい展望も持っています。

 「キールボートシリーズ相模湾」初開催となった2012年は、トライアル1戦、シリーズレース4戦がおこなわれました。今年はいろいろな不具合もあったかもしれませんが、バルクヘッドマガジン編集部は、来年以降も大きく前進していってほしい企画だと期待しています。

 さて、少しずつ変わってきている相模湾のクルーザーレースシーン。言葉で伝えるのはむずかしいものですが、いいムードを感じていることは確かです。同じように感じている方もいることでしょう。それでは、来年以降の相模湾のクルーザーレースは、どんな展開になっていくのでしょうか? いずれ、その辺のことも記事にしていきたいと思います。

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