沖縄座間味、日本470強化合宿密着取材レポート・後編

  • 23
  • Feb

 座間味島は、世界でも有数の美しい海として知られる慶良間諸島にある人口500人程の小さな島です。沖縄・那覇と最短50分の高速フェリーで行き来できるビーチリゾートですが、日本チームには『いつでも強風とうねりのなかで練習できる』特別な場所です。(BHM編集部)

 座間味沖の強風とうねりは外洋特有のもので、外海に出ればダイナミックなセーリングを、島に囲まれた内海ではシフティなフラット海面が選べます。関東のセーラーには「毎日、南西強風の相模湾で練習しているようなもの」と言えば、雰囲気が伝わりやすいでしょうか。

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2月の470強化合宿には座間味の海で育った吉田愛選手、吉岡美帆選手も参加しました。photo by Junichi Hirai

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シンガポールから2チーム参加。写真は女子のYukie Yokoyama / Cheryl Teoです。強化合宿では海外チームの国際交流もおこなわれています。photo by Junichi Hirai

江の島沖南西強風のような海で高速テンポの練習に驚かされる

 毎日のスケジュールに沿えば、海上練習に当てられる時間は4時間前後です。午前中の陸トレを終えた後、11時頃に出艇して(途中で海上昼食)午後4時までに帰着するというタイムスケジュールです。

 練習メニューは長期合宿のなかで計画されるので一概に言えませんが、編集長が取材した3日間は主にダウンウインドの練習がおこなわれました(合宿最終週はメダルレースやルールのための練習をしたようです)。

 ダウンウインドの練習では、それだけを練習します。コーチボートがマークボート役になり、あらかじめ決めてあるスタート順番にそってマークボートを回航。一方のコーチボートが、近距離や遠距離のレグを作り10〜15分のダウンウインドを走ります。

 ダウンウインド15分といえば短いように聞こえるかもしれませんが、20ノット前後吹いているなかを走るので、下マークのボートはゆうに1.5マイル以上も離れています。

 風下マーク役のコーチボートを回航すると、短いアップウィンドレグが作られてフィニッシュ。2、3分間程度、各チームでミーティングがおこなわれ、すぐさま同じような形式でダウンウインド練習がはじまりました。

 編集長が取材した日は、このダウンウインド練習が4時間つづきました。ダウンウインドだけで4時間です。同じことの繰り返しのように思えますが、選手たちはそれぞれに課題を持っているので、気を抜く時間はありません。

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港を出てサンゴの美しい阿真ビーチを通り過ぎて強風の練習エリアへ。心休まる一瞬のオアシスのようです。photo by Junichi Hirai

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JSAFボート2艇が海上トレーニングの中心です。海上に出るサポートボートとは超小型トランシーバー(BONX)で常に連携が取られています。素早く次の練習に入るためコーチボートはアンカリングしません。photo by Junichi Hirai

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練習内容はレース以上にシビアで、瞬時の判断とコンマ数秒のアクションが求められます。失敗もありますが、練習だから出来ること。課題を克服するチャンスです。photo by Junichi Hirai

 選手たちがアグレッシブに相手を攻めているのが印象的で、近距離の争いはさながら格闘技のようです。そのテンポの良いスピード感はレース以上のもので、日本のトップセーラーでなければ、練習についていくことは不可能でしょう。ハイレベルな練習内容と持続力には、正直に言って驚かされました。

 午後3時までみっちり走り海上練習は終了。帰りは1時間のえい航です。ほぼ全チームにはサポートボートがついているので、手際よく座間味島へ戻りました。

 選手たちは陸に戻り、夕方の陸上トレーニングをおこないます。さらに夕食後には全体のミーティングがおこなわれ、コーチと個別の話し合いが続きました。

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座間味に北東風が吹くと大波が選手を襲います。江の島沖の南西風のような強烈なコンディションです。photo by Junichi Hirai

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艇がうねりで隠れてしまうこともしばしば。サポート艇は1チームにつきほぼ1艇、救助体勢が整っているからできる練習です。photo by Junichi Hirai

「この合宿には、本気でメダルを取りたい選手が参加します。体力も必要だし、陸でも海でも、練習についていくのが無理だと(JSAFコーチが)判断したら帰ってもらいます。それだけ全員の意識が高い。このなかで練習し、戦うことで日本男子が世界のトップランキングに名を連ねるようになりました」

 そう話すのは、オリンピック強化委員会で470強化を担当する中村健一コーチ。中村コーチが現役時代、現地で合宿していた関係もあって、座間味村が日本セーリングチームを全面的にバックアップしてくれています。

 約3カ月の強化合宿を終えた日本470チームは、3月パルマ・デ・マヨルカのプリンセスソフィア杯に始まる欧州遠征に出発します。

 2018年の世界の照準は、8月デンマーク・オーフスで開催される全五輪種目合同世界選手権(セーリングワールドチャンピオンシップ。東京五輪の第一選考大会)です。そのため春〜初夏のワールドカップを含む欧州大会は、日本選手の実力をはかる重要な戦いとなるでしょう。

 強化合宿を経験して日本選手はひとまわり成長しています。バルクヘッドマガジン編集部は、今年も欧州遠征を取材し日本チームの活躍をお伝えしていく予定です。みなさん、楽しみにお待ち下さい。そして、選手への応援をよろしくお願いいたします。

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470強化合宿のリーダーをつとめる中村健一コーチ。厳しさのなかに愛情あるコーチングで日本チームをまとめます。photo by Junichi Hirai

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スタッフ陣は海上に出る前に練習メニューをボードで説明。強風のためハーバーに戻る合図やえい航の段取りも説明します。photo by Junichi Hirai

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宿に戻った選手とコーチはビデオを見ながら練習を振り返ります。photo by Junichi Hirai

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座間味港内の一部が艇置き場です。後方には座間味村の協力で、シャワールームやミーティング、トレーニングもできる施設が作られる予定です。photo by Junichi Hirai

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470強化合宿には、河野博文JSAF会長(JOC副会長)も応援に駆けつけ練習を見学しました。photo by Junichi Hirai

座間味470強化合宿の様子は、バルクヘッドマガジン・フォトギャラリーに掲載されています。
◎バルクヘッドマガジン・フォトギャラリー
https://junhirai.photoshelter.com/archive

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